――11月にはミュージカル『魍魎の匣』が控えています。

池岡亮介「制作のイッツフォーリーズさんとは、以前『まじめが肝心』という舞台に出させてもらったご縁もあり、僕のことも知ってくれた上でのキャスティングなのかなと。僕が演じる青木文蔵に関しては、アニメのほうのビジュアルになるのかなと思っていたんですよ。髪を伸ばしたら地毛でいけるかなと思っていたら、マンガのほうの“こけし”と言われている髪型だった（笑）。そっちのほうがインパクトがあるからと。ビジュアルはマンガ寄りですが、アニメでは青木の声を諏訪部順一さんがやっていらっしゃるので、嬉しくてテンションが上がりました（笑）。青木に関しては、おかっぱ頭という見た目のアドバンテージをもらっているので、あの髪型をどうさばいてやろうかと、密かに楽しみにしています」

――キャストはほとんどが初共演ですか？

池岡亮介「ほぼほぼ、初共演の方ばかりです。前ちゃん（前山剛久）のことが大好きな加藤将くんは、どんな方なのか楽しみですね。ビジュアル撮影のときにお会いした北村諒くんは優しかったなぁ。すごく丁寧に挨拶してくれたんです」

――前山さんもミュージカル作品が続いていますが、何かお話されたりとかしていますか？

池岡亮介「『ゆびさきと恋々』のときは、いろんな話をしました。前ちゃん、昔の印象から変わっていて、驚きました。以前は大人しい感じだったのが、自分の役以外に稽古場のことも考えていて、W主演としての責任感がすごく伝わってきた。とても、頼もしかったです」

――演目もジャンルも様々な作品に出て来ていますが、改めて、この仕事の楽しさを教えてください。

池岡亮介「あくまでも僕の場合ですが、誰かの人生を背負えること、かな。役者の人生を役ににじませたほうがいい、とも言うじゃないですか。波乱万丈な人生が反映されていたりすると、羨ましいなと思いつつ、自分はそうはなれないなと思うんです。基本的に、平凡な私生活を送ってきた人間なので。だからこそ、台本に描かれている役の人生に思いを巡らすのが楽しいんですよね。役に入ることで、現実逃避しているような部分もあるのかもしれないな。観てくださる方の中には『池岡さんっぽい、池岡さんらしい』と言ってくださる人もいるので、多少は反映されているとは思います。だけど僕としては、役の人生を背負って生きている時間が好きなんですよね。自分じゃなくなる瞬間が、僕にとっての演じる楽しみになっている。“向いてないのかも”と落ち込む瞬間は何度もあったけれど、その楽しさがあるからこそ、12年間、続けて来れたのかなって思います」