連載「D-DAYS ＋Plus」vol.209 近藤頌利

――いろいろとキャリアを積んできての今でよかったなと思ったことは？

近藤頌利「今回の『ウルトラマンオメガ』は、割と難易度が高い役だと思います。僕はずっと舞台をやってきたのですが、その経験が生きたというか、やっていて良かったと思いました。新人だった頃に叶っていたとしても、きっと何もできずに不完全燃焼で終わってしまっていたんじゃないかなと。今だからこそ、これまでやってきたことが活かせる役であり、今の自分だからできたウルトラマンオメガになったと思います」

――今回はオーディションではなく、キャスティングで決定したんですよね。顔見せがあったそうですが、どのようなものだったんですか？

近藤頌利「マネージャーさんから『顔見せ』と言われたのですが、きっと気を遣ってそう言ってくれただけで、オーディションなんだろうなと思って参加しました。顔見せだったら他のキャストもいるはずなのに、一人だったのでおかしいなと。“うちのタレント、見てください”という営業的な顔見せもあるから、マネージャーさんに『他の人いますか？』って聞いたら、『うちの事務所からは一人です』と言われて。現場に行ってみたら30人くらい、いろんな会社の大人の人たちが代わる代わる挨拶をしてきて。やっぱりこれは顔見せという体でのオーディションじゃないか！と思ったんですよね」

――そこでなんかスイッチ入りました？

近藤頌利「変わらないです。最初の雑談も、『普段は何してますか？』『どういう作品が好きですか？』『ちなみにウルトラマン観てました？』みたいな感じで、流れで野球の話なんかもして盛り上がりました。『自己PRしてください』と言われたら、ちょっと変わってくるかもしれないですが、普通の雑談みたいな感じだったので、かなりの時間しゃべっていました。前もって渡されていた台本の台詞もいったん忘れるぐらい（笑）、リラックスしていたと思います」

――手応えありました？

近藤頌利「いや、特には。オーディションに関しては、正直、僕は演技の出来とかは気にしていないです。いろんな人に話を聞くと、オーディションのときの芝居って、実はそんなに重視していないときもあるらしいんですよね。役に合っているかどうかを見ているのであって、この人は芝居が上手だから使おうってなるとしたら、まだ役や台本ができていないときだと思います。何かの役で声をかけようってなるのはね。役の設定とか本ができている場合は、人柄や雰囲気などを見て、その役に合うかどうかを見ているっていうのが基本的なところなんじゃないかなと思います」

――演技審査もあったんですよね？

近藤頌利「はい。事前に台本を渡されて演技も披露しました。そのあとアクション審査やマット運動の審査があって、どういう動きができるのかを確認するためだと思うのですが、前転、後ろまわり、飛び前転など、いろいろやりましたね。これはたぶん、特撮系ではみんなあるんじゃないかな。僕は全部舞台でやっていた経験があったので、楽勝！と思いながらやっていました（笑）。ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!! 』などでの経験が生きましたね」

――撮影の話もお聞きしたいのですが、特撮ヒーローものならではの大変さもあったのでは？

近藤頌利「いろんなところで撮影するので移動時間も長いですし、朝も早く、出ずっぱりで物理的なハードさはありました。でもスタッフさんがとても気を遣ってくれたので、ありがたかったです」