川栄李奈 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「川栄李奈」

2016/10/19

「前作はとにかく必死で、余裕がなかったけど、反省点を振り返りつつ、さらにレベルアップしていけたら」

川栄李奈

撮影/booro(BIEI)、取材・文/長島恭子

2015年に川栄李奈主演で上演され、絶賛のうちに幕を閉じた『AZUMI〜幕末編』から一年を待たずして、日本漫画史に金字塔を打ち立てた『あずみ〜戦国編』の上演が決定。『幕末編』の前作、パート1にあたる『戦国編』は、映画版で上戸彩があずみを演じ、2005年の舞台版では黒木メイサがあずみを務めた。10年の時を経て、キャストを一新して、前作よりスケールアップした本作に挑む川栄に、現在の心境を語ってもらった。
川栄李奈
――AKB48卒業後の初舞台で初主演を演じた『AZUMI〜幕末編』から1年。再び、“あずみ”を演じることになり、どんな気持ちですか?
「前回の舞台にはとても強い思い入れがあるので、今回、あずみをまた演じられることになって、すごく嬉しいです。前回は、何もかも初めての経験ばかりだったので、なんだろう……とにかく必死で、余裕がなかったんです。今回は前回の反省点を振り返りつつ、さらにレベルアップしていけたらいいなと思っています」
――余裕がなかったとのことですが、川栄さんの評価は非常に高かったです。そのことは自信につながりましたか? それともプレッシャー?
「ありがたいなと思いながらも、周りからの評価というのはあまり気にしていなくて……。楽しく演じきれたことが良かったなと思っています。ただ今回は、さらに殺陣をうまく見せられるようになりたいし、周囲にも気を配れるようにやっていきたいと思っています」
――前作では初めて演じているとは思えないほど迫力のある殺陣を披露していましたが、どのように身に着けていったのでしょう。
川栄李奈
「稽古場では今回も共演する早乙女友貴さん(美女丸役)がつきっきりで教えてくれました。自分でもおもちゃの刀を買って復習したりもしました。その刀は前回の千秋楽後に捨ててしまったのですが、お母さんがまた買ってきてくれたので(笑)、今回もそれで復習します!」
――前回は劇中で350人斬りをみせましたが、型のパターンも非常に多いですよね。どうやって頭に入れていくのですか?
「ひたすら覚えるしかありません(笑)。相対する役者さんで覚えたり、セリフを言いながら切るシーンではセリフを目印にしたりします。元々、身体を動かすことは好きですが、殺陣そのものはすごく難しいです。殺陣は型がとても大事なんですよね。だけど、自分で“できているな”と思っても、鏡で確認すると動きが汚かったりして……。今回も私の宿敵を演じる早乙女友貴さんは、殺陣が本当に上手な方なので。前作では早乙女さんをはじめ、舞台や殺陣の経験が豊富な役者さんたちよりも強く見えなくてはいけなかったし、覚えることに必死すぎました」
――演じていて、“決まった!”という手ごたえを感じるときもある?
「あります!“今日はぶつけてしまったな、合わなかったな”という日もあれば、“あ、合致したな!”と思う瞬間もあるんです」
――今回は前作の1.5倍くらいの人数を斬る殺陣となるとか。体力づくりも必須?
川栄李奈
「いつも稽古場で筋トレをするので、プライベートでは何も一切仕事のことはしないと決めています(笑)。稽古が始まる前に出演者が輪になって、腕立て伏せや、腹筋、それから両脚の太ももの上に刀を置いて、それを落とさないようにスクワットとか、一人一人10回ずつカウントしながら一周するんです」
――それはハード!
「そうなんです。その後、殺陣の稽古が続くので、必要な筋力もつくし体力もかなり消耗します。だから稽古にはしっかりと体調を整えて臨みます!」
――演出は前作に続き岡村俊一さんですが、制作発表会では川栄さんを“容量の多いハードディスクを備えた性能のいいコンピュータ”と評しました。その言葉を受けての気持ちは?
「そうですね。覚えられることは覚えられるので、はい、ひたすら頑張って覚えます(笑)」
――岡村さんの稽古はどんな感じ?
「すっごく頭を使います。稽古をしながら、台本がどんどん変わるんです。ごっそり10P分、後ろに移動することもあれば、その場その場ではける位置も変わるし、細かいところの微調整も多くて、覚えるのが大変でした(笑)。今はまだ稽古前ですが、今回も本番までにかなり台本が変わるんじゃないかなと思っています」
川栄李奈
――あずみの役作りについて話し合いやアドバイスはありましたか?
「話し合いというのは特にありませんでした。岡村さんは稽古中に私が何かのセリフを言うと、それを拾って“このセリフをどう思っているか”と気持ちを聞き、逆に私の気持ちをセリフにしたりもするんです。だから、みんなで作り上げていく感じのする芝居ですね」
――テレビや映画と違い、舞台は生ものです。回を一つ一つ重ねるにつれて、川栄さんが磨かれたものは何でしょう?
