【デビューセミナー】杉咲花主演映画『市子』戸田彬弘監督 ”俳優志望者のための”トークイベント
2023/12/07
「憧れだけで挑戦するのではなく、自分の現状を把握し、目標に向かって1つ1つ努力することが大切」
過去40年にわたり様々な新人募集を掲載し、篠原涼子、蒼井優、有村架純など、数多くのスターを輩出してきたオーディションメディア『デビュー』による俳優志望のための【デビューセミナー】。12月3日に実施した、杉咲花主演映画『市子』戸田彬弘監督“俳優志望者のための”トークイベントには、抽選で選ばれた会場参加者に加え、オンラインでのライブ配信視聴者が参加。
現役の映画監督、脚本家、演出家、さらには芸能プロダクション「チーズfilm」の代表も務める戸田監督に、俳優を目指す際に必要不可欠なこと、一緒に仕事をしたいと思う俳優の共通点、新人育成方針、さらには映画『市子』の撮影エピソードなど、なかなか聞くことのできない貴重な話をたっぷりと語っていただきました。
トークイベント
――現役の映画監督が代表を務められている芸能プロダクションというのは、珍しいと思いますが、どのような経緯で事務所を立ち上げたのですか?
戸田監督「弊社の場合は、芸能事務所と言っていいのか微妙な感じではありますが、自分はもともと大学で演劇をやっていて。その関係もあり、俳優の友人・知人がとても多くて。その中で、なかなか事務所が決まらないと悩んでいる人や、所属していた事務所を辞めて次の事務所が決まるまでどうしようという人とかの相談をよく受けていたんです。ちょうどその時くらいに、弊社が法人になるタイミングがあって。そんな俳優たちの事務所が決まるまでの後ろ盾のような感じで、お手伝いするというところからのスタートだったんです。その流れで、自分は制作側もやっていたので、知り合いのキャスティング会社とかに、『オーディション案件があったら連絡ください』と挨拶回りをして、案件をいただくようになっていったというのが始まりなので、芸能事務所を作ろうと思ってスタートしたというよりは、仲間や知人のお手伝いから派生していった感じです」
――そうなんですね。現在では、手島実優さんなど、映画で活躍されている方々も所属されていますが、「チーズfilm」さんでは新人を採用する際、どのような点を重視していますか。
戸田監督「僕自身、どこかの芸能プロダクションに勤めた経験があるわけではないので、僕の経験の中でしかお話できないのですが、弊社としては、うちに来る案件や繋がりの中にあるチャンス(オーディション含め)を自身の力で掴み取ってステップアップしていけると、僕らが想像できる方じゃないと難しいのかなと思っていて。弊社には売れている子が所属しているわけでもないので、バーター出演のように、売れっ子が作品に出ている流れで新人にも役をいただくようなパターンもないですし、大きな会社じゃないのでお金をかけてプレゼンしていく体力もないですし、オーディションで仕事や役を勝ち取っていくしかないんです。なので、オーディションで勝ち抜く演技力だったり、僕や弊社スタッフから見て魅力を感じる人というところが選考ポイントになってくるのかなと思います」
――チーズfilmさんの育成についてもお聞きしたいのですが。マイズナーテクニックをベースにした育成もされているんですよね。
戸田監督「そうですね。不定期ではありますが、海プロという名前で半年間のカリキュラムを組んで実施しています。今年の4月〜9月まで第5期のレッスンをやっていたのですが、第1期のときに、現在映画などで活躍している、弊社所属の石川瑠華も参加していて。半年間そこでレッスンを積んだ後、映画のオーディションで仕事を獲得していったという流れがあって。毎回、講師の方と次はどんなカリキュラムでやるかを考えて、ちょっとずつ内容を変更してやっています」
――そうしたメソッドという共通言語を持っていると、監督とも話しが通じやすいのでしょうか。
戸田監督「いや、正直、監督でマイナーズテクニックのことを話せる人ってそんなにいないんじゃないかなとは思います。これも僕の持論ではあるのですが、映画監督のワークショップというのはたくさんありますし、僕もいろいろと呼ばれていくのですが、映画監督って、アクティングコーチではないので演技を教えるプロではないわけですよね。自分の演技にまだ自信があるわけではなくて演技トレーニングがしたくて行くなら、それは違うのかなと思っています。これはうちに所属している子たちにもよく言っていることではあるのですが、芝居ができない状態で映画監督のワークショップに行くのは、“私は芝居ができません”ということを見せに行っている状態なので、マイナスプロモーションになりかねない。監督のワークショップに行くなら、“この子と仕事がしたい”と思わせに行く場所だと認識しないと、仕事には繋がらないんじゃないかなと思っています」
――芝居を一から教えてもらうために行くところではないと。
戸田監督「芝居のメソッドを教えたり、そういう知識を持っているアクティングコーチのもとで、芝居の研磨を積んだり、学んだりした後で、自分の中で何かしらの芝居の軸や自信が持てるようになってから、監督のワークショップに参加したほうが、“自分はこういう表現やパフォーマンスができます”というのを見せられるし、そこから仕事に繋がっていくのかなと」
――演劇や映画、ドラマなど、幅広く活動されている戸田監督から見て、一緒に仕事がしたいと思う俳優の共通点ってありますか?
戸田監督「オーディションに来ていただくと、9割の方は似たような芝居をされる傾向があるなと思っていて。それは、奇をてらったことをやったほうが良いということでは一切なくて、芝居の深堀りや役を背負う責任とか、そういうパフォーマンスの問題で。その芝居に対して、その役に対して本気で考えて芝居をする人、そういう人が最終的に候補として残っていくのかなと思っています。ただセリフを覚えて、それなりに考えてくるだけだと、9割に入ってしまう。もちろんそこに加えて、演技力だったり、役と合う・合わない、本人の個性が合う・合わないなど、いろんなことが加味されるものではありますが、オーディションの部屋に入ってきたときの顔つきみたいなもので、そういうことがわかってしまうというか。主体性を持って臨んでいるのかどうかというのは、雰囲気だったり、顔に出てくるんだろうなと思います」
映画『市子』
2023年12月8日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテ ほか全国公開
誰の目にも幸せに見えた彼女は忽然と姿を消した――
川辺市子(杉咲 花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。
途方に暮れる長谷川の元に訪れたのは、市子を捜しているという刑事・後藤(宇野祥平)。後藤は、長谷川の目の前に市子の写真を差し出し「この女性は誰なのでしょうか。」と尋ねる。市子の行方を追って、昔の友人や幼馴染、高校時代の同級生…と、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていく長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていたことを知る。そんな中、長谷川は部屋で一枚の写真を発見し、その裏に書かれた住所を訪ねることに。捜索を続けるうちに長谷川は、彼女が生きてきた壮絶な過去と真実を知ることになる。
配給:ハピネットファントム・スタジオ
◆公式サイト
https://happinet-phantom.com/ichiko-movie/
【20歳以上でも歓迎! 新人オーディション特集2023】チーズfilm
現役映画監督が代表を務める俳優プロダクション。映画・舞台制作経験も豊富!
国内外の映画祭で受賞経験を持つ現役の映画監督・戸田彬弘(40)が代表を務める芸能プロダクション。チーズfilmでは、映画制作・舞台制作・俳優マネージメントの3本柱を主に活動。
実力主義のクリエイティブに優れた人材が集まる場を掲げている。
■求めている人材:表現することを突き詰めたい人。人を大切にできる人。
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