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2022/08/05 20:39
主演・荒木宏文が”陰と陽”相対する一人二役を見事に表現、舞台「漆黒天 -始の語り-」開幕
【ムビ×ステ】舞台『漆黒天 -始の語り-』が5日、東京・サンシャイン劇場にて開幕。初日公演に先駆けて公開ゲネプロが行われた。
本作は、ひとつの作品世界で語られる「ムービー(映画)」と「ステージ(演劇)」を公開&上演するプロジェクト【ムビ×ステ】の第三弾。主演・荒木宏文、脚本・末満健一、監督・坂本浩一による映画『漆黒天 -終の語り-』が先日公開され注目を集める中、同映画の前日譚を描く舞台『漆黒天 -始の語り-』が主演・荒木×作&演出・末満で上演される。
■公開ゲネプロ オフィシャルレポート
本作の舞台となるのは、戦乱が終わり、徳川による治世が始まったばかりの江戸。新しい時代に、「人を殺す剣」ではなく「人を活かす剣」の在り方を求める宇内道場の師範・宇内陽之介(荒木宏文)は、志を共にする友・嘉田蔵近(梅津瑞樹)、妻・富士(小島藤子)子供たち、門下生や弟子入り志願でやって来た邑麻二郎太(松田凌)・三郎太(長妻怜央)兄弟らと共に、心穏やかな日々を送っている。そんな中、江戸の町を騒がせる破落戸集団「日陰党」に頭を悩ませた玖良間士道(鈴木裕樹)から「日陰党討伐隊」への誘いがかかる。
もちろん単体で観ても十分に楽しめるようにつくられた作品だが、やはり【ムビ×ステ】という、映画と舞台が連動する醍醐味を深く感じられる本作。それは舞台で描かれるのが、既に公開された映画『漆黒天 -終の語り-』の前日譚であり、映画を観た人は既に結末を知っていることが大きい。舞台では数多く描かれる「日なたのような温かい時間」がどうなるのか、映画を観た人は知っているからこそ、一つひとつのシーンや台詞が、何倍もの意味を持ち、世界を広げていく感覚が味わえる。
その中で主演の荒木は、日なたを生きる陽之介と、日陰を生きる旭太郎という二役を、まるでマーブル模様のように演じ分ける。陽之介と旭太郎という真逆のように思える人物を、時に鮮やかに、時に濁るように演じる姿を観ていると、この物語の描く"漆黒"が浮かび上がってくるようにも感じる。また逆に、荒木以外のキャストの面々が役を魅力的に演じれば演じるほど、"漆黒"が深く深く沈んでいくようだった。
また、陽之介と旭太郎以外の登場人物たちの背景も丁寧に描かれている。日なたにいる彼らと、日陰にいる彼ら、それは「正義」と「悪」という、物語の世界では特に「違う生き物」に見える存在だ。その一人ひとりの背景や感情が、この物語のまた違う側面を見せているように思えた。そんな登場人物のストーリーを感じられる殺陣にもご注目を。例えば陽之介を取り巻く人々の刀さばきは美しく整っているが、そこに「覚悟」があるのかないのか、なにを想って刀を振るのか、そういうものが自然と感じられるようにつくられている。同じく、日陰党の面々の“自己流”を感じるアクションにも、彼らがどんな生い立ちだったのかを想像させられた。
舞台を観たら映画に、映画を観たら舞台に、違った手触りを感じられるだろう。まずはぜひ劇場で、この“漆黒”を体感してほしい。
【公演概要】
ムビ×ステ 舞台『漆黒天 -始の語り-』
東京公演:2022年8月5日(金)〜 21日(日)サンシャイン劇場
大阪公演:2022年8月31日(水)〜9月4日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
作・演出 末満健一
音楽:和田俊輔
出演:
荒木宏文
松田凌 長妻怜央(7ORDER) 梅津瑞樹 / 小島藤子
橋本祥平 松本寛也 加藤大悟 安田桃太郎
小澤雄太 鈴木裕樹
≪story≫
戦乱が終わり、徳川による治世が始まったばかりの江戸。
新しい時代に「人を活かす剣」の在り方を求める宇内道場の師範・宇内陽之介(荒木宏文)は、家族や門下生らと共に心穏やかな日々を送っていた。
ある日、陽之介の心友であり別の道場を営む嘉田蔵近(梅津瑞樹)の出稽古の相手をしているところに、邑麻二郎太(松田凌)と三郎太(長妻怜央)という兄弟がある理由をもって弟子入り志願にやってくる。
時同じくして、巷では破落戸集団である「日陰党」が江戸の町を騒がせており、町人たちはその悪行を「日陰事変」と呼んで恐れていた。
日陰党の悪評が陽之介の耳にも届く頃、与力である玖良間士道(鈴木裕樹)より町道場の師範たちに招集がかかる。
それは日陰党討伐隊への誘いであった。
映画『漆黒天 -終の語り-』で描かれた"名無し"の前日譚(始の語り)。