――稽古場の様子はどんな感じでしたか？

大久保「末満さんの笑顔が多かったです（笑）。楽しんで作ってくれたのかなって」

三津谷「そうだね。作品の空気に引っ張られない現場でした。『TRUMP』のときは引っ張られまくって、楽屋でもみんな暗かったから（笑）」

――いろんな作品に携わってきた上で、改めて役者という仕事のどんなところに魅力を感じていますか？

三津谷「悩みながらも続けているのは、結局のところはお客さんの笑顔があるからだと思います。稽古中とか、何回、挫折しそうになったかわからない。今オーディションに挑戦している子たちも、そういう気持ちになっているかもしれないけど、きっと光はあるから。稽古中、なかなか役と仲良くなれない、つかめないときに絶望しながらも、舞台に立つとやっぱり楽しさが勝つんです。苦しいことがあるから、余計に楽しいことが鮮明になる。やっぱり、僕はドＭなんですよね」

大久保「どういうこと？（笑）」

三津谷「怒られないとダメなんだなって。怒られるのはツラいし、悔しいけど、その分、スイッチが入る。追い込まれることがイヤではないから、続けられているんだと思う。稽古中にものすごく苦しんだからこそ、お客さんの笑顔がすごく沁みるんです」

大久保「意外とね、カーテンコールでお客さんの顔ってよく見えていますから！ 泣いている人もいれば、笑っている人も、呆然としている人もいる。笑顔でめちゃくちゃ拍手してくれている人など、本当にいろんな人がいるなぁって」

――どの辺まで見えるんですか？

三津谷「けっこう後ろのほうまで見えるよね？」

大久保「うん、見える。それが舞台のいいところなんですよね。お客さんの反応が直に見られるっていう。それに加えて、一回の人生じゃ経験できないことが経験できるところも魅力です。僕は、ついこの間まではゲイの男の子、その前は兵隊、その前はお金持ちで、さらにその前は吸血鬼でした。いろんな人生を経験して、その世界で生きられるのは、本当におもしろいです」

三津谷「知らなかったことを学んだり、意外な感情にも出会えるのも魅力だよね」

大久保「時代劇だったら、その時代の背景も知ることができる。個人的におもしろかったのは、2005年の『レ・ミゼラブル』のあと、2006年に『マリー・アントワネット』に出て、浮浪児からいきなりフランスの皇太子になったこと。この前まで拾ったパンを食べていたのに、今はマリー・アントワネットの息子だ！って」

三津谷「すごい出世だね（笑）」