連載「D-DAYS ＋Plus」vol.208 新木宏典

――新木さんが大久保祥太郎さん、東啓介さん、新納慎也さんと共に歌う『CHA-LA HEAD-CHA-LA（チャラ・ヘッチャラ）』もそうですが、アニメソングも超王道な曲ですね。

新木宏典「みんな知っている曲ばかりなのがいいですよね。『CHA-LA HEAD-CHA-LA』も、リアルタイムではなくても、いろいろな方がカバーしていたりするので、一度は聴いたことがあるはず。他のラインナップも、記憶のどこかに刻まれている曲ばかりです」

――メンバーや曲について、現時点ではどんな印象を持っていますか？

新木宏典「『CHA-LA HEAD-CHA-LA』に関しては、影山（ヒロノブ）さんの歌い方に引っ張られないようにしないとっていうのはありますね。影山さんの歌声の印象がとても強い曲ですが、新木宏典として、役を背負っていない状態で歌うので。この間、平井堅さんのKen’s Barに行ったのですが、必ずカバー曲を歌われるんです。そこで歌っていらしたブラックビスケッツの『タイミング〜Timing〜』が、完全に平井堅さんの歌になっていた。そうだよな、これがアーティストだよなぁとすごく感じたんです。カバーでも自分のものにするというのを体感できたので、新木宏典として誰かの楽曲を歌うって、今まであまりやったことがなかったけれど、コンサートで披露するという取り組みは自分を見直す良い機会なので、しっかりと向き合いたいなと思いました。あとは久しぶりに、ヘッドマイクじゃなくハンドマイクで歌うのが個人的に楽しみです。やっぱり音圧が全然違うし、歌声の広がりもハンドマイクのほうが大きいので。リハーサル前にセットリストを聴き込んで馴染ませておきたいから、誰かプレイリスト作ってくれないかな（笑）。“ワタナベ25周年コンサート”っていうプレイリストを（現在、披露予定の楽曲をまとめたプレイリストがApple Music、Supotifyで公開中）」

――そして7月にはミュージカル『刀剣乱舞』で10周年を祝う大型公演、「目出度歌誉花舞 十周年祝賀祭」があります。

新木宏典「10周年のために、かなり前から準備されていたと思うんです。東京ドームで2日間できるって、すごいことですから。総動員数じゃなくて一度に約5万人を集められる、それだけの分母がないと東京ドームではできないわけです。それができるくらいなんだ、そんなに大きくなっていたんだと、ミュージカル『刀剣乱舞』すごいなと改めて思いました」

――新木さんにとって、ミュージカル『刀剣乱舞』はどんな存在ですか？

新木宏典「僕の役者人生をどうするのか、しっかりと考えられる場だったのかなと思っています。この作品に関わることで大きく変わったことも、この作品への取り組み方自体が基本ベースになっている部分もありますね。2.5次元作品って、新人俳優の登竜門と呼ばれていたりするじゃないですか。ただミュージカル『刀剣乱舞』に関しては、ビジネスとしても演劇としても、商業的に成功している作品だと思いますし、そのスキルの高さも認めざるを得ない環境になってきています。それは出演した俳優たちが、他の現場でも結果を出していることでも証明されていると思うんです。今求められているものがお芝居だけじゃなくなってきた時代で、これだけスペックの高い後輩たちが増えた中で、最年長である自分は何を言葉ではなく姿勢で残せるのか。伝えておくのがいいのかを考えるようになった場でもあります」