D-DAYS vol.147 陳内将×宮崎秋人
2020/05/05
「事務所に入って最初の1年くらいは仕事もあまりなく、アルバイトの日々で。その頃に絶対にこの世界でやっていくって思っていた」
――そこからどんな行動を起こしたんですか?
宮崎「どこか事務所とかに入らないとなって思って、それこそ雑誌『デビュー』を買って、オーディションを探して。その中にD-BOYSのオーディションがあったので、それを受けたんです。当時は1次審査が全員面接だったんですが、1次審査で落ちてしまって。そのときに、ワタナベの養成所の話を聞いて、それで入ったんです」
――養成所を経て、この世界に入ったお二人ですが、どんな想いでレッスンを受けていましたか?また、役者というのが明確な夢や目標になったのはいつ頃?
陳内「養成所の1年目の夏合宿のときかな。そこでクラスの出し物を、任意だけど親たちに見せるっていうものがあって。そのとき、僕らは白雪姫と七人のこびとみたいな芝居をやったんですが、僕はその7人のこびとの一人を演じて。ぜんぜん目立たないし、セリフも2つくらいしかないような役だったんですけど、それを観た母親から『あんた、そういうことをするために上京したの?』って痛烈な言葉を浴びせられて…」
宮崎「それはキツい一言ですね……」
陳内「ツライだろう! それで目が覚めて、『すみません。卒業公演では主役取ります』って言って。のちに、卒業公演ではちゃんと主役の座を勝ち取ったんだけど、そのときくらいだと思う、役者という目標が明確になったのは」
宮崎「僕は養成所時代、けっこう尖っていましたね。養成所には通っているけど、周りはライバルだと思って、ずっとツンツンしながら過ごしていたので。どの授業に対してもちゃんと受けないと得られるものも得られないって思っていたから、やることはちゃんとやっていましたが、外に向けての意識が強かったんですよね。養成所に通いながらも外部の舞台に出させてもらったりしていたので、“いかにここから外に繋がるか”っていうことを意識していて。なので、模範の生徒になるよりは、講師の人たちにちゃんと覚えてもらっていたほうが、何か作品をやるってなったときに繋がるだろうなとか考えていましたね」
――そこから先のことをちゃんと見据えていたんですね。
宮崎「そうですね。ここを卒業してから、どうするかっていうことを常に考えていました。授業を受けていると、審査会とかでわかりやすく点数や順位が出るから、能力に関しては、今この状態で誰からも劣っていたくはないなとは思っていて。授業とか何か掴めるもので誰かより点数低いのは本当に悔しかったので、そこだけは向き合っていました」
陳内「審査会って難しかったよね。服装とか自己PR、発声や滑舌とかいろいろとあって、いつも指導されていて、それがすごく悔しくて、毎回むかついてた。でも、それが良かったのかなと。早い段階から褒められたりすることもなく、主役とか獲れなくて悔しい想いをしてきたから2年間腐らずに続けてこられたんだろうなと。養成所通っているときって、“これ意味あるのかな?”って疑心暗鬼になったりすることもあるんだけど、でも、卒業して何年か経ったくらいのときに、“あの時ああいう基礎をやっていたことが身についているんだな”って実感することあるよね」
宮崎「あるね。舞台に出た時に滑舌とかを誉めてもらえるのは、養成所で基礎をきちんとやっていたからだろうなって思う」
――いろいろと悔しい想いをしてきた二人、その想いが“芝居って楽しいな”って変わったのは?
陳内「2年目とき、演技の講師の方が作ってくれた短い舞台作品があって。3,4週間のレッスンから配役を決めて、無料で見せたり、500円とかで見せていたりしたんですが、それの主演を2回連続でやらせてもらったことがあったんです。コメディとシリアス、どっちもやらせてもらって、そのときに、やっぱり芝居が好きだなって思いました」
宮崎「僕は初めて舞台に立ったときですかね。養成所に在籍中のときに出た外部の作品で。稽古中に東日本大震災が起きて、やるかやらないか話し合って、結局やることになったんですが、幕を開けたら満席だったんです。その時、自分はアンサンブルだったけど、“こういう状況の中でもこんなにも求めてもらえる職業なんだ、この仕事は”って思って。それまではもともと映画をやりたかったし、舞台はほとんど見たことがなかったけど、舞台ってすごく素敵なコンテンツだなって思って、舞台をやっていきたいっていう想いになりました。とは言え、未だにやってもやっても自分の理想には到底近づけないし、手放しで楽しいなとは思えないですけどね」
陳内「そうだよね、それに尽きるよね」
――この世界でやっていくんだ!と決意した瞬間って?
