芳根京子 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「芳根京子」

2016/10/05

「一番この作品を愛していたいという想いは、はじめからブレることなく、今も同じ気持ちでいます」

芳根京子

撮影/booro(BIEI)ヘアメイク/KOTOMI スタイリング/藤本大輔

10月3日より放送がスタートした、NHK 連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロイン・坂東すみれを演じている芳根京子。戦後の焼け跡の中、子供服作りにまい進し、日本中を元気にかけぬけていくヒロインを演じる彼女に、本作への想い、今の心境をたっぷりと語ってもらった。
芳根京子
――5月末からのクランクインから約4ヵ月。今の心境を改めて教えてください。
「気持ち的な部分では最初のころとそんなに大きく変わったところはなくて。初心を忘れちゃいけないな、忘れたくないなという想いが強いからだと思うんですが……。“主演だから私が何かをしないと!”とか考えてしまうと、自分自身でプレッシャーをかけてしまう部分が大きくなってしまうと思うので、主演だからと気負わずにいたいです。でも、一番長く現場にいるので、一番作品のことを考えていたいですし、一番この作品を愛していたいと思っています。それは始めからブレることなく、今もずっと同じ気持ちでいます」
――改めて、今作のヒロイン・すみれをどういう人物だと捉えていますか?
「すごく強い女性だなと日々演じていて思います。今は9週目まで撮影が進んでいるのですが、1週目で渡邉このみちゃんが演じた小さい頃のすみれは、自分の言いたいことを言えないような子でしたが、週を重ねていくことに、どんどん強くなっていくんです。そんなすみれに、私はすごく感動しています。でも、その中でも上品さや、小さいころからある好奇心とかは、ずっとこれからも持っていたいなと思っていて。どんどん成長はしているけど、このみちゃんが演じた小さい頃のすみれを大切にして、演じていきたいなと思っています」
――撮影が第9週目まで進んでいるということですが、今までの撮影で印象的だったシーンは?
「刺繍やお裁縫をしているシーンは、特別な想いがあります。私たちも4月からお裁縫のお稽古を始めて、実際に自分たちでやっているので。刺繍に関しては、ゼロからというか、下書きをするところからやったりもしましたし、『ぺっぴんさん』の魅力というのが、そこにはまずあると思うので、刺繍や裁縫シーンはぜひ注目してほしいなと思います」
芳根京子
――刺繍のお話が出たところで、裁縫のお稽古は、すみれと一緒に手芸倶楽部のメンバーとなる良子役の百田夏菜子さん、君枝役の土村芳さんも一緒だったんですよね?
「クランクイン前までは、ほとんど一緒にみんなでお稽古していました。でも、最近はどうしても撮影が多いので……。合間の時間に私一人で新しい刺繍を習ったりとか、最近は変わってきています。一応、役としては3つの分担に分かれていて。3人ともお裁縫や手芸は得意でやっているけど、その中でも君枝ちゃんがデザイン書いて、良子ちゃんが型紙を起こして、みんなで作って、最終的に刺繍をすみれがやるっていうような分担になっているんです。お稽古しているときはみんなで同じ稽古をしていましたけど、最近は違う仕事をしている感じで、それぞれにすごく合っているなって思います」
――先日の会見で、亡くなられた御祖母様が手芸の先生だったというお話がありましたが、一緒に作ったもの、またはもらったもの中で、芳根さんの中で特別な“べっぴん”なものは?
「祖母は手芸が本当に大好きで、お裁縫の先生とかパッチワークの先生をしていたんですが、ニットとかクッションとかいろいろ送ってくれて。その中でも一番感動したのは、ベッドカバーです。普通のベッドもすっぽり入るくらい大きいベッドカバーを、パッチワークで全部手縫いで作ってくれたんです。私はそれにすごく感動して、はじめは大切にしたかったので使えなくて、壁に張って飾っていたんです。でも、祖母が亡くなってからは、使うことがいいのかなと思うようになって、東京の家で毎日ベッドカバーをかけて、仕事に行ったり出かけたりしています」
――第1週では、幼いすみれが、市村正親さん演じる靴店の麻田から“もの作り”について教えてもらうシーンがありますが、あの哲学はお芝居にも通じるものがあるのでは?
「麻田さんの『想いをこめて』というセリフは、何に対しても大切なことだなということを改めて気づかせてもらいました。すみれの場合は、お裁縫を通して、麻田さんに言われた言葉ですけど、私も1シーン1シーン想いをこめて演じたいですし、1シーン1シーン大切に丁寧に描いていきたいなという風に思いました。人と話をするときもそうですし、何をするときでも“想いをこめる、伝える”というのは大切なことだなと。とても素敵なシーンで、映像を観たときにすごく泣きました」
