――1年の終わりということで、2019年を振り返って、それぞれ思い出に残っていることを聞かせてください。

宮崎「僕は“新国立劇場に立つ”っていうのが目標の1つだったので、音楽劇『マニアック』で叶ったのは嬉しかったです。あの現場では、共演者のみなさんの経験値の高さ、深さに衝撃を受けましたね。台本通りで、特に奇をてらうことをやっているわけじゃないのに、芝居がすごくおもしろいんです。あんなにハッピーで、楽しい作品だったのに（笑）、僕は打ちひしがれて落ち込んでばかりでした。今の自分に何が足りていないのかを提示されていた感じがして。だからこそ、あの作品をやれて良かったなと思いました」

鈴木「一種の技術ではあるんだろうけど、頭で考えずにパッと自然に出てきてしまうものなんだろうね。それが常時できるってことでしょ？」

宮崎「そうなんですよ！」

鈴木「先輩のすごいところを目にすると、気持ち的に上がることもあるよ。いいものを見たな、自分もああいう風になりたいなって」

宮崎「僕も、最終的には開き直っていました。稽古をしているときから、主演の安田（章大）さんがずっとそばにいてくれたり、古田（新太）さんが飲みに誘ってくれたりもして、とてもいいカンパニーだったんです。僕、稽古や本番終わったらすぐ帰るほうで、その後飲みに行くっていう習慣があまりなかったんですけど、古田さんがあまりにも飲みに行くので、一緒に行くようになりました」

鈴木「楽しかったの？」

宮崎「楽しかったです。古田さん、飲んでいるときは芝居の話をぜんぜんしないんですよ（笑）。でも、帰りのタクシーの中だけは芝居の話をしてくださるので、いつも一緒に帰っていました。そのあとにやった『COCOON 月の翳り星ひとつ』も楽しかった。とても耽美な世界でしたし、久しぶりにD-BOYSのメンバーとも共演できたので。陳内（将）くんとも、（大久保）祥太郎くんとも、初共演だったんですよ」

――意外にも初共演だったんですね。

鈴木「『COCOON』はすごく良かったよね。「月の翳り」のほうしか観に行けなかったけど、荒木も出ていたしね」

宮崎「荒木さん、両方出てましたよ（笑）。荒木さんは、『TRUMP』（シリーズ）の世界観を完璧に把握するために、ものすごく掘り下げていましたね。演出の末満（健一）さんに『どれくらいの周期で血を飲まなきゃいけない体なんですか？』とか、とにかく細かく掘り下げていて」

鈴木「あいつね、そういうところあるのよ」

宮崎「末満（健一）さんも、そこまで考えてなかったとは言えない感じで答えていましたけど（笑）」

鈴木「荒木っぽいわ〜（笑）。想像できるわ〜」

宮崎「僕も荒木さんに相談されたりしたので、『そこまで考えすぎなくて大丈夫っすよ！』って言っていましたけど。荒木さんと安西慎太郎と僕が同じ楽屋だったんですが、慎太郎が真面目に荒木さんの話を聞いていて、僕がちょっと力を抜く感じで、バランス良かったのかなと。僕、荒木さんと共演するの、好きなんですよね。以前、ライブ・ファンタジー『FAIRY TAIL』で共演したときも、一日のタンパク質摂取量とか常に計算しながら何かを食事をしていたり、プロティンに関する動画をずっと見ていたりして、すごい凝り性なんです。『荒木さんって変わってますね！（笑）』って言いながら、同じ空間にいるの、大好きです」