鈴木勝吾 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「鈴木勝吾」

2019/04/26

「生きる意味がわからなくなってしまったとき、自分を思ってくれているファンの方や家族、仲間の存在がとても大きかった」

鈴木勝吾 撮影/宮坂浩見

2017年に映画化され話題を呼んだベストセラー小説『ちょっと今から仕事やめてくる』が、2019年6月に飯島寛騎×鈴木勝吾のW主演で、初めて舞台化される。「ブラック企業」「長時間労働」「パワハラ」などの社会問題を通して、実社会の真っ只中で必死に生きている若者たちの姿をユーモアや切なさを交えて描く本作。ブラック企業で働く若手社員・青山(飯島)を救う、謎の男・ヤマモトを演じる鈴木に、本作の魅力や役柄について、初共演となる飯島の印象などを聞いた。さらには、俳優デビュー10周年&30歳という節目を迎えた彼が役者人生で転機になったこと、そして「生きる意味を見失った」という過去の挫折やそれを乗り越えたきっかけなど、自身の実体験を赤裸々に明かした。

鈴木勝吾

――映画化もされたベストセラーの初の舞台化となる本作。出演が決まった際の率直な思いを教えてください。

「もともと映画版の『ちょっと今から仕事やめてくる』を観ていて、そのときにすごく好きな作品だなと思っていたんです。こういう作品に出たいなと思っていた作品でもあったし、演劇向きな作品だなとも思っていて。なので、実際に舞台化されると聞いて嬉しかったし、その作品に出演できるというのは、演劇をやってきていて良かったなって思いました」

――映画を観た際、どのようなところに魅力を感じましたか?

「自分が魅力を感じた理由には2つあると思っていて。1つは、ブラック企業やパワハラという社会に対してのアンチテーゼが含まれている点。もう1つはそういった問題を題材としつつも、主人公の青山が精神的に追い詰められて悩んでいることに対して、ヤマモトがソフトに支えてはいるけど、結局、最終的には自分自身で判断して解決していくしかない。周りの人間や環境のせいにするのではなく、自分がどう生きるかが大事なんだということを描いていて、そういう描き方が面白いなと思いました。ドラマや映画、舞台など、いろんな作品を観ていて最近感じるのが、ある程度見ている側がイライラするというか、フラストレーションが溜まるような作品が面白いなと感じることが多くて」

鈴木勝吾

――というのは?

「何か理不尽なことが起きて、それに苦しんでいる主人公が必死にもがきながらも突破していくというようなストーリー展開のものが観ていて爽快だったりするじゃないですか。なので、『ちょっと今から仕事やめてくる』の映画版を観たときにもそういう部分に面白さを感じましたし、そのさなかにいる青山というキャラクターにすごく魅力を感じました」

――鈴木さんは、そんな青山を明るく支える「ヤマモト」役を演じますが、役に対してのイメージは?

「僕自身とは表現方法が違うけど、1コ通り抜けてきて、自分の中に一つ答えを持っている人だなと思いました。人生においてや悩みについて、本当に考えるべきことを知っている人という印象です。そこさえズレなければ、飯島(寛騎)くんとの関係でそれらしいヤマモトになるのかなと思っています。飯島くんが演じる青山がいかに衰弱していくかで、僕が演じるヤマモトがそれをどう救っていくかが変わっていくのかなと思っていて。飯島くんの青山が凹めば凹むほど僕のヤマモトや明るくなるだろうし、そこのバランスが大事なのかなと。当然、“明”と“暗”のコントラストという部分は作品の中で必要だけど、“明るい人間”と“暗い人間”というキャラクターから入ってしまうと形骸化されたものになってしまうなとも思うので、救われる人と救おうとしている人という対比に持っていけたらいいなと思っています」

鈴木勝吾

――青山役の飯島さんとは初共演になりますが、どのような印象をお持ちですか?

「まだ取材でお話しした程度なので、いろいろと知っていくのは稽古が始まってからだと思うのですが、第一印象としては、まず若い! スタイルが良い!カッコイイ!!って思いました(笑)。あとは、世代独特のねじれ感を持ち合わせつつも意思が強いというか、真っ直ぐな人なんだろうなって思います。これから稽古や舞台上でのセッションを通して、どんなものが生まれるのかすごく楽しみです」

――ここ最近の出演作品を振り返ると、お馴染みの演出家さんや共演者の方々とやることが多かったと思うのですが、演出の深作健太さんを含め、初めての方も多い現場になりますよね?

「そうですね。30歳という節目の年に、また新たな出会いだったり、新たな学びの場になるのかなと。初めてご一緒させていただく深作さんと、少人数でのキャストの方々とド直球な作品をやることもそうですが、また1つ30歳を生きていく上で新たに勉強しないといけないことがあるんだろうなと思っています」

鈴木勝吾

――この時期、まさに青山のように新生活が始まり、自分が描いていた理想と現実のギャップで悩んでいる人たちが多いんじゃないかなと。以前の取材で、鈴木さんもそのギャップで悩んでいた時期があったという話をされていましたよね。

「25歳になる前くらいに、“こんなはずじゃなかったのに…”みたいな焦りや挫折がいっぱいあった時期がありました。ひと言で言うと、生きる意味がわからなくなってしまったんです。動物は生きるために餌を食べる、生きるために寝る、生きるために歩いて餌を探す……とか、全部“生きる”ためにやっている。でも、人間はご飯を食べるにしても“美味しいご飯を食べたい”、“好きな人と一緒に居たい”、“有名になりたい”とか、そういういろいろな目的があって、その手段の一つに“生きる”というものがある気がしていて。だからこそ、人間って生きている中で目標や夢、欲や願望といったような“want=やりたいこと”がなくなると、同時に生きている意味もなくなるんだなってその時に思ったんです」

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Information

舞台『ちょっと今から仕事やめてくる』
2019年6月13日(木)〜6月23日(日)CBGKシブゲキ!!

原作:北川恵海「ちょっと今から仕事やめてくる」(メディアワークス/KADOKAWA刊)
演出:深作健太
脚本:田村孝裕

出演:飯島寛騎 鈴木勝吾 中島早貴 葉山昴 / 田中健

『ちょっと今から仕事やめてくる』

≪story≫
青山隆(飯島寛騎)は、ブラック企業で働く若手社員。学生時代、同級生の岩井(葉山昴)と一緒に語り合った理想の社会人生活とは程遠く、仕事のノルマの厳しさや部長の尾高(田中健)から叱責される毎日だった。そんな青山にとって営業成績が常に優秀な五十嵐(中島早貴)は唯一尊敬する先輩であった。
ある日、青山は疲労のあまり駅のホームで意識を失い、危く電車にはねられそうになってしまう。そんな青山を救ったのは、幼馴染みのヤマモト(鈴木勝吾)と名乗る男。だが、青山には彼の記憶がまったく無かった。大阪弁でいつでも爽やかな笑顔をみせる謎の男、ヤマモトと出会ってからというもの、青山は本来の明るさを取り戻し、大きな成果を上げるチャンスもめぐってきた。
そんなある日、青山がヤマモトについて調べると、出てきたのは三年前に激務で鬱になり、自殺した男のニュースであった。ニュースに出ていた男はまさしくヤマモトだった。ではあのヤマモトと名乗る男は一体誰なのか?

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