【デビューセミナー】杉咲花主演映画『市子』戸田彬弘監督 ”俳優志望者のための”トークイベント
2023/12/07
■会場参加者からの質疑応答
――市子役を杉咲花さんに演じてもらうことになった経緯、キャスティングの理由があれば教えてください。
戸田監督「『市子』は、東大阪の話で、全編関西弁なんです。そういう意味で、まずネイティブに関西弁を喋れる俳優を求めていました。なおかつ、市子は、高校生から30歳手前までを演じなければいけない役でもあるので、高校生としてもビジュアル的にいける年齢層で探していて。そんな中で、杉咲さんは朝ドラ『おちょやん』で関西弁の役を1年程やっていて、朝ドラの方言指導の方から『過去イチ耳が良くて、過去イチイントネーションが完璧だった』という話を聞いていて。彼女の持っている明るい、華やかな部分と、映画『楽園』のときのような目の奥から感じる引力みたいなものをちゃんと表現できる部分が、市子と一致したというか。市子はシーンによってかなり表情が変わる役なので、ただ佇んでいる時の表情や目で、そういう深みが表現できる人じゃないと難しいなと思っていたので。表現の幅が広くて、年齢的にもハマって、ネイティブな関西弁がしゃべれる俳優さんという部分で、僕の中で杉咲さんが唯一一致した俳優さんで、お手紙を書いてオファーしました」
――撮影しない部分もたくさん書いて渡したといいのは、具体的にはどのようなことを書かれたのでしょうか?
戸田監督「出てくる証言者によって、時代が変わっていくのですが、50ページくらい実際の台本とまったく同じ形式でシーンを書きました。詳しくはネタバレになってしまうので、言えないのですが、たとえば市子ととある証言者がどういう出会いだったのか、出会いから仲良くなるまでにどういう会話をして、どういうシチュエーションでそこに至ったのかというのを全部書きました。実際に撮影はしないけど、その役にとって重要なエピソードを書いたという感じです」
――オーディションで9割の人は似たような芝居をするとおっしゃっていましたが、“この人は違う”みたいなものは、どのような部分で見分けているのですか?
戸田監督「主体性があるか・ないかというのが大きいと思います。オーディションのときは、芝居の審査では1シーンしかやらないことが多いと思いますが、このシーンだけで、この役のことに対してどこまで自分の中で確固たるものを作れているかどうか。自分がやれることは全部やったという自信があるから、そういう顔つきになるのかなと思います。主体性を持っている人というのは、演出家や監督が、演出として何かヒントをくれるとか、指針を示してくれるだろうなっていうことに、頼っていない人たちというか。監督は演出部で、俳優は俳優部という、役割が違うだけで同じ目線で一緒に作品を作る関係性なので、監督が言うことよりも、その役を任された俳優はその役のことを現場で誰よりも一番に理解していて、誰よりもその役のために動いている人だと思います。たとえば、殺人者の役をやるとして、モラルとして殺人はしてはいけないことだけど、きっとそのキャラクターにはその人なりの正義があるんですよね。その正義を演じ手が一個人としては理解できないし、肯定できないとしても、その役を演じるには、その役がどうしてそういう行動をしてしまったのかという代弁者にならないといけない。そんな中で、まったく理解できない役に対して、どこまで寄り添えるのか。俳優がこの役のために、この役が思っていることは絶対に自分がみんなに伝えるんだという、そういう強い想いをどこまで持ってその役に向き合えるかという、そういう部分が大切なんじゃないかなと思います」
★監督から見て、役者にはどういったことが必要なのかという話はもちろん、映画『市子』を撮った際の裏話なども聞けて楽しかったです(東京都/18歳/女性)
★クリエイティブの前線にいらっしゃる監督のお話を直に聞くことができて、とても良い経験になりました(埼玉県/21歳/女性)
★とても貴重な経験をさせていただきました。監督と事務所の社長をされているので、両方の意見を同時に聞けて良かったです(東京都/24歳/男性)
★杉咲花さんのキャスティング事情や本作を見るポイントを教えていただけたのは嬉しかったです(埼玉県/22歳/女性))
★監督の本音を聴けて有意義な時間になりました。どうしても俳優は俳優のことしか考えられなかったりしますが、多角的に物事を考える良い機会になりました(東京都/22歳/女性)
★監督目線でのオーディションや作品の思いを直接伺う機会が今までなかったので、とても勉強になり、自分が何を大切にして役者として演技をするのかということを改めて考え直す良い時間だと思いました(神奈川県/24歳/女性)
★作品に対する裏話など普段聞くことの難しい事を聞けて、とても良い刺激になりました(埼玉県/19歳/男性)
★映画『市子』についてのお話や、一緒に仕事したい人の特徴など、たくさん聞けて、今後の参考になりました(東京都/25歳/女性)
戸田彬弘(とだ・あきひろ)●1983年生まれ。奈良県出身。チーズfilm代表取締役。チーズtheater主宰。日本劇作家協会会員。
映画監督、脚本家、演出家として活動。 2014年『ねこにみかん』で劇場デビュー。
代表作は『名前』(2018年)、『僕たちは変わらない朝を迎える』 (2021年) 、『散歩時間〜の日を待ちながら〜』(2022年)などが有り、国内外の映画祭で受賞。
舞台では『川辺市子のために』がサンモールスタジオ選定賞2015最優秀脚本賞を受賞。ほか、チーズtheater全作品の作・演出を担当。外部演出は、大竹野正典作『黄昏ワルツ』、横山拓也作『エダニク』、花田明子作『鈴虫のこえ、宵のホタル』、松田正隆作『海と日傘』など。
近年は、舞台『ある風景』(2023年)が日本劇作家協会プログラムとして上演。テレビ東京『けむたい姉とずるい妹』(2023年10月期)を監督。2023年12月8日から杉咲花主演の映画『市子』が全国公開。
映画『市子』
2023年12月8日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテ ほか全国公開
誰の目にも幸せに見えた彼女は忽然と姿を消した――
川辺市子(杉咲 花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。
途方に暮れる長谷川の元に訪れたのは、市子を捜しているという刑事・後藤(宇野祥平)。後藤は、長谷川の目の前に市子の写真を差し出し「この女性は誰なのでしょうか。」と尋ねる。市子の行方を追って、昔の友人や幼馴染、高校時代の同級生…と、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていく長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていたことを知る。そんな中、長谷川は部屋で一枚の写真を発見し、その裏に書かれた住所を訪ねることに。捜索を続けるうちに長谷川は、彼女が生きてきた壮絶な過去と真実を知ることになる。
配給:ハピネットファントム・スタジオ
◆公式サイト
https://happinet-phantom.com/ichiko-movie/
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現役映画監督が代表を務める俳優プロダクション。映画・舞台制作経験も豊富!
国内外の映画祭で受賞経験を持つ現役の映画監督・戸田彬弘(40)が代表を務める芸能プロダクション。チーズfilmでは、映画制作・舞台制作・俳優マネージメントの3本柱を主に活動。
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