D-DAYS vol.135 三津谷亮×大久保祥太郎 | 特集 | Deview-デビュー

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D-DAYS vol.135 三津谷亮×大久保祥太郎

2019/05/07

「初対面の時にレッスンのエチュードで、みっちゃんが急に床に魔法陣みたいなものを描き始めて…”この人、ヤバイな”と(笑)」

三津谷亮×大久保祥太郎 撮影/mika

ドラマや映画、舞台などマルチに活躍する、ワタナベエンタ―テインメントの『俳優集団D-BOYS』。そんな彼らのDramaticなDream Lifeに直撃する連載企画! 今月は、TRUMPシリーズ最新作『COCOON 月の翳り星ひとつ』で久々に共演する三津谷亮くん&大久保祥太郎くんが登場♪

三津谷亮×大久保祥太郎三津谷亮

――D-BOYS連載では初の組合せということで、お互いの第一印象って覚えていますか?

三津谷亮「祥太郎に関してはすごく覚えている。ミュージカル『テニスの王子様』のテニス合宿の前日に、D2みんなでのレッスンがあって。それに祥太郎が参加したときが初対面だったよね」

大久保祥太郎「確か、事務所に所属が決まって1発目のレッスンで。僕は中学3年生だったんですけど、誰も知らない状態で一人でレッスンに参加したんです」

三津谷「でも“初めまして”の雰囲気がまったくなくて、普通に馴染んでいたよね。しかも、レッスンの中で即興芝居をやったときに、祥太郎は若いのにめっちゃくちゃ安定していて、芝居が上手い子だなって思った。それで、次の日にテニミュの合宿に行くバスに乗っていたら、祥太郎が乗ってきて、“あっ!昨日の子だ”みたいな感じになったんだよね」

大久保「そうそう! そのレッスンのときのエチュードが、誰か一人が芝居を始めて、そこに次から次へと追加で入っていって、どんどん人数が増えていくというパターンのやつだったんです。それで、最初の一人がみっちゃん(三津谷)だったんですけど、なんか急に床に魔法陣みたいなものを描き始めて……。そんなエチュードなんてやったことなかったし、初対面だったけど、“この人、ヤバイな”と(笑)」

三津谷亮×大久保祥太郎大久保祥太郎

――衝撃的な初対面だったわけですね(笑)。テニミュに出るというのは、その時お互い知らなかった?

大久保「みっちゃんがテニミュに出ている人だっていうこともぜんぜん知らなくて。それに当時の僕はけっこう人見知りもしていたので、『僕、テニミュに出ることになったので、よろしくお願いします!』みたいな挨拶もせずに、その日のレッスンが終わって。それで、次の日にバスに乗ったら、みっちゃんが居て“昨日のヤバイ人がいる!”ってなって(笑)。そのときに、みっちゃんが『テニミュ出るんだね。なんで昨日言ってくれなかったの〜』みたいに話しかけてくれて。そこからどんどん打ち解けていきました」

――役者としてはどんな印象をお持ちですか?

三津谷「祥太郎は、演出家が求めている空気感だったり、的確な音みたいなものを瞬時に察知して表現できる役者だなって思う。安定感もあるのに瞬発力もあって、すごく羨ましいなって感じていて。それに阿佐ヶ谷スパイダースという劇団にも入って、自分で表現の場所をどんどん広げていっているし、今回久々に『COCOON』で一緒に芝居をしていて、いるだけで安心できる存在になったなって思いました」

大久保「みっちゃんは、いろんなことが豊かな役者だなと。感情もすごく豊かで、そこは役者としてすごくいいなと思う。感情のふり幅もそうだし、急なスイッチを入れられるんですよね。そういうところが役者に合っているんだろうなって思うし、昔からずっとそこは変わらない部分だと思います」

三津谷亮×大久保祥太郎

――お互いに印象に残っている作品は?

