芸能プロダクション「ソニー・ミュージックアーティスツ」訪問取材|読者レポーター企画「TeamD」Vol.8
2023/10/05
デビュー読者レポーターがソニー・ミュージックアーティスツを直撃取材&模擬オーディションを体験
奥田民生、PUFFY、木村カエラ、LiSA、西野カナといったアーティストをはじめ、倉科カナ、二階堂ふみ、土屋太鳳、成田凌などの俳優、タレント、モデル、お笑いタレント、文化人など幅広い人材が所属するソニー・ミュージックアーティスツ(以下SMA)。新人開発専門のセクションを持ち、年間を通してさまざまな全国オーディションを開催。また、毎月末を応募締切とした「マンスリーオーディション」も開催するなど新人の発掘・育成に積極的な事務所としても知られる。今回、デビュー読者レポーター「TeamD」のゆうきさんが同社を訪問!新人開発担当者に直撃取材を敢行し、模擬オーディションを体験しました!
積極的にオーディションを開催する
ソニーグループの芸能プロダクション
目黒駅からほど近い場所の、大きなビルの中に入っているSMA。エントランスの大きく輝くロゴの前でまずは写真を1枚! 会議室の一つをノックすると、SMAの新人開発担当、原明日香さんと上原岩さんが出迎えてくださいました。
オーディションの実際について直撃取材!!
――それでは早速なのですが、SMAはどんな事務所ですか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「SMAはソニーグループ内のプロダクションということもあって、音楽アーティストをはじめとして、俳優、タレント、モデル、そして芸人や声優など、様々なジャンルの所属者がいるのが特徴だと思います。それだけいろいろなジャンルの方が所属しているので、それぞれのジャンル同士でコラボしたり、共演したり、横の繋がりが割と強い会社だなと思います」
――新人開発スタッフの普段の活動について教えてください(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「オーディションで応募いただいた方々の書類審査に一番多くの時間を割いているかなと思います。弊社のホームページで毎月・毎週募集を行っていますし、デビューさんでもいろんな企画に参加させていただいていますから。あとはSNSで新人を探すことも多いです。Twitter、Instagram、TikTokなどを見て、アップされている音源を聴いたり、弾き語りの動画を見たりして“いいな”と思ったらライブを観に行ったり。ライブをやっていない場合はオンラインで面談したり、直接会ったりしています。大規模なオーディションは、今年はまだ開催できていないんですが、去年は『SMAオーディション』と『アニストテレス』を夏に開催しました」
SMA新人開発:上原さん「ちなみに、SMAオーディションというのは音楽から俳優まで総合的に審査するオーディションです。アニストテレスはいわゆる声優専門のオーディションです。ちなみにSMA所属の声優はほぼアニストテレス出身者です。我々は新人開発専門のスタッフなので、我々が見て良いと思っても自分たちがマネージメントをするわけではないんです。我々がセレクトした方々をウチのマネージャーたちにプレゼンテーションするということが、一番大事な仕事ですね」
――書類審査で重視しているポイントはありますか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「まずはやっぱり写真を重視します。ルックスももちろん見るのですが、写真から出る雰囲気や表情も見ますし、自分が頑張っていることの写真を載せてくれていると、その人らしさが強く出て魅力的に感じるなと思います。ですから、宣材写真のような写真をいっぱい載せてくれている方もいるのですが、それだけじゃなくてもう少し自然な写真もあると嬉しいな、と個人的には思っています。友達といる時の表情や、自分が頑張っていることをやっている時の表情を見たいと思っています」
――面接審査で重視するポイントはありますか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「面接審査では、実際に対面した時の喋り方や、どういう言葉を選ぶのかを重視していますね」
SMA新人開発:上原さん「会話って“間”があるじゃないですか。その人独特の間だったり。あとは質問したことに対して、“はい”か“いいえ”しか言わない人もいれば、それに対してすごく会話を広げられる人もいて、それも一つの能力だと思うし、そういうところが面接で見られると嬉しい。あと最近はオンライン審査も増えたのですが、自分のお部屋から繋ぐ人がいて。後ろにフィギュアがバーって並んでいたりすると、“この人こういう趣味あるんだな”とか、そういう部分が垣間見れてちょっと楽しかったり。窓の外から見える風景がものすごく綺麗な田園風景だったりすると、“めちゃくちゃいいところだなあ”とか。そういうことが感じられるのもオンライン審査の良さかなと思います」
