劇作家・演出家・扉座主宰 横内謙介インタビュー 「演技について何も分からない人にこそ、ここに来てほしい」 | 特集 | Deview-デビュー

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劇作家・演出家・扉座主宰 横内謙介インタビュー 「演技について何も分からない人にこそ、ここに来てほしい」

2019/01/18

「ようやく業界に、舞台で芝居のスキルを学ぶ必要性が浸透してきた」

横内謙介

 劇団扉座研究所がスタートして22年になるが、その門を叩く若き俳優志望者の気質にも変化を感じるという。

横内「ものすごく真面目になってきてる。以前はもっと演劇をやる理由は雑多だったし、野望に満ちていた。今は『モテたい』とかいう理由はゼロに近いんじゃないか? そういう意味では『LOVE』が足りないんだよな(笑)。その分、真面目で深く追求する姿勢がある。ただ、演劇ってもうちょっと荒々しいものではあるから、多少規格からはみ出していくところがあってもいい。信じられるのは自分の身体だけ、自分は棒っ切れしか持っていないって知ってもらいたい。立派な武器を手に入れるにはもっとかかるぞって知ることで、棒で戦うすべをつかんでほしいね。あるところでは、暴れてみないと分からないですよって。そして今は、アニメやゲームを入り口に『声優になりたい』という衝動から演技を始めた人間が、演技は生のものだと知ったり、教えられたりして、初めてここに来るというケースも多くて、ちょっとスタートが遅い気がする」

 一方、ジャニーズのメンバーや、AKB48のメンバーなどの、いわゆるアイドルが出演する舞台作品も多数手がけてきた横内は、芸能界のなかでの、演劇・舞台公演の重要性、それに伴う学びの機会の必要性が増していることも実感している。

横内「SMAPの初期の舞台の脚本から手掛けていますけど、今や彼らも演劇人として一流と目されていますし、当然、そこに繋がって行くジャニーズの人たちも、ショーじゃなく、芝居は芝居だと思ってやっているし、お客さんもそういう目で見ている。AKB48の子たちは数が多いから、そこで何かになるためには、絶対にスキルを持たなきゃいけないということをすごく自覚的にやっている。これから舞台を目指すにしても、映像を目指すにしても、魅力があることは当然として、スキルも必要だというふうに、やっと世の中が変わって来た。いろんな作品でガチのオーディションをやるようになってきて、ようやく我々の世界も少しブロードウェイの感覚に近づいてるんじゃないかな。単に有名だからといって客は呼べない。だから勉強する場所がもっと必要になってくると思う」

横内謙介

 そんなエンターテインメントシーンで、2.5次元舞台の盛況などを含め、演劇、舞台公演が元気だ。生の舞台の価値がこの時代に見直されていることは確かなようだ。

横内「その手ごたえはすごくある。バーチャルになればなるほど、ライブは絶対に違うものなんだということが身に染みている。生の空間を伝わる言葉は、デジタル信号に変わっているものとは違うし、空間の広がりがあって笑いが起きたり、感動するんだっていうことを僕は信じていますけどね。ライブの分野だけは絶対に滅びないし、その値打ちは絶対上がると思っています」

 スキルを身につけた俳優が求められ、ライブの価値が上昇しているこの時代に、横内はどんな人に芝居を学んでほしい、扉座の研究所に来てほしいと考えているのだろうか。

横内「なんにもわからない人たちが来るべきだと思う。経験のあるなしは関係なく、初めてだという人が僕らにとってはウェルカムで、声優を目指している人が来てくれてもいい。舞台はアマチュアとプロの境目があって無きに等しくて、アマチュアだけで作ったって、面白けりゃそこに値打ちがつく。キャスティングされて初めて仕事がはじまるということじゃなくて、自分たちで生み出したら、すでに僕たちの仕事が始まるということ。そこに気付いてほしいし、本当に何もわからないっていう人こそ、一回ここにきてごらんって思います」

Information

劇団扉座研究所2019年度<第23期生>募集

横内謙介(スーパー歌舞伎U『ワンピース』脚本・演出/AKB48TEAM8『KISS KISS KISS』脚本・演出ほか)が主宰、俳優・六角精児が所属する劇団扉座が研究生を募集(30名)。

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