三津谷「去年の『近松心中物語』は印象に残っている。祥太郎は作品の中ですごくハマっていたよね。世界観に馴染んでいるんだけど、でも消えていないというか、堤真一さんとかすごい方々ばかりの中でもちゃんと生きていたし、存在感があった。キャスト数も多いし、そうそうたる俳優さんたちが揃っている中で、そんなにセリフもなかったりするのに、それができるっていうのは、すごいなと。それは僕が理想とする形でもあって、祥太郎はすでにそれを手にしていて表現しているし、羨ましいなって思いました。それと同時に、祥太郎は、常に周りを見ているんだろうなって思った。人を見ているし、空気もちゃんと見て感じていて、“ここが狙いだな”っていうのもちゃんと分かっている。僕の場合は、当たって砕けろ!みたいな感じのところがあるので、きっと僕があのカンパニーの中にいたとしたら、悪目立ちしちゃうだろうなって思ったもん」

大久保「みっちゃんが演じた中で印象に残っている役でいうと、『柔道少年』かな。役者って、役に自分を引き寄せるタイプと、自分に役を引き寄せるタイプがあると思っているんですが、みっちゃんは、自分は自分でありながらも役をどんどん近づけてくるタイプだなと。どんな役だとしても、みっちゃんが演じると、“この役はみっちゃんにしかできないな”って思っちゃう部分がある。そこはみっちゃんの強みだよね。僕は完全に役に寄っていくタイプだし、自分の色って特にないから、自分の色を役に出すってできなくて。みっちゃんは“自分の色”というものをしっかりと持っているし、それをちゃんと役にも反映させていて、すごいなって思う」

三津谷亮×大久保祥太郎

――そんなタイプが全く異なるお二人ですが、TRUMPシリーズ最新作『COCOON 月の翳り星ひとつ』で久々の共演となりますね。

三津谷「そうなんです! 祥太郎とはタイプが違うけど、それはそれぞれのお互いの良さだったりもするし、自分が安定感を狙ってしまうと、今の起爆剤になっている原動力の感情が、もしかしたらうまくまわっていかないかもなっていうものあって。きっと同じタイプの役者がいっぱい集まっても、それはそれでつまらないというか、いろんなタイプの役者が集まるからこそ可能性って広がっていくんだなって、今の現場でもすごく感じています」

大久保「『COCOON』にもいろんなタイプの役者が揃っているからね。しかも、今回のカンパニーはD-BOYSのメンバーも含め、知っている顔も多いので、安心して稽古ができる」

三津谷亮×大久保祥太郎大久保祥太郎

――TRUMPシリーズといえば、2013年に当時のD2メンバー総出演で『TRUMP』を上演。当時を振り返って、どんな思い出がありますか?

三津谷「D2として初めての舞台公演だったし、あのときはみんなヤバかったよね。精神的にかなり追い詰められていて、稽古中から繭期だった」

――対となるふたつの配役を二人一組の役者が交互に演じて、TRUTHとREVERSEの二つのバージョンを上演するというシステムでしたしね。

三津谷「そうなんです。僕は(西井)幸人とペアで、主人公のウルとソフィを演じたんですが、相手が幸人で良かったなって思います。お互いのことを尊重しながらも意見を出し合って、切磋琢磨して一緒に作っていくことができた。幸人とは同期なんですが、あの作品があったからこそ、より関係も深まったなと。幸人が居なかったら何も成立しなかった。今振り返って映像を観て見ると、演技もつたないなって思うこともあるけどね」

大久保「当時の自分たちの芝居を観ると恥ずかしいよね」

三津谷「ただ、当時の芝居を今やってみてって言われたらできない。あれは当時の僕らにしかできないものだなって思う」

三津谷亮×大久保祥太郎三津谷亮

――大久保くんは、トリプルキャストでモロー役でした。

大久保「当時は、みんな大変そうだな〜って思っていました(笑)。16人もいる中で埋もれないようにしなきゃ!ともがいていたあの時代があったからこそ、みんなが癖のある良い役者になっていったのかなとも思っていて。16人のグループでやっていたからこそ、ほかと被らないようにやらなきゃ!みたいな、自我が芽生えた。あれを経験しておいて良かったなと思うし、無難な芝居にならないように試行錯誤しながらやるというのは今も一緒です」

――TRUMPシリーズは、本当に根強いファンが多い作品ですが、同シリーズの魅力ってどんなところだと思いますか?