芳根京子
――今おっしゃられた『想いをこめて』という言葉のイントネーションが、自然と関西弁になっていますね。
「本当ですか? 1回言ったセリフとか、聞いたセリフは関西ことばになってしまったりするんです。普段も普通に話していて、“あ、今、関西ことばだった”って思う瞬間が増えてきましたし、『すごく馴染んできたね』といわれることも多くなって、嬉しく思います」
――今作では、結婚や出産、母親役や戦争など、19歳の芳根さんからすると、あまり想像ができないことをお芝居でやることになると思うのですが、何か苦労した点はありましたか?
「私もまだ19歳なので、授業で習ったことくらいしか知識がなくて、最初はどうしようかなってすごく考えました。クランクイン前に、チーフの演出の方から『自分よりも年上の方で、特におばあちゃん、おじいちゃんの年表を作ってきてほしい』という宿題が出たんです。それで、東京に戻ったときに、今一緒に住んでいる祖母に『おばあちゃんの小さい頃からの話を教えて』ってお願いして、祖母が生まれたときのことや、いつ東京に来て戦争が始まったのか、戦争中はどんな生活をしていて、どういう気持ちだったのかとか、私もどこから聞けばいいのかわからない部分もあったんですが、とにかく全部聞いてみようと思って。その話を元にして作った祖母の年表を通して、時代が見えてきたなって思いました」
――そのほかにも何か準備したことはありますか?
「写真を見たり、本を読んだり、いろいろな方のお話しを聞いたりして、この時代はこういう時代で、どういう風景で……というようなことを知っていきました。インターネットで調べたら、神戸に資料館があるのを見つけて、スタッフさんに聞いたら『そこはオススメだよ』と教えてくださったので、そこに行ったりもしました。とにかく自分で集められる情報は全部集めようと思っていたので、いろんなところに足を運んだりとか、実際に体験したりとか、実際に観たり、聞いたりするというのは、今もやっています」
――母親として赤ちゃんと接するシーンもありますね。
「私は一人兄がいる妹なので、自分よりも年下の子に触れ合う機会っていうのが、友達の妹くらいしかいかなったので、赤ちゃんに触れる機会って、今までぜんぜんなかったんです。でも、私は小さい子が大好きなので、すごく嬉しかったです」
芳根京子
――役を通して母性が芽生えた?
「一緒に遊んだり、ご飯食べたり、お菓子を食べたりしていくなかで、どんどん懐いてくれて。“この子の笑顔を守りたい”とか“この子が幸せでいてくれたら、こんなにも幸せな気持ちになれるんだ”というのを実際に感じることができて、小さい頃の話を母から聞いたりもしましたけど、なによりも体験というか、目の前に小さい子がいたときに感じること、それが一番大切なことかなって思いました」
――今作では第2週目に出産を控えるなど、わりと早い段階で母親になりますが。出産シーンの撮影はいかがでしたか?
「そのシーンは、小さい赤ちゃんが実際に隣にいる状態での撮影だったんです。リハは赤ちゃんの人形でやったんですけど、私、リハから大号泣してしまって。私自身も“あれ?どうみてもコレ人形なのに、なんで私こんなに涙出るんだろう”って思って、みなさんも大笑いしていたんですけど(笑)。演出の方からも『人形なんだから泣くな』って言われて。その後の本番では実際の赤ちゃんと撮影したんですが、自分が生んだわけではないのに、自然に涙が出るということに、自分でも不思議な気持ちになりました。気持ち的にはまだまだ子供だと思っていたけど、自分にもこういう感情があるんだなって、気づかされました」
――すみれを通して母親としての気持ちが自然と沸いてきたんですね。芳根さんは、将来どんな母親になりたいと思いますか?
「その出産シーンのこともあるので、もし自分の子供が生まれたらどうなるんだろうって思います。泣きすぎて脱水症状で消えてしまうんじゃないかなと。お芝居を通して、自分の中で勝手にリアルな感じが生まれたというか、将来、子供はほしいと思っているので、楽しみだなって思っちゃいました」
――お話を聞いていても、撮影がすごく楽しいんだろうなというのが伝わってきますが、『べっぴんさん』チームはいかがですか?