「セリフも殺陣も考えながら動くので、めちゃめちゃ頭を使いますし、毎回、毎回、舞台に立つのは緊張しました。だけど、前回は“磨かれた”というよりも、回を重ねることで舞台に気持ちが慣れてしまったことが大変でした」
――ハードな舞台でしたからね。体力とともに気持ちも消耗していった感じでしょうか?
「はい……そうですね。初日からしばらくはすごく不安を抱えていたのですが、途中からどんどん、気が入らない日が続いたんです。なんか、もう、すごく疲れてしまって。私以外のキャストの皆さんはほとんど舞台経験者だったので、みんなに、自分の状態を相談しました。そうしたら『舞台をやっているとそういう時期もある。だから大丈夫だよ』と言われて。その言葉で不安もなくなり、やり切った気持ちで終われました」
川栄李奈
――さて、今回の『あずみ〜戦国編』は前作よりも前の物語、いわばパート1にあたります。今回はどんな作品になりそうですか?
「前作もバタバタと人が死んでいきましたが、今回もつらい話になりそうです。あずみは刺客として育てられ、過酷な宿命を背負った女の子。自分とは育てられた環境がまったく違うし、自分が持っていないものばかりですが、そこは台本から読み取りお芝居をしていきます」
――デビューの読者世代の若者は時代劇というものに触れる機会が少ないと思います。時代劇、そして今回の舞台の見どころというと?
「私もあずみを演じるまで、時代劇をほとんど観たことがなかったです。だから、台本を読んだときに、昔と今とでは人が生きる環境が全然違うと思いました。例えば、力の強い者が一番だったり、好きな人を斬らなければならない様々な事情があったり……。昔は死がもっと身近で当たり前にあったんですよね。前作と同じくあずみが主演ではありますが、新しいキャストで、まったく違うお話になります。『戦国編』というタイトルを聞くと難しいかな?と思われそうですが、そんなことは全然なくて。友達の死に直面すること、好きな人を自ら斬らなくてはいけないことがどれだけ悲しく、辛いことかを伝えられたと思います。そして、それでも強く生きていた子がいたんだということを知ってほしいです」
――座長としての意気込みは?
「特に考えてはないのですが、重い作品だし、稽古もすごく大変だと思うので、稽古後は楽しくご飯に行くとか、皆で支えあっていける現場になったらいいなと思います。私は、稽古や本番は真剣に、でも和気あいあいとした雰囲気も出していきたいですね」
川栄李奈
――AKB48卒業後、この舞台をはじめ、連続テレビ『とと姉ちゃん』、映画『デスノート Light up the NEW world』など、女優として活躍の場を広げています。今、感じている芝居の魅力とは?
「今はとにかく、いろんな役を演じられることが嬉しいです。例えば、同じような場面があったとしても、役によって感じ方が違ってくるし、生き方もいろいろ。今後、たくさんの役を演じていくなかで、役から吸収できるものがあるんじゃないかな、と楽しみです」
――最後に、芸能界を目指している『デ☆ビュー』読者にメッセージをお願いします!
「夢って自分のやりたいこと。やりたくないことをずっとやっていくのは辛いけれど、自分がやりたいことなら人から見たら辛いことでも楽しいと思います。だから、目標に向かって挑戦していって欲しいです!」
Profile
川栄李奈(かわえい・りな)●1995年2月12日生まれ、神奈川県出身。エイベックス・ヴァンガード所属。2010年、AKB48第11期研究生オーディションに合格。2015年8月、AKB48を卒業。2015年9月、『AZUMI 幕末編』で初舞台初主演を果たす。その後、連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)、ドラマ『死幣-DEATH CASH-』(TBS系)、『こえ恋』(テレ東系)などに出演。10月29日には映画『デスノート Light up the NEW world』の公開が控える。
舞台『あずみ〜戦国編』
11月11日(金)〜27日(日)Zeppブルーシアター六本木
あずみ〜戦国編
昨年、川栄李奈主演で上演され、絶賛のうちに幕を閉じた『AZUMI 幕末編』から一年を待たずして、日本漫画史に金字塔を打ち立てた『あずみ〜戦国編』の上演が決定。「戦国編」は「幕末編」の前作、言わばパート1にあたり、かつて映画版では上戸彩が、舞台版では黒木メイサが【あずみ】を熱演。10年の時を経て蘇る『幕末編』では、川栄がまた新たな【あずみ】に挑戦する。
≪stroy≫
時は戦国。人々の心は荒れ、野は焼けただれ、国はその形をもはや失いつつあった。 その戦国の世に、刺客として育てられた美しい少女、あずみが姿を現す。 あずみは10人の仲間と共に人里離れた山奥で、天下泰平のために、不穏な動きをする勢力を摘みとるための刺客として育てられた。だが、あずみたちは自らの運命を知らぬまま、戦国の乱世に身を投じてゆく……。

公式サイト: http://azumi2016.com/
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