ドラマや映画、舞台などマルチに活躍する、ワタナベエンタ―テインメント所属の男性俳優陣のDramaticなDreamLifeに直撃する連載企画「D-DAYS＋Plus」。
今月は、10月〜11月に上演されるパルコ・プロデュース2024『Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド 〜虚空に触れて〜』に出演する田中亨さんが同連載に初登場！
役者を志したきっかけから、これまでの歩み、そして最新作への意気込みなどを語ってもらいました。

――同連載初登場ということで、まずは俳優を目指したきっかけを教えてください。

田中亨「中学生の同級生で芸能活動をやっている子がいて話題になっていて。自分はまだ家と学校という狭い世界しか知らないのに、大人の世界に入ってパフォーマンスで沸かせている子がいるんだっていう事実に衝撃を受けたんです。僕はもともとおとなしい性格だったんですが、人前に出て何かしてみたいなっていう気持ちもちょっとだけあって、いろいろなオーディションに応募するようになったことがはじまりです。その中でワタナベエンターテイメントスクール（WES）にも応募して、高校進学と同じタイミングで通うことになりました」

――地元の大阪ではなく、東京のWESに入ったんですね。

田中亨「今は大阪にも校舎がありますが、当時はまだ東京にしかなかったんです。応募していたときは、あんまり場所は気にしていなかったんですよね。それで大阪からWESに1年間通ったあと、劇団Patchのオーディションを受けて、ワタナベエンターテインメントに入りました」

――毎週末に東京へ？

田中亨「そうです。金曜日に夜行バスに乗って東京に行って、土曜日にレッスンを受けて、日曜日に帰って来るという。WESに通うことになったときは、“学校の勉強も頑張る”という約束をしていたのですが、体力的に疲れて勉強時間が取れなくなって、成績にも影響が出てしまいました（笑）。でも両親も応援してくれていたので、気づいたらレッスン優先みたいになっていましたね」

――役者としてキャリアを重ねていく上で意識していたことはどんなことでしょうか。

田中亨「僕は人が勧めてくれたもの、“こういうの田中くんに合うと思うよ”と提案してくださったことに対しては、“いや、僕には合わないと思う”と遮断せずに、一旦触れてみるというのを心がけてきました。“自分で大丈夫かな？”と思いつつも挑戦してみたら、オーディションに受かって、その作品で良い評価をいただけたこともあります。それがまた次のお仕事につながったりするので、自分のジャッジだけで選択を狭めないようにはしています」

――頑固にならずに柔軟に受け入れたことがプラスになったんですね。

田中亨「まだ自分の中で “こうなりたい！”というものが固まっていなかったことも良かったんだと思います。“ストレートプレイをもっとやりたい”と思うようになってからも、人からの意見は聞いて、受け入れるようにしています。出る作品だけでなく、“これ、おもしろいよ”と勧められたものに触れたり、実際に劇場に足を運んだり。養成所に通っていたときから、先生から勧められた作品は観るようにしていました。後日、先生から『あれから観た人はいる？』と聞かれたときに手を挙げたら、意外とみんな観ていなくて…。ちゃんと実行しているということで、やる気が伝わったらいいなというのもありました。というのも、僕が大阪から夜行バスに乗るときは、必ず両親が見送りに来てくれていたんです。バスの窓から手を振ってくれる両親の姿を見て、“絶対に何か爪痕を残さなければ！”という気持ちで通っていました」