城田 優 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「城田優」

2015/05/27

「役者がフレッシュな分、エネルギッシュだしパワーもある。今回、新たな『エリザベート』が生まれるんじゃないかな」

撮影/宮坂浩見 取材・文/長島恭子
ヘアメイク/岩田恵美 スタイリング/黒田 領

大ヒット中の映画『シンデレラ』の日本語吹替え版の王子、公開中の映画『明烏 あけからす』ではチャラいホスト・アオイを演じるなど、ドラマ・映画・舞台等で、幅広いジャンルで様々な役を演じている城田優。そんな彼が5年ぶりにミュージカル『エリザベート』で黄泉の帝王・トートを演じる。キャストも一新され、次世代を担う若手ミュージカル俳優が集結した、同作品への意気込みをたっぷりと語ってもらった。
――ミュージカル『エリザベート』では、5年ぶりにトートを演じます。改めて台本を読み、役のイメージなど、初演のときと異なる点はありますか?
「本質的には台本を初めて読んだ時に抱いたイメージと変わりません。僕の演じるトートは人間ではなく“死”という概念を具現化したキャラクター。トートの歌に“人の命を奪って、もてあそぶのさ、冷たく”という歌詞があり、そこに彼がどんなキャラクターなのかが集約されています。脅したり凄んだりせずとも、クールに指先で指示をするだけで、イヤなものは消し、欲しいものは手に入れられる。そんな“死”という絶対的な存在感を現したいです」
――初演時はその城田さんの“クールなトート”は新鮮だと評判になりました。トート役で文化庁芸術祭でも受賞(「演劇部門」新人賞受賞)しましたね。
「前回は、演出の小池(修一郎)先生と、お互いの主張と意見を戦わせながら、トートという役の方向性を決めていきました。その結果、ある程度の評価はいただけたわけですが、当時、小池先生に言われたことや、観て下さった関係者やファンの方たちの厳しい言葉もきちんと参考にしながら、今回はブラッシュアップしたいです」
――具体的にいうとどんな点を?
「当時の僕はトートの“クールさ”や“余裕”を表現したかったので、大仰な動きを抑え、スッとした空気感を表現したつもりでした。でも、小池先生に『表現したいことはとてもよくわかるけれど、舞台で表現するのはとても難しい』と言われ、周囲からも『全体的に棒立ちに見える』と指摘されたんです。24歳とまだ若かった僕は(笑)、“わかってないな”と聞く耳を持たなかった。でも、今振り返ると完全に僕の技量不足で、頭に描いていたトート像を表現しきれなかったと思います。……ということで、今回の舞台では“アレ”を随所に散りばめることで、トートの心情を表現します。楽しみにしてください!」
――“アレ”はまだ秘密なんですか?(笑)。
「大丈夫です、言えます!(笑)。“アレ”とは、ダンスです」
――それは意外です!
「これまでの『エリザベート』ではほとんどダンスシーンはなかったですからね。トートはクールで絶対的な存在ですが、エリザベートに対しては熱い想いを秘めている。でも僕がイメージするトートの持つ熱さは、“炎”ではなく“ドライアイス”のようなイメージ。彼が現れた瞬間、空気はゾワゾワっとした寒気を感じさせる。しかし触れると火傷する。そんな表裏もダンスをとおして表現できるのではないか?と考えています。稽古はまだ序盤なので今後、どうなるかはわかりませんが、前回のトートと比べると、確実に情熱的に見えると思います」
――今回、カンパニーも20代後半から30代前半の役者さんがメインとなり、一気に若返りました。稽古場はどんな雰囲気ですか?
「同世代の仲間が多くて楽しいですよ。ふざけすぎていつも怒られています(笑)。前回はできあがったカンパニーに後から参加したということもあって、変な意味ではなく、どうしても肩身の狭い思いをすることもありました。カンパニー50人中、僕は年齢でいうと下から数えて2〜3番目だったたし、何より同じトート役に山口祐一郎さん、石丸幹二さんという大先輩がいましたから。日本の『エリザベート』は“ミュージカル界の重鎮が固める大作”というイメージがあるので、例えば声や演技の“圧”を比較されると今回の『エリザベート』は“軽い”と思われるかもしれません。でも、役者がフレッシュな分、エネルギッシュだしパワーもある。今回、新たな“日本のエリザベート”が生まれるんじゃないかな」
――ポスターを拝見しましたが、衣装もカッコいいですね!
「そうなんですよ! 衣装のブックやステージの完成予定の模型を観ていると、めちゃめちゃカッコイイのでワクワクします。間違いなく、お客様にはご満足いただけると思います!!(笑)」
――さて、城田さんはトートのような異次元のキャラクターからリアリティのある等身大の少年まで、幅広い役を演じています。それぞれ、どんなプロセスで役作りに取り組んでいますか?
「最初に台本を読んだ時のインスピレーションがベースです。これはどんな役でも同じで、役の特徴やクセづけも直感を大切にしています。最近公開した映画『明烏 あけがらす』ではアオイというホストを演じていますが、『とにかくチャラい男です』と説明されていたので、“チャラさ”を出すために“常にガムを噛んでいる”ことと、言葉の選び方だけ決めていました。例えば『お金』のことを『キャネ』と言ったり、『ちゅーっす』という言葉を口癖にしたり。でも『ちゅーっす』も現場でひらめいた口癖で、台本になくても『ちゅーっす、○○やりました〜』など、どんどん使い、くり返すことで、結果、一つのキャラクターを構築していきました」