大久保「10年前にキャパ150人の大阪の小劇場でしか上演していなかった演目が、どんどん広がっていっているって、本当にすごいですよね。末満さんの頭の中にはTRUMPシリーズの構想が広がっていて。ここではこういう物語を描きたいとか、そういう構想が半端ないんです」

三津谷「ほかの舞台にはなかなかない、絶望を味わえるという点も魅力の一つなのかなと思います。救われないのに、また絶望を感じに行きたくなっちゃうという中毒性があるんですよね。普通だったら“もういいよ!”ってなるのに、怖いもの見たさじゃないけど、癖になるんです、TRUMPシリーズは」

大久保「あと、シリーズ特有のゾワっとする瞬間がところどころにあることもそうだよね。伏線回収じゃないけど、舞台を観ていると“この物語のここと、あの物語のここが繋がっていたのか!”って気付く瞬間があって」

三津谷亮×大久保祥太郎

――何か1つ観ると、ほかの作品もイチから見返したくなりますよね。

三津谷「1作品観たらその作品だけでは終わらないし、今度はこっちも観たいってなる。そして観る度に自分の中での繭期度が濃くなっていくし、どのキャラクターにシンパシーを感じるかによって絶望感も変わってくる。演じていると、客席のみなさんの『ハッ!?』って息を飲む瞬間というか呼吸音まで聞こえてくるんです」

大久保「あるよね! それをダイレクトに感じたのが、『グランギニョル』の初日のとき。僕が演じるオズと田村芽実ちゃん演じるキキのシーンで、オズは予知能力がある役なんですけど、キキに対して、“僕は死んじゃうんだ。でも君は生き延びるから頑張って”みたいな言葉を言うんです。それで“君が幸せに暮らしている姿が見える。花に囲まれているんだ。その花はマリーゴールド”って言うシーンのとき、その“マリーゴールド”っていうセリフを言った瞬間に、『LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-』で使われていた『マリーゴールド』という楽曲のサビがちょうど来るようになっていて、そのサビが流れた瞬間、お客様のすすり泣きが嗚咽に変わったんです。僕が袖にはけたときに、末満さんも『これはヤバイな!!』ってテンション上がっていて、あれは本当にすごかった」

三津谷「僕も『グランギニョル』観たときに、そのシーンが一番印象の残ったな〜」

大久保「客席からの嗚咽を聞いたときに、舞台上でゾワってして。あれはきっとTRUMPシリーズでしか味わえない感覚なんだろうなって思う」

三津谷亮×大久保祥太郎三津谷亮

――『COCOON 月の翳り星ひとつ』の初日でもそういった瞬間があるんでしょうね。

三津谷「そうだと思います。配役すら発表されていないんですけど、幕が上がる前から、ファンの人たちがけっこう配役予想とかしていて、盛り上がってくれているみたいで」

大久保「熱いファンの方とかは、アンジェリコとラファエロの仲違いの物語っていうことで、“あのキャラクターが出てくるんじゃないか”って、過去の作品から出てきていないキャラクターとかも引っ張り出してきて予想したりしていて、すごいなって思う」

三津谷「TRUMPシリーズがここまで大きくなったのは、観てくださったお客様も一緒に作品を広げてくださったからだろうなって思うよね」

三津谷亮×大久保祥太郎大久保祥太郎

――初日が今からとても楽しみです。さらに、この作品が終わった後も舞台が続くお二人。そちらの見どころもお願いします。

三津谷「僕はこの夏、PARCOプロデュース2019『奇子』に出演します。手塚治虫さんの原作をもとにした作品なんですが、“黒手塚”とよばれる手塚治虫さんの作品の中でもダークな作品で。戦後の東北の田舎が舞台となっていて、少女監禁や近親相姦などセンセーショナルな題材を描く物語です。演出は中屋敷法仁さんなんですけど、この前一緒にご飯を食べに行ったとき、『このシーンはどうやって表現するんだろうね』っていろいろと話したりして。まだどうなるかわからないんですけど、原作にはけっこう生々しいシーンとかもあったりして、中屋敷さんが『みっちゃんには脱いでもらいたい』みたいなことも言っていたので、もしかするとまた新しいチャレンジになる作品になるかもしれないなって思っています。どんな作品になるのか僕も早く台本を読みたいなと思っているのですが、ぜひ、こちらも劇場に足を運んでいただけたらと思います」