――SMAのオーディションというのは、どのような流れで実施されますか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「書類審査で気になる方をピックアップして、二次面接という形でオンラインで審査させていただいてます。その後、マネージャーにプレゼンをするので、マネージャーの意見も取り入れながら、その先の審査に進む方を決めて、場合によって直接会社に来てもらって面談をします。その後は個人個人で異なりますが、もう一回面談に来ていただく場合もありますし、レッスンを受けていただく場合もあります。アーティストの場合は、まずはライブを観たいという気持ちが強くあります。ライブは地方も観に行きますが、遠方だったり都合で行けない場合や、ライブをやってない方に関しては、オンラインや直接の面談で活動の方針について聞き、その後、マネージャーにプレゼンをします」
――ライブハウスに実際に行くことも多いんですか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:上原さん「大げさに言えば、ほぼ毎晩ライブハウスにいます。昔、僕がまだ若かりし頃はネットの情報がなかったので、とにかくライブハウスに行ってみないとどんなバンドが出てるか分からない。だから本当に毎日あてずっぽうでライブを観に行っていました。最近はネットの情報も参考にしつつ、応募いただいた中で興味のある方のライブ情報を調べて。例えば名古屋や大阪でも観に行くし…っていう感じです。やはりアーティストの場合は、どうしても実際に演奏していたり、歌ったりしてる場面を見ないとなかなか判断できないんですよね」
――これまでにみてきた俳優やアーティストの新人時代で、印象に残っているエピソードはありますか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:上原さん「今女優をしている久保田紗友は、小学校5、6年生の時に札幌で初めてお会いしたんですが、ほとんど今現在とお顔の印象は変わっていなくて、当時からすごく大人っぽい小学生だと思ってました。北海道からオーディションを受けるために東京に来なきゃいけないときは、毎回親御さんについて来ていただくこともできないので、新千歳空港までお母さんが送って、航空会社の方を通じて、羽田空港で僕らに引き渡すというサービスを使っていました。僕が下手にTシャツ・短パンで迎えに行ったりすると、航空会社の方に“本当にこの人に引き渡していいのか?”って若干怪しまれて、久保田紗友本人に“本当にこの人で大丈夫ですよね?”みたいにすごく確認されたという経験もありました(笑)」
――オーディション合格後の新人の育成方法について教えてください(ゆうきさん)
SMA新人開発:上原さん「俳優さんに関して言えば、基本的には演技レッスンを受けてもらいます。ただ演技レッスンの方法も、担当マネージャーによって先生や、頻度が違ったりします。共通して言えるのは、オーディションに合格して事務所に入っても、その後に待ち構えてるのはオーディションなんです。CMに出るため、広告に出るため、ドラマに出るためにもオーディションが必要なんです。もしかしたらセリフがないような小さい役でもオーディションで勝ち取っていくのが基本なんです。
声優の場合は、ボイスサンプルと言って、自分がどんな声をだせるのかのサンプルを録ってプレゼンテーションし、オーディションを受けるのが基本です。社内に声を録れるスタジオがあるので、自分の声のカタログを作る作業から始まりますね。
アーティストに関しては、もうホントに決まりはないです。ボイストレーニングを受ける人もいれば、場合によってボイストレーニングしちゃうといい意味でのクセがなくなっちゃうからしないほうがいいという場合もあるし。バンドの場合はライブをいっぱいやったほうがいい場合もあるし、逆にちょっとライブやりすぎで曲を作るペースが遅いから、ライブを控えて曲を作ろうという場合もあるし。そこはホントに人によって違います
」
――SMAでは、現在どのような人材を求めていますか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「今だけではなくずっとなんですが、コミュニケーション能力がある人がいいと思います。俳優で例えると、演技が主な仕事ではあるのですが、番宣でバラエティーに出ることもあるじゃないですか。そういう場合にもやはりちゃんと返せる人は必要だと思いますし、演技の現場で監督さんとちゃんとコミュニケーションが取れたり、共演者と話してどんな演技をするかについてちゃんと言葉にできる人が、ずっと変わらずに必要なのかなと思います」
