――同時進行な『ザ・ドクター』の稽古現場はどんな感じですか？

宮崎秋人「演出の栗山民也さんは今回初めましてなので、最初は委縮していたというか、栗山さんの稽古の進め方もやり方もわからなかったので言われた通りにやろうっていう感じでした。ただ、栗山さんからは『稽古だから、いろいろやってよ』って言われていて…。でも、とてもそんな空気感じゃないんですよ（笑）。稽古場の一部にしか照明を当てず、物理的な暗さと空気的な重さとがあって、物音ひとつ立てられないような、ものすごい集中力でやっています。あの神経の張り具合は、森新太郎さん、白井晃さんも同じ。そんな中でトライして、うかつにエラーなんてできない…っていう（笑）。でも3日前ぐらいから勇気を出して、トライはしています。（橋本）淳さんも、僕の動きにびっくりしてました（笑）。役としてウソがなく動いていたらいいんだって、それは当たり前のことではあるんですが、あの場でやった自分を褒めてあげたいです」

――会話劇の中で意識していることは。

宮崎秋人「ただ人が話しているのを聞いているだけだと、人間って眠くなってしまうと思うんです。この作品は、一度でもお客さん（の集中力）を手放してしまったら、もうついて来てくれなくなってしまう。会話のスピードや、どのワードをお客さんに引っ掛けていくかなど、とにかく緻密に練ってやっています。栗山さんの演出は的確で、ちょっとした采配でガラッと印象が変わってきます。主演の大竹しのぶさんは、お芝居にウソがまったくない方ですし、表出する部分の色が、本当に豊富で。自分がやる場合は台詞の強弱でしかなかったりするところが、大竹さんはいろんな形で表現される。本当に、すごい方です」

――そして『銀河鉄道の夜2020』に続き、2022年1月には『マーキュリー・ファー』でまた白井晃さんの作品に出られるということで、こちらへの意気込みも。

宮崎秋人「去年『銀河鉄道の夜2020』の千秋楽を終えたときに白井さんのところに挨拶に行き、『僕は『マーキュリー・ファー』で白井さんの作品に初めて触れました。大好きな作品なので、再演があったら観に行きます！』って言っていたんです（笑）。事務所の先輩の加治将樹さんと初めて共演できるというのも、自分的にはかなりホットな出来事で。この間事務所で会って挨拶したら『え、こういう舞台にも出るの!?』って驚かれたので、加治さんに認めてもらえるよう、頑張らないとなって思っています（笑）」