――相方の木津つばさんさんとのやりとりは、どのような感じでしたか？

中尾暢樹「お互い、意見を出し合いながら、お互いが引くところは引ける間柄だったのが良かった。“絶対にこれがやりたい”、“こうするのがいいと思う！” って押し通すんじゃなくて、お互いに相手の意見を聞いて、自分と違う考えでも冷静に受け止めて、客観視できたから。自分で言うのも恥ずかしいけど（笑）、2人とも視野が広かったので、柔軟に進められたのが良かったです」

――お笑い芸人役としては、客席の空気によっては心が削られる部分もあったりするのでしょうか。

中尾暢樹「いやそれが、稽古で通してやったときに、すごくリラックスしてやれたんです。これは意外と楽しいぞと（笑）。つばさも『東京リベンジャーズ』で主役のタケミチ（花垣武道）役をやっているから、そこも共有できた。でも実際、本番に入ったら大変だったんですけどね（笑）。毎日いろんなことを考えなければいけないし、空気の上手い変え方や“間”というのも、毎回変わってくる。柔軟に対応しないとできない舞台だったので、集中して臨んでいました」

――そして2023年、初シェイクスピア作品として舞台『ロミオ＆ジュリエット』が控えています。

中尾暢樹「舞台をやっていく上で、どこかでシェイクスピア作品もやるだろうなというのはありました。でもこんなに早いとは……」

――同世代の役者たちとの共演については、いかがですか？

中尾暢樹「（ベンヴォーリオ役の）石川凌雅くんとは、ミュージカル『刀剣乱舞』〜真剣乱舞祭2022〜で一緒になったことがあるんですが、お芝居ではまだしっかりと絡んでいないんです。本番で舞台に立っているのを観ていて、本当に真面目で真摯な人だなという印象だったので、お芝居できるのが楽しみですね」

――交流はあったんですか？

中尾暢樹「楽屋が一緒でした。『ハリー・ポッター』が好きだから、ハリー・ポッターの問題を出して答えて、みたいなことで交流しながら楽しい時間を過ごしていました（笑）。他の共演者だと、マキューシオ役の京典和玖くんは『マーダーミステリーシアター 裏切りの晩餐』のイベントで一日だけ一緒だったんです。でも、あまりお話できていなくて。だからほぼ、はじめてな感じです」

――ご自身が演じるティボルト役ということについては。

中尾暢樹「すごくいい役をもらえて、うれしいです。最近の僕のやっている系統も、うまく出せるのかなと。『カミシモ』でやった黒旗晩は、ちょっとつっかかっていくようなタイプでしたし、僕としては、あまり違和感がない。というか、演じる役を異質に感じることって、ほとんどないんです。僕はいつも、無理して自分に寄せようとしていないから。無理をすると、不自然で下手っぴになってしまうんですよね（笑）。『ロミオ＆ジュリエット』は、シェイクスピア作品の中でも、観たことがなくても話はなんとなく、みなさん知っていると思うんです。そういう人に向けても観やすい作品になったらいいなと思います」