大久保「僕が所属している劇団・阿佐ヶ谷スパイダースの本公演『桜姫』が9月に上演されます。歌舞伎の演目である四代目鶴屋南北原作の『桜姫東文章』を題材にした作品なんですが、(長塚)圭史さんが現代版に書き直して上演します。誰が観てもわかるような話になるんじゃないかなと思うのですが、やっぱり、昔からある作品って面白いなと。今も残っている理由がちゃんとある。まだ自分がどの役を演じるのか決まってないのですが、今回は劇団員全員が出る公演でもあるので、今からすごく楽しみです」

三津谷亮×大久保祥太郎

――冬には、日本文学シアターvol.6【坂口安吾】『風博士』も控えていますね。

大久保「日本文学へのリスペクトを込めて、オリジナル戯曲を創作するシリーズの第6弾で、今回は昭和初期に活躍した近現代日本文学を代表する作家の一人・坂口安吾をモチーフとした作品です。坂口安吾の作品の中でもユーモア溢れる作品だし、短編なのでとても見やすい作品になるんじゃないかなと。ただ、キャストが中井貴一さんに吉田羊さん、渡辺えりさんなど、本当にそうそうたるメンバーなので、今からめっちゃ緊張します。キャストの中で僕が最年少になるので、みなさんの技術を盗めるだけ盗んでいっぱい吸収したいなと思います」

三津谷「演出が寺十吾さんなんだね! 去年、『レバア』でご一緒させていただいたけど、すごく良い人だし、寺十吾さんの演出はお芝居がすごく好きになる。それと同時に、自分にはまだまだ足りないものがあるなっていうのを実感させられた現場だったよ」

大久保「それはすごく楽しみ!」

D-BOYS三津谷亮&大久保祥太郎、令和元年にデビューしたい事とは!?

PROFILE

三津谷亮(みつや・りょう)●1988年2月11日生まれ、青森県出身。近年の主な出演作に、ドラマ/大河ドラマ『真田丸』(NHK)、『3人のパパ』(TBS)、舞台『パタリロ』★スターダスト計画★、西瓜糖第六回公演『レバア』、舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰、ミュージカル『マリーゴールド』、椿組2019年春公演『かくも碧き海、風のように』など。今年8月・9月に上演されるPARCOプロデュース2019『奇子』への出演が決定。

大久保祥太郎(おおくぼ・しょうたろう)●1995年8月27日生まれ、東京都出身。近年の主な出演作は、舞台/シス・カンパニー公演『近松心中物語』、梅棒 8th SHOW『Shuttered Guy』、CEDAR Produce vol.3『群盗』、阿佐ヶ谷スパイダース『MAKOTO』、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『オイディプスREXXX』、音楽朗読劇『ザ・グレイト・ギャッツビー』など。今後の待機作として、9月に阿佐ヶ谷スパイダースvol.27『桜姫』、今冬に日本文学シアターvol.6【坂口安吾】『風博士』への出演が控える。

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Information

TRUMPシリーズ最新作『COCOON 月の翳り星ひとつ』

東京公演:5月11日(土)〜5月26日(日)サンシャイン劇場
大阪公演:5月30日(木)〜6月5日(水)サンケイホールブリーゼ

『COCOON』

劇作家・末満健一による、永遠の命を持つとされる原初の吸血種「TRUMP」をめぐる不老不死伝説を描いた人気作。TRUMPシリーズ10周年にあたり上演される、最新作『COCOON 月の翳り星ひとつ』は、「月の翳り」編・「星ひとつ」編という2作を同時期に交互上演する公演となっている。
※三津谷は「星ひとつ」編のみに出演、大久保は「月の翳り」編・「星ひとつ」編の両方に出演。

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