――オーディションが苦手だけど、頑張りたいと思っている読者に、何かアドバイスするとしたら？

「何回経験していても、オーディションには慣れないし、好きな場ではありません。でも、オーディションでこそ学べるものがあると思います。人前で一生懸命、自分なりの答えを、表現を、自分のやり方で示すことを繰り返していくと、“自分はちゃんとやってきた”という自信みたいなものが備わってくる。先輩の山田裕貴さんが 『オーディションはセッションだと思っている』とおっしゃっていた言葉がすごく印象に残っています。確かに、初めて会った人とお芝居するのって、音楽的なセッションみたいなものだなって。『監察医 朝顔』で共演した上野樹里さんも、『学校や普通の生活から学べることって、すごく多いんだよね』とおっしゃっていて。『普通の生活をちゃんとしているからこそ、お芝居にも活かせているんだよ』って。実際、友だちとの何気ない会話や、遊びから得ることってすごく多い。作品を観ることも大事だけど、日々のことを一生懸命やることも、大事なことだなと思っています」

――池田くんは声のお仕事もやっていて、ディズニー＆ピクサー最新作『あの夏のルカ』でもアルベルト役の日本版声優をされていますね。

「はい！ オーディションで自分なりにやってみたら、アルベルトをやれることになりました。吹き替えは、遠くの人や近くの人へどう話すのか、シーンによって声の強弱をつけなければいけないのが難しかったですね。アルベルトはやんちゃというか、好奇心が旺盛で、何事にも果敢にチャレンジしていく子。ルカにとっては家族じゃないけど、友だちを超えた密接な関係性を築いている存在です。身近にそういう人っていると思うんです。友情の最終形みたいな、ときには衝突もするけど、仲直りをしたら揉めていたことも忘れちゃう。いろんなメッセージが詰まっていて、季節的にも、ぴったりな作品だと思います」

――将来は、どんな役者になりたいですか？

「僕、二宮和也さんのお芝居が好きで、特に印象に残っているのが、『フリーター、家を買う。』なんです。うつ病のお母さんに振り回され続けて自暴自棄になるシーンで、話しながら自分自身にイライラしていくところが、すごく繊細に表現されていた。繰り返し観ても感動するくらい、二宮さんのお芝居には圧倒されます。僕も、役としての印象が、本人を上回るくらいのお芝居ができるようになりたい。素の池田優斗がわからないくらい、役に染まれたらいいなと。『お芝居うまいね』で終わるのではなくて、観た人が自分の人生と照らし合わせて考えさせられるような、人に影響を与えられる役者になりたいです」