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インタビュー「伊藤歌歩」

2025/03/04

「俳優をやってみたいのに、何かの原因で迷ってるようなら、一回やってみたら?と言ってあげたいです」

伊藤歌歩

――演技への想いに火を点けられながら、おあずけになったと(笑)。でも再び演技の道へと足を踏み入れるんですね。

「大学に入学したとき、何かをやりたいのだけど、何をしたらしいか分からなくなったとき、またお母さんが“事務所に入って演技をやってみたら?”とアドバイスをくれて。事務所も色々探してくれて、その時にヒラタオフィスのオーディションを受けて、最初は、フラッシュアップに入所したんです」

――一度演技の経験があるとは言っても、ブランクはかなり長いですよね。

「週1回のレッスンに通っていたんですが、演技ができなさ過ぎて! 私、器用貧乏で、なんでもそれなりにできてしまうほうだと思っていたのですが、世の中にこんなにもできないことがあるんだって。演技が楽しくてハマったというよりは、できなくて悔しいという想いが最初の入り口だったと思います」

――レッスンを受けていく中で、成長したことや発見したことはありますか?

「オーディションに受かったことで、成功体験を重ねたことは大きかったと思います。最初のころはオーディションにもたくさん落ちて、ずっと泣きながら帰っていたんです。オーディションに行くと、年齢関係なく芸歴が長い子も多いので、演技の経験では敵わない。自分は芸歴も浅いし演技もできないから、嘘だけつかないようにしようと決めていました。セリフって自分の言葉ではないから“嘘”ではあるんですけど、セリフを言うときにはできるだけ嘘がないようにしようと思っていました」

伊藤歌歩

――フラッシュアップからは、三山凌輝さんや坂元愛登さんなど、多くの才能が巣立っています。伊藤さんにとってフラッシュアップはどんな場所ですか?

「本当に原点です。そして俳優を始めたばかりの自分のことを知っていて、黒歴史を握られてます(笑)。この場所に来るたびに、あの頃を思い出すんです。演技とか何もわからず、毎日泣きながら帰ったこと。スタッフの方達にもいろんな相談に乗っていただきましたし、第二のホームのような存在で、演技を考える時のベースになっています。現在のマネージャーも、ここでレッスンをしている時から見守ってくれていた方なんです。演技についての相談はしないんですが、今日感じたことや、今度行ってみたいところ、演技以外でやってみたい仕事について、あとは本当にどうでもいい話を聞いてもらったり…。それが本当に有り難くて、恵まれた環境だなと思っています」

――そしてヒラタオフィスの所属となり、多くの作品に出演してきたわけですが、ご自身のターニングポイントになった作品は?

「映画の『裸足で鳴らしてみせろ』(2022年)と『福田村事件』(2023年)です。『裸足で鳴らしてみせろは』は初めてメインで出演した長編映画で。映画の現場について勉強させていただきました。スタッフは京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)のチームなんですが、みんなが同じ方向を向いて進んで、“こんな作品を作りたいから、全員でここに行こう!”という力を強く感じる現場で、楽しかったという記憶があります。この作品もオーディションだったのですが、台本をいただいた時、読み始めたら止まらなくなって、2周目に入って“わーっ!”って家で泣いてしまって。それぐらい好きな作品なので絶対に受かりたいという気持ちで臨みました。オーディションには“この役ならこんな服を着ていそう”だと思って、白いTシャツにビーチサンダルで行ったんです。後から監督が“その子が目の前にいるみたいだった”と言ってくれたので、“なるほど、こういうことなんだ”と、そこから役への向かい方も変わった気がします」

伊藤歌歩

――『福田村事件』またタイプが違う作品ですよね。

「『福田村事件』は本当にハードな現場でした。でも1ヵ月間ずっと京都の撮影所の独特な雰囲気の中で、京都で作品を撮られてきたたくさんの先輩方の演技を間近に見ることができて、“こういう人になりたい”と自分の芝居がガラッと変わりました。作品作りにかけるエネルギーが凄すぎて笑っちゃうぐらいだったのですが、その熱量に負けちゃいけないと、魂を削った記憶があります。何もできなくてもいいから、一歩だけでも前に進んでみるということだけを考えて現場にいました」

――様々な現場を経験してきて、今は俳優としての自分の成長や変化が楽しみなのではないですか?

「自分のキャリアはまだまだなので、本当に先が長いなと思いました。俳優って一生完成することがない仕事なんだなって感じています。結婚したりして、人生のフェーズが変わることもあるだろうし、人生・生活とリンクしている仕事という気もするので、楽しみでもあり、果てしないなとも思います」

伊藤歌歩

――今後はどんな仕事をしていきたいと思いますか?

