前原滉 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「前原滉」

2015/07/29

「みんなその役の人生では主役」という言葉を聞いて、TSALで学んでよかったと思っています」

前原滉

映画『S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』にテロリスト役で出演している前原滉さんは、今年6月にトライストーン・エンタテイメントに所属したばかりの新人俳優。チャームポイント(!?)は、「眼科に行って自分で目を開けているつもりなのに『目を開けて』と言われました」と自らネタにする細い目だ。いわゆるイケメンではないけれど、愛嬌たっぷりの話ぶりと、俳優養成所・TSALで磨いてきた演技力で、俳優の世界で貴重な"若き個性派"を目指す彼にクローズアップ!


前原滉
前原さんは今年6月にトライストーン・エンタテイメントに所属が決まったとのこと。小栗旬さんや綾野剛さんといったそうそうたる顔ぶれに仲間入りしたわけですね。
「はい。養成機関のトライストーン・アクティングラボ(TSAL)でのレッスンを経て所属となったんですが、二枚目揃いの先輩方と並んだ写真を見るとやっぱり違和感がありますよね。なんでこんな目の細いヤツが、という(笑)。オーディションなんかでもやはり小栗さんなどのイメージがあるからか、“こういうタイプもいるんだ”みたいな意外な顔をされるので、“変わりダネです”と自己紹介しています(笑)
映画『S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』での、正木圭吾(演:オダギリジョー)と共に行動するテロリスト役もオーディションでつかんだとか。テロリストなのに、白衣・メガネ・七三分けヘアーというのも印象的でした。

前原滉
「テロリストというと武闘派なイメージがあったので、オーディションに出してもらったものの体型も細いし厳しいなと思っていたんですよ。だけどプルトニウムを強奪するという設定を聞き、“だったらテロリストの中に科学班みたいなヤツもいるんじゃないか?”と考えて、オーディションに白衣を持参していったんです。そしたらスタッフの方に“それ面白いね”と、そのまま映画本編の設定にも採用してくれたんですよ」
想像力と作戦の勝利ですね! ほかのテロリスト役は外国人が多かったですが。
「ハーフの方も多く採用されていましたね。国際テロリストという設定なので、多国籍な雰囲気を出したかったそうです。僕もオーディションで“何か外国語できる?”って聞かれて、即興で“タイ語”っぽく聞こえるトークをしました。完全にデタラメでしたけど、笑ってもらえたから良かったかなと(笑)」
いろいろ持ってますね〜。
「役をつかむのって簡単なことじゃないですから、正統派でいけないとしたら抜け穴を探るしかない。そこはほかのオーディションでも、わりと意識的に狙ってやってます。でも俳優を目指し始めた頃は、それこそ本気で小栗さんとか綾野さんみたいになれると思ってたんですよ(笑)。まあ、高校生なんてそんなもんじゃないですか。でもだんだん現実がわかってくるというか。でも美男美女だけいても、作品は成り立たないですよね。だったら役者として自分が担えるポジションはどこか? ということを考えて今に至ります」

前原滉
そのように発想を転換するきっかけは何かあったんですか?
「TSALに通い始めて2年目のことなんですけど、周りに比べてあまりにも自分の芝居が上達しなさすぎて、もう諦めようと思った時期があったんです。その頃は見るからに落ち込んでたんでしょうね、周りの人から“気分転換に旅行でもしたら?”と勧められて。でもお金もないし、じゃあヒッチハイクをしようと最終的に鹿児島まで行ったんです。そこから帰ってきてから、自分ではあまり意識してなかったんですけど、周りから“変わった、変わった”って言われたんですよ」
ヒッチハイクしたということは、いろんな出会いがあったんじゃないですか?
「本当に、それまでの人生で出会ったことのない方ばかりでしたね。難病と自殺未遂を乗り越えて今はレースカーを楽しんでいるという初老の女性だったり、離婚してたまにしか会えない息子さんの手紙を見せてくれた男性だったり、一見普通に暮らしてるような人たちにもみんなドラマがあるんだなあと。そんな話を聞いてると、自分が悩んでたことがいかに小さいか思い知らされたんですよね。だったら下手は下手なりに、やりたいことをやりきればいいじゃないかと」

