vol.89
「あ、はい(笑)。堀井先輩みたいになれるよう、頑張ります!」(志尊)
撮影/草刈雅之 取材・文/根岸聖子 ヘアメイク/仲田須加
志尊「僕たち、同じグループだったんだよね」
堀井「そう。アルトパート、ソプラノパートで歌い、台本を1枚渡されて、演技の審査があって、それで終わりだった」
志尊「しかも課題曲は、誰かが歌ってるわけではなく、伴奏とメロディーと歌詞だけを事前に渡されて。『ソプラノとアルトの両方を覚えてきて』って言われたけど、実際にどんな風に歌うことになるのかは、その時点ではわからなかったんです。オーディション会場に行ったら、前のグループが歌の合唱をしていたから、“ああ、結構本格的なんだな”と。僕らはその場で組み合わせを指名されて、ハモるように言われたんですが、Aメロが終わる頃には、2人とも上を歌ってました。テンポもぐっしゃぐしゃで、プロデューサーさんたち苦笑いだったよね?(笑)」
堀井「もう、汗もかくし、顔真っ赤ですよ」
志尊「会場の窓に自分たちが歌ってるところが映ってて、自分たちの顔が赤いのがわかって、“ヤバイ!”って」
堀井「窓ガラスだから色はわからないはずなのにね(笑)」
志尊「わかるくらい、真っ赤っ赤なの!“これはもう落ちたな”って。歌い終わって『ありがとうございました』って言った瞬間、堀井くんが、『本っ当にすみませんでした!』って土下座して。そうしたら『全然、大丈夫だから』って笑いが起きて(笑)。次の組が歌ってるときも、ずっと『志尊、ごめんな』って謝ってたよね」
堀井「だって、俺のせいとしか思えなかったんだもん」
志尊「そんなことないですって。お芝居のときも、設定とか何も指定されず、『好きなようにやってください』って言われたんです。みんな、それぞれに違う芝居をしてるんだけど、それについて指示が入るわけでもなく、『はい、お疲れ様でした』って。正直、“うわ、あっけない!”っていう印象でしたね。2人して、『落ちたね……』って言いながら帰りました」
志尊「僕『烈車戦隊トッキュウジャー』で演じたライトのキャラクターソングを歌いました。実は、そこでも“終わったな……”って思ったんです」
堀井「顔、真っ赤っ赤?(笑)」
志尊「そう。急に『何か歌って』って言われて、準備も何もしてなかったから。でも、きっと相手も知らない曲だろうし、振り切って歌わなきゃダメだなって思って、全力で歌ったら、『甘い声だね』って言われて」
堀井「僕、声が震えちゃって、蚊の鳴くような歌声だった。顔も真っ赤っ赤で(笑)」
志尊「ダメだと思ったけど、結果的には出演することができた。本当に、オーディションって、何を見られてるのか、わからないよね」
堀井「でも、僕、そういうの何回もあるよ。“絶対に落ちたな”って思ったのに、受かってたっていうこと」
志尊「逆もない? 手応えがあって、受かってなかったっていう」
堀井「前に舞台のオーディションで、マネージャーさんに『これは受かったと思う!』って自信満々に電話したのに、2時間後、マネージャーさんから『落ちたって……』って、報告受けて(苦笑)。あのときは悲しすぎたな〜」
志尊「堀井くんに“おいで、おいで”って、『ヒザの上に乗れ』って言われたり、座ったら、後ろから抱きしめられたりしてたね(笑)」
堀井「懐かしいなぁ。あの頃は、カッコつけた芝居しかやってなかった(笑)。キザな台詞をキザっぽく言ってさ」
志尊「クールな役だったもんね」
堀井「そんな思い出もありつつ、また志尊と一緒に作品ができて嬉しいよ」
志尊「今回のオーディションでもさ、堀井くん、『もう1回歌いに来てください』って言われて行ったとき、そのあと電話くれたよね。『僕、ハモれたんだよ!! 一緒にやれるといいな!』『そうだね!』って。だから、2人決まったときは、すぐに一緒にご飯行ってね」
堀井「ステーキ食べたな!」
志尊「こっちが狙っていっても、大人の人たちには見抜かれるだろうし。役にハマるかどうかであって、落ちたからって自分が否定されるわけじゃないんだよね」
志尊「『はい、カット!』ってなった瞬間、“今のでよかったかな……!?”って」
堀井「そうそう、僕、そのタイプ(笑)。失敗すると、すごく引きずる。その失敗を忘れるためには、とにかくまた芝居をするしかない」
志尊「カッコイイな〜。僕は、上手くできなかったなってヘコんでも、絶対に言わない。悔しいから」
堀井「でも顔に出てるんだよ。僕にはわかる。“あ、志尊、ちょっと落ち込んでるな〜”って」
堀井「お芝居と歌の融合って、すごいエネルギーが出せる場だと思うんですよね。全力でやるので、エネルギッシュな僕たちを、ぜひ観て欲しいです」
志尊「現場も楽しいんですよ。堀井くんがいつもくだらないボケを言って、僕が何かつっこんで、2人でスベッて笑ってるっていう」
堀井「スベッたなんて思ってないし! でも志尊はコミュニケーションをとるのが上手いしね。僕のことも、殴っていいんだよ!?」
志尊「なんで!? いつも遠慮しすぎだって言われるけど、殴れないよ(笑)」
堀井「先輩には甘えていいんだから。もっと、僕に甘えてきなさい!」
志尊「あ、はい(笑)。ありのままの堀井先輩みたいになれるよう、頑張ります!」
ほりい・あらた
1992年6月26日生まれ、東京都出身。NHK 大河ドラマ『花燃ゆ』に出演中。8月放送予定の戦後70年ドラマスペシャル『妻と飛んだ特攻兵』(テレ朝系)に出演。
しそん・じゅん
1995年3月5日生まれ、東京都出身。『エイエイGO!』(NHK Eテレ)レギュラー出演中。主演映画『先輩と彼女』が10月17日に公開。年内放送予定のスペシャルドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジ系)に出演。
7月17日スタート 毎週金曜 午後10:00〜
※初回15分拡大
勉強、恋愛、人間関係などなど、いつも何かが足りないような不安と隣り合わせで落ち着かない……。そんな居心地の悪い思いで不協和音を奏でている高校生たちが“合唱大好き!”という破天荒なヒロインと出会い、“合唱”に巻き込まれていくうちに、本当に輝ける場所を見つけていく青春ストーリー。
主人公のヒロインを含めた高校生役のメインキャストをオーディションで選抜し、演技力はもちろんのこと、歌唱力やカリスマ性を兼ね備えた次世代スターをキャスティング。この夏の“金ドラ”は、“合唱”をテーマに、爽やかでほろ苦い、王道の青春ドラマをお届け。
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