高杉真宙 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「高杉真宙」

2018/06/21

「正解やゴールが見えない職業だからこそ、常に自分の限界を決めないように心がけています」

高杉真宙

高杉真宙

撮影/booro(BIEI) 取材・文/永堀アツオ スタイリスト/石橋修一 ヘアメイク/堤 紗也香 tsutsumi sayaka

消極的で人生の目的を持てずにいた少年・宏伸がギネス記録を持つパノラマカメラと出会い、モノクロだった人生が鮮やかな色に変わっていくという、実話を基にした青春ムービー『世界でいちばん長い写真』。カメラを手にし、少しずつ色づく日々に魅せられていく主人公・宏伸を演じた高杉真宙に、本作の見どころや撮影エピソード、役作りのこだわりなどを語ってもらった。
高杉真宙
――試写で拝見させていただきましたが、とてもいい映画で、心にグっとくるものがあって、二回ほど泣いてしまいました。
「ありがとうございます。そう言っていただいて嬉しいです。僕自身は、この作品は恋愛要素はそんなに強くない、爽やかな青春映画になっていると思っていて。今、学生の人はもちろんですけど、かつて高校生を経験している人たちみんな、懐かしく思えることができる作品なんじゃないかなと思っています」
――改めて、最初にオファーを受けた際の心境から聞かせてください。
「僕は、こういう、なんでもないような日常の中でちょっとずつ変わっていく青春もののストーリーが好きなんです。しかも、実話から生まれた物語と実際にある<世界でいちばん長い写真>を伝えることができる。歴史ものもそうですけど、昔からあったものを再び“伝える”っていうのは、役者としてやりたいことの1つでもあるので、今回、こうやってお話をいただけて嬉しかったです」
高杉真宙
――脚本を読んで、主人公の高校生・宏伸はどう捉えました?
「宏伸は消極的で、言いたいこともなかなか言えなくて。やる前からなんでも諦めてしまっている子という男の子で。根本的な部分で僕自身と似ているんじゃないかなって思いました」
――似ていますか?
「そうですね。今の自分とは違いますけど、中学生の頃の自分と似ているというか、“あ、わかるな”という部分がすごく多かったんです」
――その役柄はどうやって作っていきましたか? 役者を目指す人たちが読んでいる媒体でもあるので、できるだけ具体的にお伺いしたいんですが。
「基本的に、僕自身は台本が全てだと思っているので、そこからどう付け加えていくかだと思うんです。今回に関して言えば、台本には、消極的で、やりたいことをやらずに逃げるとか、手を挙げられないような子というようなことが書いてあって。それに、あっちゃん(竹中温子/武田梨奈)と三好(三好奈々恵/松本穂香)っていう気の強い女の子がいる。身の回りにできる女の子たちがいるために、より自分に自信がなくなっている男の子で。そういう環境下で自信のない子はどういう風になっていくんだろうと考えたんです。台本に、どもっていたりすると書いてあったので、どもりを入れたり、自分自身としては、気の弱さや自信のなさを表すために、宏伸っていう子を小さく見せたいなって思いました。そこから、小さく見えるにはどうしたらいいかなということを考えて、猫背にしてみたり、うつむきながら人の目を見ずに喋ったりとかしていました。そうやって、いろいろと自分の中で考えながらやっていきました」
高杉真宙
――似ていると言っていた、ご自身の中学時代の経験は役作りに活かしたりもしたんですか?
「僕はそこまで自分の思い出を役に使うことはないんです。基本的にはそれは別物だと思っていて。自分と似ているなと思っても、自分を使いたくないタイプなんです。だから、そこの部分で何かを助けてもらったりすることはなかったです」
――監督からは役柄について何かディレクションありました?
「監督さんには、初めてお会いした時に『そのままでいい』と言っていただいたんですけど、僕は自分自身を消すのが楽しいところがあるので。なので、そのままではなく、自分の中では、ちゃんと区別がつくように作っていきたいなって思いながらやらせてもらいました」
――“自分を消すのが楽しい”というのは興味深い表現ですね。それは、役者始めてからずっとそうですか?
「そうですね。基本的に役に自分のことを入れるのはあまり良くないと思っていて。似ちゃっていく部分はいいと思うんです。役を作っていく過程で、“こういうところは似ているな”と気づくのはいいんですけど、自分の持っているもので役を作っていくのはあまり好きではなくて。やっぱり、自分とは別の人間として生かしていきたいなと思うので。だから、どんなに似ていても、自分を消して、イチから作る方が自分は楽しいですし、そういう風に役を作っている時間が僕は好きです」