前原滉
いろんな人生を知るというのは、役者としても栄養になりそうですね。
「さっき正統派とか変わりダネとかって話をしましたけど、自分の人生では誰もが主役を生きているんだと思います。そういう思いに至ったのはうちの社長(映画プロデューサー・山本又一朗氏)の言葉なんですけど、“トライストーンは主役になれる役者を求めてる”って言ってたんですよ。それを聞いて最初はルックスも良くて芝居もできる、それこそ小栗旬さんみたいな人を揃えたい事務所なんだと思ったんです。だけど少し前にTSALで社長の話を聞く機会があったんですけど、そうじゃないんだと。そのときは映画『新宿スワン』を例に話してくれたんですけど、あの映画の“主役”は綾野剛さんだけど、山田孝之さん、伊勢谷友介さん、沢尻エリカさん……誰もが役の人生を背負って生きていた。みんなその役の人生では主役だった、とおっしゃったんです。なるほど、社長の求める“主役になれる役者”というのはそういうことかと。だったら容姿が良かろうが悪かろうが、役者としてやることは同じなんだと思ったんです。その話を聞いてTSALで学んで本当に良かったと思ったし、この事務所に採用されて、自覚を新たにしましたね」
では事務所に本所属となっていよいよ本格的なスタートを切ったわけですが、俳優としてどんな将来像を描いていますか?
「僕は安田顕さん、佐藤二朗さん、ムロツヨシさんの出ている作品が大好きでよく見るんですけど、この3人のようにたとえ物語の真ん中じゃなくても、脇で強い印象を残す芝居ができる役者になりたいです。ただ今あげたみなさんって変化球だけではなく、ストレートな芝居もとても巧みで、それこそどんな役でもその人生を背負って演じているのを感じるんですよね。だから僕も“変わりダネです”とは言ってるけど、それはあくまでストレートな芝居もキチンとできた上での話だと思うので、そこは役者の軸として持っていなければいけないと思っています。──でも、どうしても何か変なことをやりたくなっちゃうんですよね。それが“笑わせている”んじゃなくて、“笑われてる”でもよくて、とにかく人が笑ってる顔を見るのが好きなんです。だからオーディションでもつい外したことをして笑わしにかかっちゃうんですけど、審査員も真剣ですからね、なかなか笑ってもらえなくて厳しいなあと(笑)」

インタビュー・終
撮影/厚地健太郎
取材・文/児玉澄子

Profile

前原滉
まえはらこう●1992年11月20日生まれ。宮城県出身。趣味は音楽鑑賞、散歩、お笑いライブ鑑賞。特技はものまねとサッカー(中学時代に市の優秀選手賞を受賞)。高校を卒業後からTSALに入所し、ドラマ、舞台に出演。今後は舞台「AZUMI 幕末編」(9月11日〜24日 新国立劇場 中劇場)が控えている。

INFORMATION

トライストーン・アクティングラボ
2015秋スタート レッスン生募集

小栗旬や綾野剛、木村文乃、田中圭といった実力派を擁する芸能プロダクション、トライストーン・エンタテイメント直営の俳優養成/演技研究所。演技の未経験者から、演技術の向上を目指すプロの俳優まで、幅広く門戸を開いている。講師陣は多数の俳優を指導してきたエキスパートぞろい。また、映画や舞台の製作者、監督、演出家、俳優などによる特別講義も実施している。映画『クローズZERO』シリーズや『ルパン三世』そして『新宿スワン』といった大型映画を自社製作しているのもトライストーン・エンタテイメントの特色。インタビューで語られているようにTSAL生にもこれらの作品への出演の機会を提供している。もちろん、外部の映画、ドラマ、舞台のオーディションへも積極的に送り込んでおり、TSAL在籍中から俳優として活動する人は多い。レッスンで有望と認められたり、人一倍の努力が評価された場合には、前原滉くんのように、トライストーン・エンタテイメント所属に向けて推薦が受けられる。

トライストーン・アクティング・ラボ『2015秋スタート レッスン生募集』の詳細は下記まで
TEL:03-5433-2195
WEB:http://www.tristone.co.jp/tsal/

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