SMA新人開発:上原さん「昔だったら一言も喋らなくても、それはそれでカッコよかったと思うんですけど、多分最近はそれじゃ通用しなくて。俳優さんがバラエティ番組やクイズ番組に出て、面白いことを言ったりする場面ってご覧になると思うけど、割とそういう部分が問われることも多いのかなって。あと、やっぱり現場のスタッフとコミュニケーションが取れないと、なかなか良い作品が撮れないんじゃないかなって思います。
アーティストも一緒で、音楽番組の中でトークをする場面も多くなっていますし、SNSでアーティスト自身が発信する場面が昔より多くなって来ていると思うので、そこで音楽だけではなく、言葉や会話で自分を表現することが要求されるのかなという気がしています。そういった意味でコミュニケーション能力、いわゆる会話力がある人がいいと思います」
――オーディションに応募するにあたって、普段からやっておいたほうがいいことはありますか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「まずはさきほどから言うように、人と積極的にコミュニケーションを取ってほしいです。面談で“この方、普段はもっとはっちゃけて喋るんだろうな”という方がすごく緊張していて、質問してもいまいち答えが返ってこないということが結構あります。オーディションをいっぱい受けたり、普段から友達だけじゃなくて、話すと緊張する人と積極的に喋って緊張に慣れてほしいですね。あとは、テレビに出ている人って普通っぽく見えても、普通じゃないというか、感性が優れている人が多くて。例えば台本を読んでも、どれだけ役の気持ちを汲み取れるか、感情移入できるかが演技にも直結すると思うんです。だから普段から感性を磨く努力というか、自分が普段興味を持たないようなことにも興味を持つ努力をしてみてほしいと思います」
SMA新人開発:上原さん「それって、難しく考えちゃうと思いますが、本当につまらないことで良くて。過去に僕が担当してたアーティストの例で言えば、すごく忙しいのにコンビニの新しいお菓子を全部把握している。で、必ず買ってくる。なんか会うたびに“ポッキーの新しいの出てたよ”とか。これも実はすごい感性で、いわゆるアンテナの高さというか、ここの情報だけは絶対負けないみたいなことを持ってたり、そういうことって多分すごく大事だなと思います。街を歩いていて、急にピンク色の家があったりするとして…ただ“ピンクの家だな”と思うだけじゃなくて、“この人なんでこの家、ピンクにしたかったんだろう?”とか“どんな人が住んでるんだろう?”って想像してみるとか。そういう能力というか好奇心を、いろんなことに持ってほしいなと思いますね。」
――お二人とも、お会いした時からすごく笑顔が素敵だなと思っていて。やっぱりそういう人と一緒に仕事をしていくほうが良いものができるのかなと思って。そこは自然に笑顔が出るんですか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:上原さん「僕はほかの会社を経験したことがないので分かりませんが、オーディションの時に“面談に行ったら怖かった”という話を聞くことがあります。僕の場合は、最初の上司がそうだったからかも知れないのですが、オーディションって楽しいほうがいいよねって思っているんです。オーディションに来る方々って当たり前に緊張すると思うんですね。緊張で顔がこわばると“普段はもっと魅力的なんじゃないか”みたいな人を見過ごしちゃう可能性があって、それは僕らにとってもマイナスなんです。普段の友達と話してるようにというのはちょっと難しいかもしれないけど、そういう時の表情を見られるように、なるべく緊張をほぐせればいいなと思っています」
SMA新人開発:原さん「面談の時も、面談っぽくならないようにしたいとは思っています。雑談っぽくというか、形式ばった一問一答にならないように、一つの答えからちょっと深く掘ってみて、自分からどんどん喋ってもらえたら嬉しいなと思っています」
――SMAで働かれた当初からそんなふうに笑顔ができているんでしょうか(ゆうきさん)
SMA新人開発:上原さん「SMAは割とそういう会社かもしれないです。会社自体がおおらかというか、そんなに怖い人もいないし。そういった意味では、僕らがどうこうというより、そういう社風なのかもしれないですね」