高杉真宙
――役柄を作った上で、宏伸は引っ込み思案な性格からだんだん成長していきますよね。物語の過程で変化して行くという、その過程も考えていましたか?
「大きな部分で言えば、いろいろ変えていこうと思ったんですけど、実際は現場に入ってから宏伸に対しての見解は変わっていく部分もあるので、自分の中で作った後は、割と気が向くままにと言いますか、大きな分岐点はちゃんと拾いながら、現場や共演者の雰囲気に任せていくところがあります」
――本作の現場はどんな雰囲気でした?
「胸を張って言えるくらい、すごく仲の良かった現場だったと思います。知多半島でオールロケだったんですけど、今回泊まらせていただいていたホテルの一階に談話スペースがあって。そこで、撮影が終わった後に、誰が声をかけるわけでもなく、自然とみんなで集まったりしていました」
高杉真宙
――何かきっかけがあって仲良くなったんですか?
「自然とですね。武田梨奈さんはじめ、年上の皆さんが引っ張ってくださって。みんな、年齢はバラバラなんですけど、不思議とチームメイトのような感情がありました。そこで、喋っていた会話の内容まではあんまり覚えてないですけど、トランプしたり、みんなで楽しく過ごしました」
――武田さん演じる従姉妹の温子と松本さん演じる写真部の部長の三好。宏伸の周りは本当に気の強い女性ばかりでした。
「僕自身は、どちらかというと、自分の意思がはっきりしている人に魅力を感じますし、お互いに鼓舞し合って、高め合っていく関係性が理想なので、気が強い方は素敵だなって思います」
――温子はちょっと口も悪いところがありますが。
「そうですね(笑)。ただ、あれがカッコイイところでもあるのかなって思います」
――そんな中、宏伸は学校のマドンナ的な安藤エリカに惹かれますよね。
「宏伸の安藤さんに対しての想いに関しては、僕は恋愛感情ではなかったんじゃないかなと思っていて。もちろん憧れではあったけど、恋愛ではないんだろうなと感じていたんです。自分と比較がしやすい対象だったんだというか、消極的な宏伸には雲の上の存在だからこそ、あのカメラで撮りたいって思った。そしたら自分が変われるんじゃないかって考えていたんじゃないかなって思います」
高杉真宙
――宏伸が出会った、ギネス記録を持つ360度撮影のできるパノラマカメラはどうでした?
「あのカメラで、世界で一番長い写真を撮ったんだなって思うと、何か、心浮き立つものがありましたし、それと一緒に撮影することができたことは嬉しかったです。僕自身は、もともとカメラが好きだったんですけど、そんなに多く撮る方ではなくて。今回、パノラマカメラに出会ったことで、カメラに改めて興味が湧きまたし、地方に撮影に行った時に使い捨てカメラとかでいろいろと撮影するようにもなりました」
――宏伸は、パノラマカメラに出会ったことで変わっていきます。今まで見ていた日常の風景も違って見えるようになっていきますよね。
「自分にとって何気ない日々の中で綺麗なものを見つけようとする姿はやっぱりカッコイイなと思いましたし、大きな一歩だなと思いました。宏伸の周りの子たちからしたら、ほんの小さな一歩なんでしょうけど、宏伸からしたら、それはすごく大きな一歩で。夢中になれるものが1つできたことで、きっと世界は全く変わって見えたんだろうなって思いますね。また、そういうのにどこで出会えるのかわからないなとも感じました」
高杉真宙
――高杉さん自身は、自分の考え方や物の見え方までも変えてしまうような出会いはありましたか。
「僕はやっぱり、この仕事だと思います。自分にとって、かけがえのないものになりましたし、純粋に楽しいと思えることの1つになっているので。もしもこの仕事と出会わなかったら、ここにいることもなかったし、いろんな作品やいろんな人とも出会えてなかったとも思うので、本当に出会えて良かったなって思います」
――それは仕事を始めた最初からそう感じていました?
「いや、そんなことはないですね。経験を積み重ねていったことで、だんだんと変わっていったんだと思います。最初の頃は……もちろん、必死にはやっていましたけど、どうやっていいかわからないから、楽しむっていう気持ちはなかったです。楽しいよりも、大変だなって思うことの方が多かったので、途中から好きになっていきました」
――特に転機になったなと思うお仕事は?
