――授業の内容で印象に残っているのは？

井内悠陽「自己解放というレッスンが僕は好きでした。『今すぐ猿になれ！』 って言われたら、どれだけ自意識を捨ててなりきれるかっていう、自分をさらけ出す授業だったんです。僕は人前で何かをするというのが苦手だったので、どのレッスンでも毎回緊張していたんですが、だいぶ鍛えられて楽しめるようになりました」

――高校時代にしっかりとレッスンを積み重ねて、卒業後にオーディションを受けたんですね。

井内悠陽「卒業してから事務所に所属させてもらって、そこからいろんなオーディションを受けるようになりました。高校在学中はコロナ禍ということもあって、エキストラとかの募集もあんまりなかったので、現場を経験する機会はぜんぜんなくて。一回だけ、関西の近くの大学で撮影するときにエキストラで参加したくらいでした」

――エキストラとして初めて現場に参加してみて、どう感じましたか？

井内悠陽「すごく悔しかったです。カメラの前でお芝居している役者さんがいて、僕はその周りをただ歩くだけだったので。僕も早くカメラの前でお芝居したいって思いました」

――そんな悔しい想いを経て、卒業後に事務所所属が決まった時は嬉しかったですか？ 就職が決まったみたいな感じなのかな？

井内悠陽「安心感はありましたけど、不安がゼロかと言えば、そんなこともなかったです。僕は事務所に所属するまでに4年かかっているので。中２のときにスクールに通い始めて、一緒にレッスンを受けていた人たちの中には、すでにデビューして仕事を始めている人もいましたし、まだまだこれからだなと」

――いろいろとオーディションを受けるようになったときの気持ちを思い返すと、どんな感じでしたか？

井内悠陽「ずっと焦っていました。19歳で若いと言ってもらえることは多いですけど、自分の中では年齢なんて関係ないと思っていて。お芝居が好きだからレッスンは好きだけど、やっぱりたくさんの人に観ていただける環境でやりたいし、お仕事としてお芝居ができる環境に早く身を置きたいと思っていたので。同世代でどんどん作品に出ていっている人たちを見ながら、ものすごく焦っていました」

――そんな中で『爆上戦隊ブンブンジャー』のオーディションを受けたんですね。

井内悠陽「はい。ただ自分を追い込んでしまうと、周りを気にしたり、余計な緊張感が増したりするので、オーディションを受けるときは必ず、“この場で自分が一番楽しむぞ！”という気持ちで臨んでいました。レッスンは受けつつも、仕事はまだしていなかったので、自分のお芝居を観てもらえる機会ってオーディションの場だけだったんです。だから楽しまなきゃ損だなって（笑）。せっかく自分の芝居を見てもらえるんだから、楽しんでお芝居しようと思ってやっていました」