「『べっぴんさん』チームは最高だと思っています! 約9ヵ月という長期の撮影は初めてですし、ずっと同じ役を演じるというのも初めてで、ヒロインに決まった直後は不安が大きかったんです。でも、その1週間後くらいからほとんど大阪生活という感じだったんですが、お稽古の期間は、スタッフさんともお話をする機会も多かったですし、ご飯に行けたりする機会もあって。クランクイン前に、役としてではなくて、私自身とスタッフさんや共演者の方々と関わる期間が2ヵ月弱あったので、そこでグッと距離が縮まって、“これは自分をさらけ出しても大丈夫だな”という安心感が生まれました」
芳根京子
――変に無理することなく、自然体でいられる現場なんですね。
「素の状態でいられて、毎日楽しくいられるのは、みなさんと人と人の関わりを持てたからだなと思いますし、共演者の方ともコミュニケーションをちゃんと取れているし、こういうことが大切なことだったんだなと、このチームに入って改めて思いました」
――共演者の方とはどんなコミュニケーションをとっているんですか?
「『最近寝てる?』とか『体調大丈夫?』とか、みんなで声を掛け合ったり、『最近どこのご飯美味しかった?』とかそういう話をしています。ご飯の話を一番よくするのは、蓮沸(美沙子)さんと高良(健吾)さんですね。『昨日の夜どこに行った?』、『今日、お昼空くけど、どこ行く?』、『あそこ美味しかったよ』とか、撮影で会う度に情報交換しています(笑)」
――百田さんや土村さんの同世代キャストもいらっしゃいますが、休憩中はどんな雰囲気ですか?
「休憩中は本当に傍からみたら“しょうもないな”っていう感じだと思います。夏菜子ちゃんが座っていたら、基本、どんなにソファーが広くても真横にくっついて座るんです、私が。そうすると、夏菜子ちゃんに『こっち来ないで!』とか『暑い!』とかって言われたりするんですけど、最近は横どころか膝の上に座るようになってきていて(笑)。夏菜子ちゃんとは、2年前の夏から映画と舞台(『幕が上がる』)でご一緒させてもらっていたので、全部身を捧げられるというか、一緒にいてすごく安心できるんです。でも、安心感がありながらも負けたくないなとは思っています」
芳根京子
――仲は良いけど、負けたくないと。
「そういう想いが出てきたことって、すごくいいことだなって思っていて。今まではそこまでなかった想いが、この現場に入って出てきたというのは、きっと同じオーディションを経て、ここに立っているからだろうなって思うんです。同じオーディションでヒロインに選んでもらったからには、やっぱりこの人がヒロインで良かったって思ってもらえるような存在になりたいと思ったので。そういうところから、上の方々にはしっかりとしがみついて、這いつくばってでも一緒歩きたいという想いと、同世代の方々にはみんなで一緒に歩いていくけど、でも負けたくないなと。もちろんすごく仲良くて、ご飯も行ったり、いろんな話をしたりするけど、その中でもみんなでそういう想いになれば、きっともっともっといい作品になるんだろうなって思っています」
Profile
芳根京子(よしね・きょうこ)●1997年2月28日生まれ、東京都出身。ジャパン・ミュージックエンターテインメント所属。2013年にドラマ『ラスト・シンデレラ』で女優デビュー。2014年、NHK 連続テレビ小説『花子とアン』では、ヒロインの親友の蓮子(仲間由紀恵)の娘・富士子を演じ、注目を集め、2015年には、オーディションで1000人以上の参加者の中から選ばれ、TBS系ドラマ『表参道高校合唱部!』の香川真琴役でドラマ初主演を務めた。その後も、映画『先輩と彼女』、『64 -ロクヨン- 前編・後編』スペシャルドラマ『モンタージュ 三億円事件奇譚』など、様々な作品に出演。
NHK 連続テレビ小説『べっぴんさん』
平成28年10月3日(月)〜平成29年4月1日(土)【全151回】
(総合)毎週月〜土 午前8:00〜8:15
(BSプレミアム)毎週月〜土 午前7:30〜7:45ほか
べっぴんさん
べっぴんさん
連続テレビ小説『べっぴんさん』は、戦後の焼け跡の中、娘のため、女性のため、子供服作りにまい進し、日本中を元気にかけぬけていくヒロインとその家族、そして彼女の仲間たちが夢へと向かう物語。
昭和のはじめ、神戸の山の手で生まれたすみれは、早くに亡くなった母から教えられた刺繍や手芸が抱きすきな女の子。会社を経営していた父、活発な姉のもとで何不自由なく育ち、19歳で結婚、ほどなく娘を授かるも、戦争ですべてが変わってしまう。夫は出征し、家は焼け、戦争が終わると財産は没収。出征から帰らない夫を待ち続ける中、すみれは生活のために得意の洋裁の腕を生かして、様々な事情を抱えた女性たちとともに子供服作りを始める――。

公式サイト: http://www.nhk.or.jp/beppinsan/
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