「『ぼんとリンちゃん』(2014年9月20日公開)という作品かな。小林(啓一)監督に出会ったことが僕にとって大きな転機になりました。撮影の前に3ヵ月くらい稽古があってその後、約1ヵ月の撮影があって。役でいる時間も役を考える時間も長かったというのが、そのときの自分にとって大きかったなと。それによって、役作りの楽しさを知りましたし、そこから役についてより考えるようになって、楽しくなっていきました」
――その作品あたりから、高杉さんの顔つきも変わったというか、年齢的なこともあるかもしれませんが、中性的なイメージから、グッと男らしく変化したように思います。
「本当ですか? 嬉しいです。自分自身、男っぽくなりたいと強く思っていた時期でもあって。当時は中性的なイメージというのが、わりとコンプレックスでもあって。どうにかして男っぽくなりたいと思って、いろいろとやったりしていたんですよね」
高杉真宙
――では最後に。今の高杉さんが思う、役者の“楽しさ”というのは、なんでしょう?
「何が楽しいのかと問われると、言葉ではなかなか答えづらいんですけど。自分は本当に楽しいっていう感情だけでやらせていただいているので、なかなか伝えづらいんですが、正解やゴールが見えない職業だからこそ、常に自分の限界を決めないようにしています。ゴールや目的が誰かの言葉で決まると、自分もそこでいいやとなっちゃうので、あまり聞かないようにしていて。自分の評価は自分で決めて、自分のゴールは自分で見つけたいなと思っている。その見つからなさ具合が楽しいというか、見つけづらい分だけ、楽しめるんじゃないかなと感じていて。答えになっているかわからないですけど、今後も自分の天井を決めないようにしていこうかなと思っています」
Profile
高杉真宙(たかすぎ・まひろ)●1996年7月4日生まれ、スパイスパワー所属。2009年に舞台で俳優デビュー。2012年には『カルテット!』で映画初主演を飾る。近年の主な出演作は、ドラマ/『セトウツミ』(TX)、『賭ケグルイ』(MBS・TBS)、映画/『PとJK』、『ReLIFE リライフ』、『逆光の頃』、『トリガール!』、『散歩する侵略者』など。2018年は本作を含め、『プリンシパル』、『虹色デイズ』(7月6日公開)、『ギャングース』(今秋公開)、劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』(9月1日公開)などの主演作のほか、『君が君で君だ』(7月7日公開)、新感線☆RS『メタルマクベス』disc3への出演が決定。
映画『世界でいちばん長い写真』
6月23日よりシネ・リーブル池袋・イオンシネマ全国順次ロードショー
世界でいちばん長い写真
世界でいちばん長い写真
© 2018「世界でいちばん長い写真」製作委員会
『武士道シックスティーン』や『ストロベリーナイト』など幅広いジャンルで活躍する人気作家・誉田哲也による同名小説を映画化。
≪story≫
高校写真部の内藤宏伸(高杉真宙)は引っ込み思案がたたり、部長の三好奈々恵(松本穂香)に怒られるばかり。人物写真をテーマにした写真品評会も人を撮るのが苦手な宏伸にとっては苦痛でしかなかった。
しかし、高校最後の夏休みのある日、宏伸は従姉の温子(武田梨奈)が店長をしているリサイクルショップで今まで見たことがない大きなカメラを見つける。カメラの使い方がわからない宏伸は温子の勧めで近所の写真館の店主・宮下(吉沢悠)を訪ね、このカメラは360度長い写真が撮れるよう改造された世にも珍しいパノラマカメラだということが判明する。宮下に使い方を教えてもらい、宏伸はパノラマカメラで最初の360度写真を撮影する。現像した写真を見て、いままでにない感動を感じた宏伸は次の日から360度撮影したい景色を探して街を自転車で駆け巡る。ようやく辿り着いたのは温子の旧友、智也(水野勝)が育てるひまわり畑だった。

公式サイト: http://sekachou.com/
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【応募のきまり】
件名:高杉真宙 サイン入りポラプレゼントと明記し、本文:[名前]、[年齢]、[都道府県]、[インタビューの感想]、[今後インタビューしてほしい人・要望]を記入して、下記メールアドレスに送信して応募。

【応募メールアドレス】
deview-oubo@oricon.jp

【応募締切】
2018年7月7日(金)23時59分まで。

※抽選の上、当選者のみにメールでご連絡いたします。当落のお問い合わせにはお答えできませんので、ご了承ください。
※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。
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