「やっぱり映画が好きなので、映画の仕事を続けたいなと思います。やりたい役、一緒に仕事をしてみたい監督さん、俳優さんももちろんいるのですが、今は自分の成長のために、与えられた役を全力でやりたいという気持ちのほうが強いですね。あと一方で生活を楽しみたいと思っています。それは芝居へとつながっていくものだと思うから。もっといろんなところに旅行したり、いろんな人に会ったりしたいと思います」

――デビューはこれから俳優を目指す読者がたくさん読んでいるサイトです。ご自身の経験を踏まえて、背中を押してあげられるような言葉をいただけますか。

「俳優をやってみたいのに、何かの原因で迷ってるようなら、一回やってみたら?と言ってあげたいです。私もやってみてから、全然演技ができないことによってハマっていったので。一歩を踏み出してみることで、今まで知らなかった自分を発見できたりしますし、自分が予期しない役を演じた時に、役に共感できなくても自分と通じる部分があったり、日々自分を発見できる仕事なので、すごく楽しいと思うんです。そういうことに興味があるのだったら、まずはやってみてほしいと思います」

PROFILE

伊藤歌歩(いとう・かほ) 1997年4月4日生まれ、神奈川県出身。趣味:フィルムカメラ、ハンバーガー、古着、ライブ(音楽・お笑い)特技:バドミントン。
▼主な出演作
【映画】
連作短編集『LONG SHOT』 監督:上杉哲也(2024年12月〜配信中)
『福田村事件』監督:森達也(2023年)
『リボルバー・リリー』監督:行定勲(2023年)
『裸足で鳴らしてみせろ』監督:工藤梨穂(2022年)
【ドラマ】
Netflix『君に届け』遠藤朋美役 (2023年)

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Information

ヒラタオフィス+TAAC『さえなければ』
2025年3月5日(水)〜12日(水)サンモールスタジオ

さえなければ

ある住宅街で、自治体による遺体ホテルの運営が始まった。現在もなお、職員と施設に反対する近隣住民の間で、侃侃諤諤の論争が繰り広げられている。そんなある日、1体の遺体の行方がわからなくなって。 (※遺体ホテルとは・・・火葬や葬儀までの間、故人を安置するための場所。近年、多死社会・火葬場不足などによりその需要が高まっている)

作・演出 :タカイアキフミ
出演:遠藤健慎、福崎那由他
伊藤歌歩、古澤メイ、高畑裕太
永嶋柊吾

◆公式サイト
https://www.taac.co/sae

Information

現在募集中『ヒラタオフィス全国新人オーディション』

ヒラタオフィス全国新人オーディション

設立当初よりジャンルにとらわれず、タレント個々の才能を活かし幅広いプロモーションを展開している「ヒラタグループ」。現在も、映画・TV・CF・ファッションからアニメに至るまで、本人の希望や適性を活かし所属者をマネージメントしている。

所属者には、TBS日曜劇場『アンチヒーロー』主演の長谷川博己、フジテレビ木曜劇場『ギークス〜警察署の変人たち〜』主演の松岡茉優、NHK2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』お市役にて出演する宮アあおい、NHK 連続テレビ小説『おむすび』佐藤珠子役の谷藤海咲、ミュージカル『東京リベンジャーズ』#2 Bloody Halloween場地圭介役など舞台を中心に活躍中の鈴木勝吾、他に土村芳、望月歩、工藤夕貴など実力派の顔ぶれが揃う。モデル部門には、『anan』や『ELLE girl』『NYLON』等で活躍中の中島侑香や東咲月ら、声優部門にはTVアニメ『呪術廻戦』禪院真希役の小松未可子、TVアニメ『アキバ冥途戦争』和平なごみ役の近藤玲奈などが在籍。キッズ部門「ヒラタビーンズ」のプロモーションにも力を注いでいる。また、同グループの新人育成/プロモーションを手掛けるフラッシュアップ/FLASH UP etoileでは、カンテレ・フジテレビ系月曜ドラマ『モンスター』栗本颯役の坂元愛登、映画『誰よりもつよく抱きしめて』主演の三山凌輝、劇場版アニメ『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』主演の片山福十郎、映画『遺書、公開。』にて出演の上村海成らが在籍している。

そんな「ヒラタグループ」が、次世代スターを発掘するべく新人オーディションを開催。現在所属者を募集している。

“人に愛されるタレント作り”を念頭に、言葉遣いやあいさつなど、業界人としてはもちろんのこと、社会人として大切になるマナーやルールもしっかりと教えていく。現在、各方面で活躍中の所属者を育成してきた独自のコンセプトにより、丁寧に新人育成を行っていく。

◆主な所属者(ヒラタグループ)
宮アあおい/長谷川博己/松岡茉優/小松未可子/工藤夕貴 ほか


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