連載「D-DAYS ＋Plus」vol.212 池岡亮介×中山義紘

――今回、お話があったときはどのように感じましたか？

池岡亮介「稽古場では代役も務めることになると思うんですが、その役をいただいた気持ちでやりたいし、前向きにストイックに参加していきたいです」

中山義紘「先輩たちからもらえるものも絶対に多いからね。現場でどういうディスカッションをするのか、どう組み立てていくのか。今回の作品は完全に新作なので、手探りなところも含めて、創作過程はすごく楽しみです」

池岡亮介「そう言われたら、僕は白井さんの演出で新作やるの、初めてだ。めちゃくちゃ楽しみになってきた！」

中山義紘「白井さんと会うたびに思い出されるのが、最初のミュージカルがオーディションだったんだけど、歌とダンスとお芝居を見てもらうときに、すごくキラキラした瞳で見てくれたんです。演劇にハマりたての少年のような、そんな純粋な情熱がこちらにも伝わってきた。実際、稽古場でも前のめりで、アンテナをビンビンに立ててキャッチしようとしているんだよね。全身を使って表現をするんだと、立ち方、歩き方といった舞台表現の根底にあるものからすべて教えてくれた。原点に返らせてくれるという意味で、僕もすごく楽しみです」

池岡亮介「劇場に足を運ぶことのハードルってどんどん上がってきているじゃない？ まずは今作に興味を持ってもらって観に来てくれた人に、“演劇っておもしろいな”、“ちょっと小劇場にも行ってみようかな”と思ってもらえたら嬉しい。そのために自分にできることは何か、どうしたらいいのか。そんなことも考えるようになりました」

――お二人の関係は変化しそうですか？

池岡亮介「いやでも、これ以上でも以下にもならなそうな？（笑）」

中山義紘「わかる、わかる（笑）。このまま、凪な感じでお互いが心地いい関係で続いて言えばいいなと」

池岡亮介「配役によっては、より深く話し合う、詰める機会は多くなるかもしれないよね。あと、ご飯に行く回数が増えるかも、くらい？」

中山義紘「そうだね（笑）」

――近況などプライベートなお話も。

中山義紘「最近はよく自炊しています。自分で作ったほうが何でも美味しいなって。最初はね、食材だけ自分で切って、味付けは〇〇の素、みたいなのから始めたんだけど」

池岡亮介「僕は自分で作ったのがマズすぎて一旦自炊やめた人間ではあるんですが、最近またフライパンや電子レンジを使うようになりました。目玉焼きもね、水入れて蓋をしてってちゃんとやっているから！」

中山義紘「そういうのやると、全然違うよね」

池岡亮介「そう！ 料理系の動画を見て、いかに簡単に美味しくできるかを調べて作るようになった」

中山義紘「目玉焼きは上手くできたの？」

池岡亮介「めっちゃキレイにできた。料理ってさ、レシピの通りにやれって言うけど、つい自分なりのアレンジとか加えたくなっていたんだよ。できないくせに自分の色を加えたくなっていたのが敗因だったんだけど、言うとおりにやったら、ちゃんと美味しくできるんだね（笑）」

――なぜまた作ろうと？

池岡亮介「ちょっとした日々のルーティンみたいなのが欲しくなったんです。それこそ麦茶を作るとか、小さくても生活の中のルーティン、一日の中での達成感があったほうがいいなと」

中山義紘「わかる。“梨を買って自分で皮剥いて食べる”、そんな感じで慎ましく日々を過ごしている感じがいいんだよねぇ。そうやって季節を感じながら、人間らしく暮らす良さがわかるようになってきた（笑）」

池岡亮介「お互い、年齢を重ねて落ち着いてきたんだね」