――ストーカーなだけに、あまり他のキャストと絡む芝居もなく。

大久保祥太郎「ひとり行動ですからね。他のキャストのみなさんは、レイチェルのダンサーさんたち、観客、レイチェルの広報担当、ボディガード、マネージャー……と、基本的にはみんなチームで動いているのに、僕は大体ひとりなので、ちょっと寂しいです（笑）。ショーケースのシーンで、観客に紛れて、実はあそこに……いるいる！みたいなシーンはみんなと一緒に稽古している感じがして楽しいんですよ。特に台詞のやりとりがない中で稽古が進んでいって、着実に積み上がっていって初日も近づいてきているので、なんだか不思議な感じです。基本的には、レイチェルと、ボディガードのフランクとのラブストーリーが軸となっていて、そこにストーカーが絡むことによって、ラブストーリー“サスペンス”になる。サスペンス要素を担っているのは僕だけなので、その使命感みたいなものはすごく感じています。しっかりと危険な香りを出していかないと、緊迫感みたいなものも生まれないので、そのプレッシャーはありますね」

――「#エンダーー」とSNSでハッシュタグにもされていましたけど、あの有名な楽曲以外にも名曲がたくさん歌われるんですよね。

大久保祥太郎「そうなんです。 “エンダー♪”以外も聴いたことのあるような、本当にいい曲ばかりなんですよ。ホイットニー・ヒューストンの曲は全部、使われているんですけど、そのまま日本語に訳しているわけではなくて。（訳詞を担当している）森雪之丞さんがミュージカル用に、ストーリーに沿うように訳されているんですね。メロディーはそのままですから曲としても楽しめますし、ミュージカル用に歌詞としてストーリーと連動した楽しさと、原曲との違いも楽しめると思います」

――レイチェル役の新妻聖子さんとは、18、9年ぶりくらいの共演ということですが、どのようなやりとりがありましたか？

大久保祥太郎「『レ・ミゼラブル』と『マリー・アントワネット』で共演して以来なんですよ。当時、それこそ僕は10歳くらいだったので、『大きくなって…！』みたいなやりとりから入りました（笑）。当時、一緒にバリケードで戦ったり、命を守ってもらっていたところからの、ストーカーで命を狙いにいく役ですから。『祥太郎、もっと歌ってよ！』”とも言ってくれました。歌える人がそろっているのに、もったいない！と（笑）。水田航生さん、加藤潤一さんといった、ミュージカルにたくさん出ていらっしゃる役者さんが揃っていますからね」

――稽古場で孤立しているわけではないと（笑）。

大久保祥太郎「それは大丈夫です（笑）。共演で言うと、水田航生くんとも10年ぶりくらいなんですよ。高校時代に制服を着て現場に通っていた、ミュージカル『ドリームハイ』以来なんですよね。『久しぶりだね〜』なんて話もできましたし、稽古場、楽しいですよ。フランク・ファーマー役の大谷亮平さんも、壁がなく、すごくフランクな方なんです。パンフレットの取材のときに、僕の見た目があまり怖くなくて、“いい人に見えがちだから、そこは抑えていけたら”みたいに言われていたって話をしたら、『大久保くんの人の良さがあった上で、真逆のことをするストーカー役っていうのが、むしろギャップが出て面白いよね』って言ってくださって。“うわ〜優しい！ カッコイイ！ 渋い！ モテそう！”ってなりました（笑）。こういう大人の男になりたいなぁって思わせてくれる、とても素敵な方です」