『海の金魚』はこの仕事に対する「基準」がみつかった作品

最愛の父が失踪し、失意の中、周りに心を閉ざして、父が遺したヨットの中で生活する少女・ミオ。同じく海でつらい思いをしたキヨミや仲間たちとの出会いでヨットレースへの参加などを通して成長していく姿を描く……この4月10日公開の『海の金魚』で映画初主演を果たした入来茉里ちゃん。出身地・鹿児島で撮影したという、この作品についての思い、撮影エピソードなどを語ってもらいました。

Ｑ　最初に主演という話を聞いたときの気持ちは？

「最初、私でいいのかなという気持ちもありつつ、初主演作品が鹿児島を舞台にした映画で、地元で撮影ができるということで、まずそれがうれしかったです。ただ最初はやはり不安が大きかったです」

Ｑ　ミオ役を演じるにあたって苦労したところは?

「ミオと私は置かれている状況が違います。ミオはお父さんがいなくなってしまって、あまり周りとの関係をもたなくなっていくのですが、そういう心境というのは想像がつかなくて。クランクイン前、2年前に鹿児島からひとりで上京してきたときに感じた孤独感を思い出して、役に入っていきました。演じていて、本当にミオは強い女の子だなと思いました。その強さが私にはないので、すごいなと思いました」

Ｑ　特にこだわったシーンは?

「劇中、ミオが、お父さんが残してくれた、格言を言うシーンが何回かあるんですけど、サラッと言って、詳しい説明はしないんですね。その後に出てくるシーンで『あの時言っていた格言はこういうことだったのか』と感じとってほしくて、それがうまく伝わればいいなと思いながら、演じていました」

Ｑ　ヨットを題材にしている作品ですが、ヨットは初体験なんですね。

はい。クランクインの1ヵ月前にキャストで練習をしました。撮影が始まると、昨年の鹿児島の天候は不安定で、ヨットで海に出ても、1シーンだけ撮って戻ってくるようなこともありました。自然を相手に演技をするということは大変で。 レースのシーンは本当に自分たちで操縦しながら撮影していました。出来上がりを見ると、すごく迫力があったので、頑張ってよかったなと思いました」


Ｑ　ヨットとともに、もう一つのテーマが、”親子愛”ですが。

「私の世代の女の子ってお父さんのことが嫌になることもあると思いますが、お父さんを好きといえることが恥ずかしいことではないし、私もこの作品を撮りながら、お父さんに会いたいなと思いました」


Ｑ　この作品に出たことで、自分自身成長できたことはありますか?

「今までは自分の役のことや自分のセリフだけで精一杯だったんですけど、話全体を理解して、掛け合いの相手が何を考えているかなど相当考えていったので、そこは今までと一番違うところかなと思います」


Ｑ　ところで４月スタートの『タンブリング』にレギュラー出演が決まりました。今回のドラマは自分が経験した新体操が題材。映画に続き設定に恵まれています。

「はい!　新体操を題材にしたドラマなんてないだろうと思っていたので、特に男子の新体操はメジャーじゃないので、びっくりしました。新体操をやってみたいと思う人が増えたらうれしいです。
私は全国大会の強豪である女子新体操部の部員役なんです。新体操をやめてから2年のブランクがあるので、コーチについて教えてもらっているのですが、なかなかうまくいかなくて、でも頑張っています。技ですごいと思ってもらおうというのではなく『新体操は楽しいよ』というのを見せられれば。私自身も楽しんでできたらいいなと思います」


Ｑ　主演映画を経験した上で、今回の連続ドラマ。映画で得たことで生かしたいことは?

「『海の金魚』は、お仕事について一から見直して、自分のこの仕事に対する『基準』がみつかった作品だと思うんです。ドラマの中でも自分らしさを出せればいいなと思います」