近藤頌利「結構どころじゃないですよ。僕は違いますけど、秋人くんと、鈴木拡樹さんは常に出ていますから。お二人が一緒にいるか、どちらか一方が必ず舞台にいて、常にしゃべっている。しかも、現代では使わないような言葉がたくさん出てくるんです。専門用語も多いし、初めて台本を開いたとき、“漢字だらけ!?”と驚きました」

宮崎秋人「原作の作者さんが、あえて難しい言葉を使っているって、この前頌利が言っていたよね？」

近藤頌利「はい。意味が全部わからなくても、伝わるように書いているみたいです。会話と人の心情が汲み取れれば、理解できると。お客さんに、いかに早くこの世界に慣れてもらうかが勝負だなって思いました。最初から海軍の中での話なので、“難しそう”って構えがちですけど、人間の感情のドラマだっていうのが伝われば、すんなり入ってもらえる作品なのかなと思います」

――鈴木拡樹さん演じる天才数学者・櫂と、宮崎さん演じる田中との掛け合いがちょっとコミカルだったり、そこも見どころの一つにもなるのかなと。

宮崎秋人「崩し方が難しいんですよね。基本的には軍人としてビシッとした姿勢や動き、しゃべり方でやりつつ、どこでどう崩していくかの取捨選択が難しい。無理矢理に崩していかないと、ちょっとほっこりするようなシーンが生まれないだろうから。緊張と緩和という、そのギャップを作るのが課題でもあります」

――軍人としての動きを身につけるために、本格的な軍事訓練を受けたそうですね。

近藤頌利「結構しましたよ。敬礼と、気をつけ、あと帽子の所作とか。入室、退室の動きなどもやりました」

宮崎秋人「演出の日澤（雄介）さんがおっしゃっていたんですが、基本的にはアンサンブルメンバーと、僕と頌利とで、海軍の世界観を作らなければいけないんです。その上で、ちょっとゆるく、自由にしゃべれる上層部の人たちと、軍の枠に収まらない主人公の櫂直の存在が立つ。我々がベースを作っておかないと、海軍というのがぼやっとしてしまうので、責任重大です」

近藤頌利「所作の部分がね。本職の方が教えてくださったたので、『回れ右』とか、動きがとにかくピシピシっとしていてカッコ良かった。でも力を入れていないといけないので、出ずっぱりのシーンが続くと、もう体がカチカチです」