――18歳から20歳までの新兵の物語ということですが、宮崎さんがその年齢のときって何に一生懸命でしたか？

宮崎秋人「養成所に通っていた時期で、ギターばっかり弾いていました。僕は俳優コースだったですけど、シンガーソングライターコースの友だちが、曲は作れないし楽器もできないっていうので、ずっと僕が横でギターを弾いて、曲作り手伝ったり、ライブ出まくっていたりしました。だから学校の人たちからも、そっちのコースだとずっと思われていたんです。しかも、彼が授業で楽曲を披露しなきゃいけないってときに、本人が楽器できないから、そのコースの生徒じゃない僕が一緒に授業出たりして。その頃は路上ライブもやったりしていたから、それで人前に立つ度胸がついた部分もありますね。養成所1年目にずっとそんなことをやっていたので、2年に上がるときは、さすがにこのままではまずいなと思って、俳優を本気で目指さないとダメだ！と方向転換をした途端、舞台が1本決まったんです。アンサンブルでしたけど、その後も2年目はずっと舞台で仕事していました。だから結局、授業にはあんまり出ていなかったです（笑）」

――その当時に得た教訓みたいなものってありますか？ デビューを目指す読者に向けて。

宮崎秋人「卒業してから教務の人に、『今の生徒たちにホームルームで何か話してほしい』と言われたんですけど、全くお手本になるような生徒じゃなかったから、『やめたほうがいいです』って断ったんです。当時、僕は目の前の授業に出て滑舌の練習をするよりも、友人と音楽作っている方が有意義だなって思ってやっていた。自分で選んだ道で、自分がやりたいことに夢中になって、人からやらされるものなんて一個もなかったんですよね。やらなきゃいけないこともないし、全部自分がやりたくてやっているものだから、その先どうなろうが知ったこっちゃない。いまだにそういう感覚はありますね（笑）。『頑張っているね』って言われても、全部自分が選んで、やりたくてやっているだけだから、って。逆に言うと、“やらなくちゃ……”って思ってやっていることで実ることって、たぶん、一個もないんじゃないかな。何かが実るときって、絶対に、自分が何かに夢中になってキラキラしているときだと思うから。だから、やりたいことを自分の意志で、とことん突き詰めていくのが、結果的には一番いいんじゃないかって思います」