陳内「事務所に入って最初の1年くらいはあまり仕事もなくて、ずっとアルバイトの日々だったんですよね。その辺くらいから、いつか自分も会社からちゃんとメインで仕事をもらうんだ、絶対にこの世界でやっていくって思っていたんだろうなって思います。だから、その次の年に、D-BOYS STAGE 2010 trial-1「NOW LOADING」のメインキャストに選ばれたときは本当に嬉しかったです」
宮崎「やっぱり初めて舞台上でお芝居したときだと思います。養成所に入ったばかりの頃は、レッスンの段階でお芝居がまったくできなかったんです。人前でやるのも恥ずかしいし、自分じゃない言葉を発するのも恥ずかしかったし、何一つできなくて。学生時代だったら勉強もやればできたし、何に対してもちょっとやればできたけど、手も足も出なかったっていう経験が初めてで。親には『挫折しろ』って言われて育っていたので、初めて挫折したなって感じた瞬間でした。最初の頃に挫折したことによって、これから頑張っていかなきゃいけないけど、本気で頑張ったこと今までなかったし頑張ったらやっていけるだろうなと。そのころに、これを仕事にしようって思いました」
――これまで様々な作品を経験してきた中で、この仕事の魅力、面白さって、どんなところで感じていますか。
陳内「今、こういう状況だから、なかなかお芝居ができないので、今すごく芝居に飢えているなっていうのを感じていて。だからこそ、この時間で何かを蓄えておこうって思っています。料理一つにしても配信一つにしても、自分は表現者であることを忘れたくないなってずっと考えている。この自粛期間の中で、そういうことを改めて気づかせてもらったし、結局自分は表現者でいたいんだなっていうのがこの業界の魅力というか、自分がどっぶりとハマっている証拠なのかなと思います」
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BSフジ『CODE1515』
2020年5月10日(日)スタート 毎週日曜 深夜24:00〜
BSフジがお送りする完全オリジナルドラマがこの春スタート!出演は今注目を集める若手俳優たち。
3人のTVクルーが、奇妙な人形と暗号を発見。
その暗号に導かれ、3人は25年後の世界から来た未来人たちと出会い、彼らが後悔している出来事の“やり直し”を手伝うことに−。
この行動は誰かを救うことなのか…それとも…?
“過去のやり直し”を通して、“未来”とは、“今”とはなにか、を見出していく。
陳内は、報道専門ネットTV局「チャンネル88」に所属する、ディレクター・昴巧を演じる。
舞台『アルキメデスの大戦』
東京公演:2020年6月30(火)〜7月16日(木)シアタークリエ
広島公演:2020年7月19日(日)呉信用金庫ホール(呉市文化ホール)
静岡公演:2020年7月21日(火)清水文化会館マリナート
愛知公演:2020年7月25日(土)〜26日(日)御園座
大阪公演:2020年7月29日(水)〜31日(金)メルパルクホール大阪
数学者の視点から第二次世界大戦を描くという、かつてない切り口の漫画『アルキメデスの大戦』は、『ドラゴン桜』や『インベスターZ』などユニークな作品で鋭く時代に斬り込んできた漫画家・三田紀房によって生み出された。戦艦大和建造の是非をめぐって繰り広げられる、息もつかせぬ攻防戦。
大阪公演:2020年7月29日(水)〜31日(金)メルパルクホー
舞台化にあたって脚本と演出を手掛けるのは、読売演劇大賞をはじめ数々の演劇賞を受賞し、いま演劇界が最も注目する劇団のひとつ、劇団チョコレートケーキのクリエイター陣。独自の視点で史実に隠されたドラマを紡ぐ古川健の脚本と、骨太な作品の中に人間の心情を丁寧に描く日澤雄介の演出によって、2020年夏、舞台『アルキメデスの大戦』が劇場で幕を開ける。
大阪公演:2020年7月29日(水)〜31日(金)メルパルクホー
宮崎は、戦艦大和建造反対派の一人の海軍少尉・田中正二郎を演じる。
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