――『仮面ライダーガヴ』のオーディションでは手応えはありましたか？

日野友輔「手応えはぜんぜんなかったです。主人公のショウマも辛木田絆斗も、自分の素と近いかと言われると、どちらも近くはないので。どっちが自分に合っているのかが自分でもわからず、毎回、その場でできることをとにかく全力でやろうと思って臨んでいました。大学卒業前に仮面ライダーかスーパー戦隊シリーズが決まらなかったら、一旦、卒業するために学業に専念しようかなと思っていたぐらい、このオーディションに賭けていたので、自信はなかったですけど、今までで一番やり切った感じはありました」

――結果、絆斗にキャスティングされました。

日野友輔「はい、すごく嬉しかったです！ ショウマ役のヒデ（知念英和）は、役と同じように本当に異世界から来たんじゃないかってくらい、役のイメージそのままで。僕とは真逆なので、そういうバランスも見て選んでくださったのかなと。絆斗の魅力って、ヒーロー、主人公としてのど真ん中のカッコ良さというより、諦めない心を持って、とことんがむしゃらで泥臭いところだと思うんです。最初に変身したときも、カッコ良くポーズを取るのではなくて這いつくばりながらの変身でしたから。それと、絆斗は幼少期に親がモンスターにさらわれて、誰も信じてくれなくて…という過去を引きずっている人物なので、最初のうちはそれをどう意識して演じるかというのが大変でした。自分の人生にはない引き出しだったので、なんとか想像力で作っていくしかない。お菓子がモチーフでパッと見はポップだけど、重厚な人間関係やストーリーが展開されるというギャップも、この『仮面ライダーガヴ』の魅力だなと思います」

――お芝居で特に難しいなと思うのは？

日野友輔「仮面ライダーはヒーローなので、カッコ良くいないといけないということと、絆斗のキャラクターとの両立です。たとえば、戦闘シーンでは敵にやられたときにダメージを受けるので、それを表現しないといけないのですが、ダメージ感ばかり意識してしまうとヒーローとしてのカッコ良さが伝わらない。やられてボロボロになりながらも立ち向かっていくぞという部分で、絆斗のカッコ良さを出したいので、ただただやられているだけの芝居にはしたくないなと思って演じています」

――今年の4月にデビュー5周年を迎えましたが、これまでの活動を振り返ってみていかがですか？

日野友輔「長いようであっという間の5年でした。僕は役者としては全くの新人ですけど、それでもこの5年がなかったら、今はなかったんじゃないかと思います。いろんな経験をさせてもらって、ようやく一人で立つことができるようになったタイミングで、『仮面ライダーガヴ』にキャスティングしていただいた。今まで、しんどいと感じた瞬間も無駄じゃなかったし、これからがもっと大事なので、今の気持ちを忘れずに成長していきたいです」

――芸能界デビューを目指している人たち向けて、夢や目標を叶えるために大切にしていることを教えてください。

日野友輔「僕もうまくいかないことがあると、めちゃくちゃ考えてしまうし、不安が募ってしまいます。でも、それでいいのかなと思っていて。考えることを止めるのは諦めることと同じだし、苦しむことが成長に繋がるんじゃないかなと思います。自分を見失いそうになったときこそ、自分を信じるための材料を集めること、必死に努力することに集中したほうが良い。自分は特別じゃないと悩んで考えて、もがいた結果、自分を信じるにいたったときにこそ得られるものがあると思うので。どれだけ良いセリフでも、それを口にする役者に魅力がなかったら、その良さは半減してしまうと思うんですよね。なので、人間力を鍛えるという意味でも、いっぱい考えて悩んで、何かに取り組んで一生懸命やっておくのが良いのかなと。何が正解かとかは考えず、全力でやれることを見つけていく。僕もまだまだなので、一緒に頑張りましょう！」