――ライブ感あふれていますね!
「そうですね。僕は曲も作りますが、音楽も同じ。コードではなくインスピレーションをベースに具現化するタイプです」
――音楽の話が出ましたが、役者は勿論、音楽、演出とやりたいことをどんどん実現しているように感じます。夢や目標を実現するために大切にしていることを教えてください。
「“今ある方程式やセオリーにしばられない”ことです。例えば音楽で言うと、僕はボイストレーニングとピアノを少し習ったけれど、ギターもサックスも独学。クラシックの知識もなく作曲や歌の学校に行ったこともありません。曲作りで大切にしているのは、頭にひらめいたメロディや一流といわれている方たちとの仕事で得た経験。僕にとっては、基礎や知識は具現化するときのエッセンスでしかないんです。僕は人の想像力に勝るセオリーはないと思っています。だけど、正解の方程式を聞いてしまうと『1+1=2』という答えが頭に残り、式でしか、物をクリエイトできなくなる気がする。僕にとっては『?+?=?』が唯一の方程式。『?』に何が入るかは、自分で見つけていきたいし、それが、正解がないこの仕事の面白さだと思います」
――お仕事の幅を広げていくなか、特にミュージカルでの活躍は目覚ましいですよね。城田さんにとって、ミュージカルとは?
「僕にとって“もっとも難しい仕事”です。まず、舞台の仕事は一度幕が上がったら、体が痛くても心が沈んでいても最後までやりとおさなければならない。さらに、自分にとって30回、50回のうちの1回の舞台でも、観客の方にとっては、観に来た1回がすべてだと思いますので、毎回、高いクオリティをキープしていかなければならない。それこそ1シーン1シーン、セリフ、歌、動き、スピードと、あらゆることを意識し、演じるので、神経もかなり使います。しかもミュージカルには、歌、芝居、ダンス、ときには殺陣と、役者として要求されるすべての要素が入っていて。声が枯れるなど勿論ご法度だけど、声が枯れるほどのエネルギーも必要だと思います。1日2回公演ともなると、体はボロボロになりますが、もちろん失敗は許されない。それこそコロセウムで戦う騎士の気持ちです」
――でも、だからこそやりがいを感じる?
「そうなんです。それこそ、生の醍醐味というか。舞台は、高いチケットを買い、わざわざ地方から長い時間をかけて、交通費を払い、観に来てくれるお客さんがたくさんいます。そのすべての人に、最高の舞台を観て欲しいので」
――では最後に、今回の『エリザベート』に対する意気込みをお願い致します!
「前回は賞もいただき、たくさんの方から賛辞もいただきました。でも当時の僕は、ミュージカルの大作にも出ていなかったし、周りからの期待値が低い中でスタートしたうえでの評価だったと思います。あれから5年経ち、ブロードウェイのミュージカルスターとの競演や、『ロミオ&ジュリエット』『ファントム』などで主演も経験した今、“いいものが観れて当然”と思われている。だから今回は、“その高い期待値を上回る演技を目指していかないと、すべての人を感動させることができない”と肝に銘じています。“舞台でもっとも輝いていたのは城田優だった”。幕が下りたとき、そう思わせるだけの表現力と歌唱力、存在感を目指して頑張ります!」
Profile
城田優
しろた・ゆう●1985年12月26日生まれ、東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。公開中の映画『シンデレラ』王子役日本語吹替えを担当し、シンデレラ役の高畑充希と歌うエンドソング『夢はひそかに(Duet version)』が話題に。映画『明烏 あけがらす』にも出演中。2016年1月9日から上演される『地球ゴージャスプロデュース公演 Vol.14』にゲスト主演が決定。
ミュージカル『エリザベート』
6月13日(土)〜8月26日(水)帝国劇場
※6月11日(木)、12日(金)プレビュー公演
出演:≪エリサベート≫花總まり/蘭乃はな、≪トート≫城田 優/井上芳雄、≪フランツ・ヨーゼフ≫田代万里生/佐藤隆紀(LE VELVETS)、≪ルドルフ≫古川雄大/京本大我(ジャニーズJr.)、≪ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ≫未来優希、≪ゾフィー≫剣 幸/香寿たつき、≪ルイジ・ルキーニ≫山崎育三郎、尾上松也(松竹)

1992年、オーストリアのアン・デア・ウィーン劇場で産声をあげたミュージカル『恵エリザベート』。作詞ミヒャエル・クンツェ、作曲シルヴェスター・リーヴァイのゴールデンコンビが生み出した名曲の数々、煌びやかな衣裳と豪華な舞台セット、そして黄泉の帝王“トート=死”とハプスブルク帝国最後の皇后エリザベートとの禁じられた愛を描いたストーリー。

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