――そんな共通点があって仲のいいお二人ですが、役者としてのお互いの印象は？

阿岐之将一「亮ちゃんは肝の座り方が尋常じゃないんです。何も気にしていないのかというと、そういうわけでもなく、意外といろいろと意識して考えてはいるんだけど、表に出てくるのは、常にフワッとした佇まいで。そこが羨ましいんだよね。この人に任せておけば大丈夫っていう、そういう頼りがい、安心感を与えられるんだろうなって。一緒にお芝居をするのは『チャイメリカ』以来なんだけど、今度共演する『夜明けの寄り鯨』での事前読み合わせのときも、当日台本をいただいて、みんなが初見の状態での本読みだったけど、“亮ちゃん、めちゃくちゃ芝居が上手くなってる！”って思ったよ。この3年の間にもいろいろ経てきたんだろうなぁって」

池岡亮介「うれしいなぁ。あれは横山拓也さんの本の力だよ。役者が無理をしなくてもいいというか、無理せずにそのままでいさせてくれる。僕だけじゃなく、みんな、初見とは思えない感じだったよね」

阿岐之将一「確かに、迷いなく自然にしゃべれてしまう感じはあった。結構どよめいたよね、終わったあと。こんな初見読みってあるんだ!?って」

池岡亮介「充実感がすごかった。将一くんはね、とにかくスマート。立ち姿も、芝居へのアプローチも。でも、ものすごく考えちゃうタイプだよね？」

阿岐之将一「うん、考える」

池岡亮介「そこをね、前面に出すんですよ」

阿岐之将一「おい！ 俺は褒めたのに！（笑）」

池岡亮介「違うって。表に出てしまうぐらい考えているんだなっていうのが伝わってくるから。でも最終的にはスマートにできちゃうっていう。それは、これまで培ってきたものなんだろうなと。最初はね、新国の人（新国立劇場演劇研修所出身）だ！っていうところから入ってたから。すごい人が事務所に入ってきたなって。だから僕が褒めていいのか!?っていうぐらい、そもそも役者としてシュッとしている人なんです」

阿岐之将一「それ、褒めてくれてるの!?」

池岡亮介「声もセクシーだし、戦える武器をたくさん持っている人ですよ」

阿岐之将一「ありがとう（笑）」

池岡亮介「何よりも、将一くんには嘘がないから」

阿岐之将一「嘘をつかないっていうのは、お芝居でも日常でも意識していることではあるかな。例えば、相手を褒めるにしても、そこに嘘が混じっていたら、壁を感じるじゃないですか。逆に信じられなくなってしまうくらいなら、本音で接したほうがいい。お芝居でも、役として嘘がなくそこにいて、嘘なくしゃべるっていうのが一番美しいと思う。嘘がない状態でお芝居するために、何が必要なのかっていうのを常に考えています。たまに『役者なんだから嘘が上手いんでしょ』って言われたりするけど、役者だからこそ、嘘はつけない。“本当”を見せていく仕事だから、嘘をつく仕事じゃないんだよと。その考え方が、日常生活でも出ているのかもしれないな」

池岡亮介「だから一緒にいてラクなんだよね。無理しなくていいから」