D-DAYS vol.154 荒井敦史×池岡亮介

ドラマや映画、舞台などマルチに活躍する、ワタナベエンタ―テインメントの『俳優集団D-BOYS』。そんな彼らのDramaticなDream Lifeに直撃する連載企画！ 2020年の連載ラストを飾るのは、来年初春に上演される『熱海殺人事件 ラストレジェンド〜旋律のダブルスタンバイ〜』で、久々に共演する同級生コンビの荒井敦史くん＆池岡亮介くんが登場！

――同級生でもあり、共演経験も多いお二人ですが、役者としての印象はそれぞれどんな感じでしょうか。

荒井敦史「ずっと思っているのは、イケは変化球の出し方がすごく上手い。僕は10代の頃に、今回の『熱海殺人事件』の演出をする岡村（俊一）さんから、“お前は芝居が下手なんだから、大きな声を出していればいいんだ”と言われて育った人間だからね。ストレートな球しか投げられないタイプなんです。でもイケは、フォークやカーブを投げられる人っていうイメージ。僕自身は直球しか投げられず、しかも、それが受け入れられるかどうか、その好みで振り分けられるタイプの役者なんだけど、そういう人たちの中で変化球が投げられる役者って印象に残るじゃないですか。そういう武器を持っているところは羨ましいです」

池岡亮介「そう!? ありがとう（笑）」

荒井「あとは人間性もね。変化球の芝居で納得させられる人柄というか。もし、同じことを僕がやると、作っているというか、キャラっぽくなってしまう。舞台だと特に、狙っているのがわざとらしく受け取られるからね」

池岡「僕とあっちゃんは、逆のタイプってことなのかな。あっちゃんは人として、役者としての芯がしっかりしているから、直球っていう印象なんです。僕が変化球を投げるのは、自分の芯に自信がないから。あっちゃんは舞台上でも見栄えのするタイプだし、もともと本人に備わっている地力を舞台上で感じさせてくれる。一緒に立っていても、観ていても、それが感じられるんですよね。変化球というのは、ある意味、“小手先”というふうに捉えられることもある。それこそ、観ている側からしたら好き嫌いが分かれるところだとは思うけど、僕自身、好きでやっているところもあって。自分、ちょっとおもしろいなって思いながらやっているんです（笑）」

荒井「それはそれで、すごくいいよ（笑）」

池岡「自分の好きなようにやって、誰かが笑ってくれたらいいなっていうね。あ、そうだ。ここ最近、特にこの前の音楽朗読劇『�K世界』をやっているとき、僕、ずーっとあっちゃんに会いたかったんだよ」

荒井「どういうこと!?」

池岡「『�K世界』は『TRUMP』シリーズだし、（大久保）祥太郎もずっと一緒にいてディープな話もしていたせいもあるんだけど、あっちゃんはね、いつも僕の芝居で笑ってくれるんです」

荒井「だってヘンなんだもん（笑）」

池岡「“あの、あっちゃんの笑い声が欲しい！”って思っていたの。だから、少し前に事務所でたまたま遭遇したとき、“あっ、願いが届いた！”って（笑）。そのときは、まだ『熱海殺人事件』で共演するって知らなかったからね」

荒井「こっちもつい最近だよ、共演を知ったのは」

――ではこの流れで、『熱海殺人事件』の作品の話にいきましょうか。池岡さん、プレッシャーもありますか？

池岡「もちろん、あります。久々のつか作品で、久しくあんなに大量の台詞を言う役や作品はやっていないので、不安要素はあります。でも、この時期に舞台に立てることには感謝しかないですし、ここ２、３年で、ずっと目指していたものもあるので、タイミング的にはいい感じなんですが」

荒井「なになに？」

池岡「頭を空っぽにして、余計なことを考えずに体当たりで芝居をしたいってこと。2015年にやったつかこうへい作品『ロマンス2015』で、真正面から戯曲にぶつかることができた思い出がとても強いので、今回、つか作品に出られるのは、不安よりも楽しみのほうが大きいですね」