SMA新人開発:原さん「私がこの会社に入る時の面接も結構和やかな雰囲気だったというか。岩さん(上原さん)も面談してくださったのですが、趣味の部分を特に聞かれたり。今までの経歴っていうよりは“好きな音楽は?ドラマは何を観てるの?”みたいな質問が多かったイメージがあります」
――そうなんですね! そのお話に繋がるんですが、お二人はどうして芸能のお仕事を志望されたのか聞きたいです(ゆうきさん)
SMA新人開発:原さん「私は学生時代から音楽とドラマが好きでした。どちらかというと音楽のほうが強くて、ライブハウスでずっと働いていました。音楽関係の仕事をしようと深く考えていたわけではなかったのですが、ライブハウスで働いているといっぱい新人を見てきて、この人たちをもっとたくさんの人に知ってもらいたいというふうに思ったのが、この仕事につきたいと思ったきっかけです。大きな会社に入ったら、もうちょっと自分ができることって増えるんじゃないかなと思ったんです。ソニーグループのなかでもSMAを選んだのは、音楽に限らないところが魅力的で。例えばミュージシャンでも、最初に言ったように横のつながりがあるからこそできることも増えるんじゃないかなと。私自身ドラマが好きで、俳優さんのこともすごいなと思っていたので、そういう理由でこの会社を受けようと思いました」
――上原さんの場合はいかがですか?(ゆうきさん)
SMA新人開発:上原さん「中学、高校と自分自身がバンドをやっていて、もしかしたらデビューできるんじゃないかって思ったりして、現実を知って諦め、でもやっぱり音楽に携わっていたいという気持ちがあったんですね。そして元々はレコーディングエンジニアとしてこの会社に入ったのですが、そこが新人開発の部署のスタジオで。そこでレコーディングをしていたら、上司に“お前なんでレコーディングばかりしてて新人探しに行かないんだ”って言われて。“あれ、僕はエンジニアとして入ったんじゃなかったのかな”って思ったんだけど“いや、新人開発しなきゃダメだ!”って言われて。嫌々ながら新人開発をしはじめたら新人開発にどっぷりハマり、開発のほうが面白いなとようやく思ってきたら、今度はあるアーティストが“マネージメントを探してるからグループ内でマネージャーをやらないか”っていう話が上がり。マネージャーなんて絶対やりたくないって思ったけど、やってみたら楽しくて。『住めば都』人生というか。最初はあんまりやりたくないと思っていてもやってみたら割と順応するという、そんな感じで。そしてマネージャーをずっとやっていたのですが、最初にやっていた新人開発をもっとやりたいという想いがあって、マネージャーをやりながらも実は細々とオーディションもやっていたんです。そうしたらずっと新人開発をやっていた先輩に誘ってもらって。それで今に至る感じですね」
――自分の周りに芸能関係の職業を志望する友達があんまりいなくて、どんな気持ちで就職したのか気になっていたので、今日お話を聞けて良かったです。今日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました(ゆうきさん)
SMA新人開発:上原さん原さん「こちらこそありがとうございました」
開催中のDeview特別オーディション
ソニー・ミュージックアーティスツ マンスリーオーディション(2023年10月度)
奥田民生、PUFFY、木村カエラ、LiSA、西野カナといったアーティストをはじめ、倉科カナ、二階堂ふみ、土屋太鳳、成田凌など俳優、タレント、モデル、お笑いタレント、文化人など幅広い人材が所属。
新人採用後は、本人とよく話し合い、本人の意志を大事にしながら育成。学生の場合は学業優先で、地方在住の人は地元から通わせる方針だ(所属後の交通費やレッスン費はSMAが負担。地方でレッスンを受けられる場合もある)。
所属タレント
二階堂ふみ、土屋太鳳、足立佳奈、黒島結菜、サンボマスター、東京スカパラダイスオーケストラ、成田凌、橋本愛、フジファブリック、森永悠希、矢本悠馬、UNISON SQUARE GARDEN
新規TeamD読者レポーター大募集!
ドラマ・映画出演者にインタビュー取材をしたり、舞台の稽古場潜入取材をしたり、なりきりモデル体験をしたりなど、エンタメ現場をリアル体験する企画や、芸能プロダクション訪問や新人開発担当者との模擬面談、スクール体験レポやオーディションレポート、ビューティー企画、『デビュー』スタッフとユーザーとの座談会参加など、主に『Deview/デビュー』が企画する読者参加型コーナーに、TeamD読者レポーターとして参加してもらいます。
普段はなかなか覗けない・体験できないエンタメ現場のウラ側が体験できちゃうかも!?
一緒に『デビュー』を盛り上げてくれるコ、大募集です♪
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