第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞に選ばれてデビューした井上音生が、2021年3月開幕のミュージカル『魔女の宅急便』で主人公のキキを演じる。ジブリアニメや実写映画に舞台など様々な形で親しまれてきた名作で、同じ「東宝シンデレラ」オーディション出身の上白石萌歌や福本莉子も演じてきた役。どんな魔女ぶりを見せてくれるか、要注目だ。

――「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞してから、4年が経ちました。自分が変わったと思うところはありますか？

「自分の考えを持つようになりました。去年の4月に高校生になって上京したのも、自分で決めて両親に言ったんです。その分、女優業をちゃんと頑張らなきゃいけないと思っています」

――仕事をより多くできるように、上京を決めたんですか？

「そうですね。愛媛だと東京には飛行機で行くしかないので、その時間をお仕事に充てたいと思いました」

――とはいえ、15歳で地元を離れて、寂しさはなかったですか？

「ありました。東京で人がいっぱいいるのを見て、“愛媛はこんなじゃなかったな”と地元を思い出して帰りたくなったり、夜にちょっとウルッと来ちゃったり(笑)。でも、母と一緒に住んでいるので。それに私がドラマとかに出ると、地元の友だちがすぐ“観たよ”と連絡をくれて、応援してくれているんだなと感じます」

――女優の仕事の楽しさややり甲斐も感じていますか？

「作品をやるごとに、自分と違う考え方や価値観を持つキャラクターに出会えるのは、女優の面白さだと思います」

――3月からはミュージカル『魔女の宅急便』に主演します。

「2018年のミュージカル『魔女の宅急便』を観て、福本莉子ちゃんが楽しそうにキキを演じていたのが、キラキラしていて眩しかったんです。私もあんなふうに演じられたらと思っていたので、お話をいただいて嬉しかったです」

――音生さんはお父さんが音楽の先生だそうで、名前にも“音”が入っていますが、歌うのは好きなんですか？

「はい！好きです。小学2年から6年までコーラス部に所属していて、6年生のときは部長を務めました。1人カラオケにも行って、気分が上がるアニメソングをよく歌います。十八番は『残酷な天使のテーゼ』です」

――ではミュージカルでも、歌に関して不安はないですか？

「ミュージカルの歌い方は、いつもカラオケで歌っているのとは別もので、今ボイストレーニングで発声を覚えているところです」

――ミュージカルの発声は普通の歌とどう違いますか？

「息を遠くから吸うイメージを心掛けています。ミュージカルの曲は音域が広くて、高いところも地声で出さないといけなくて。ちゃんと息を使わないと出ない音もあるので、そういう呼吸を大事にしています」

――しかも、演じながら歌うわけですよね。

「小さい頃から、父が私を舞台観劇に連れて行ってくれていて、見よう見まねでミュージカル風に歌ってみたんですけど、ダメでした。やっぱりミュージカルの歌って、台詞なんですよね。音程が外れなければ良いとか、歌がうまければ良いということでなくて、役のことと歌を同時に考えないといけない。そこはすごく難しいと思います」

――ミュージカル『魔女の宅急便』は作品としては、どんな印象がありました？

「主人公のキキは魔法を使える女の子ですけど、誰が観ても共感できる作品だなと思います。13歳のキキが同い年の女の子に嫉妬したり、ニキビを気にしたりしているところが原作にあって、私も同じだったなと親近感が沸きました」