――以前の取材で、2.5次元作品のような原作のあるキャラクターを演じる際、“大事にしているのは芯となる内面をしっかり作ること”とおっしゃっていましたが、それはナルトでも変わらず？

中尾暢樹「はい。核となる中身をしっかりと作って臨みました。僕が大事にしているものを信じてそれを大切に演じていけば、自分なりのナルトになるのかなと。愛を持って、仲間を想ってまっすぐに、自分の忍道は曲げねェ！と心に決め演じました。舞台は特にそうだと思いますが、上っ面だけ作ってやるとボロが出るし、一貫性がなくなるというか、深みがなくなってしまうと思うので。僕のナルトを見て、ちょっとでもナルトのことを好きになってもらえたらいいなと思っていたし、きっと、僕に求められているものって、そういうことなのかなと。もちろん、歌もダンスも殺陣も必死に頑張るけど、変にカッコつけずに、僕なりに精一杯努力してありのままをぶつけようと思いました。それしかできないので」

――9月17日からいよいよ始まる「忍界大戦、開戦」。現段階（この取材の時点）では、まだ本格的な稽古はこれからということですが。

中尾暢樹「前回の千秋楽が終わって、ハッピーな思い出ばかりが思い浮かぶけど、よくよく考えたら大変なこともたくさんあって。それも含めていい思い出なんですが、それがまた始まるぞ！っていう感じです。今回はどうなるんだろうな。前回は、ナルトが一人でペインと戦うなど、出番も多かったのですが、今回はキャラクターも増えみんなで戦うシーンがあったり、もしかして前回よりは身体を休められるのかな〜？って思ったりしています（笑）。舞台「NARUTO」の場合、台本を読むだけだとそのシーンがどんな風になるのか想像がつかないんですよね。前回もそうだったけど、ト書きにさらっと書いてあることが、舞台で表現するとなるとすごく大変だったりするから。今回もキャスト、スタッフさん含め、みんなで作っていく感じになるのかなと思います」

――楽しみにしていることは？

中尾暢樹「今回はナルトの両親が揃うし、そのシーンがすごく大事になってくると思うので、どんな風になるのかなと。（波風ミナト役の北園）涼くんのことは大好きだし、うずまきクシナ役の小嶋（紗里）さんは前回シズネ役で出ていて、今回はクシナ役っていうことで、今から楽しみですね」

――大きな壁にぶつかりながらも成長していくナルトの姿が今回も見られると思うのですが、中尾さん自身は壁にぶつかったとき、どんな風に乗り越えてきました？

中尾暢樹「乗り越えられる壁ならガムシャラに向かっていきます。でもどうしたって乗り越えられない壁も出てくる。その場合でもずっとその壁を叩いちゃうかも」

――投げ出さずに立ち向かうと。

中尾暢樹「なんか気になっちゃうんですよね。頭ではわかってるんです、今の自分では超えられないなって。でも、いつか超えられるようになると思うから、頭の隅に置いておくことも結構多い。過去に超えられなかった壁と似たようなシーンや状況になったとき、ふと思い出したりして、“今の自分ならあの壁超えられるな”って感じることもたくさんあるし、それで自分の成長を感じたりもするんですよね。僕なんてまだ25歳ですけど、2、3年前にできなかったことができるようになったりもしたし、考え方や見方とかここ数年で本当に変わったので、いろんなものを取り入れるようにしています」