女優の葵わかなが6日、10月2日にスタートする連続テレビ小説『わろてんか』（月〜土8時 NHK総合ほか）の完成試写会に出席した。同ドラマでヒロイン・藤岡てんを演じる葵は「しんどいときも、笑いに助けられています」と笑いの力について語った。

　『わろてんか』は日本で初めて“笑い”をビジネスにした女性といわれるヒロイン・藤岡てんの一代記。第1週目の試写を観た葵は「（台本の）文字で見るよりも、もっともっとにぎやかなドラマになっているなと感じました。私は最後のシーンしか出ていないので、客観的に“イチお客さん”として観られたんですが、“小てんちゃん”（新井美羽）がすごくかわいくて、笑顔がチャーミングで、てんっていう女の子そのものだと感じました！　（第1週第6回の）最後に自分が出てきた時、子役の小てんちゃんと、自分的には別人だなと思わず、“同じ人”って感じがしたのでよかったなと思います」と、手ごたえを語った。

　ヒロインの発表会見では「自信がなくて、自覚がない」と語っていた葵。「ネガティブですよね」と笑って振り返りつつ、「3ヵ月ちょっと撮影が進んで、日々足りないことを感じるばかりですし、周りはすごく素敵な方々なので、この10ヵ月でどこまで追いつけるか、と思いながらやっています。でも、松坂（桃李）さんだったり濱田（岳）さんだったり、周りの方々が優しく手を差し伸べてくださるので、一人で頑張るというよりも、みんなで頑張るほうがいいかも、って思えるようになってきた今日このごろですかね」とコメント。緊張で周りが見えず、自分のことだけになっていた段階を突破し、全員でいいものを作ろうという、座長としての成長を垣間見せた。

　「笑いの力」が大きなテーマとなっている本作だが、葵は「今まで自分自身の笑いの沸点は、けっこうシビアだと思ってたんですけど（笑）、今の撮影現場は面白い人がたくさんいて。息をつく間もないぐらい毎日笑っていて。何で笑っているか良く分からない、思い出せないぐらい小さい笑いがいっぱいあって…」と現場も笑いに溢れていると言う。特に「画面を支配するリアクションの表情がとってもキャッチー」（松坂）「見ただけで、なんて思っているか分かる」（葵）という、藤井隆演じる万丈目吉蔵の“顔芸”にハマッているよう。「二人が寄席を経営するようになったところで、“全く面白くない芸人”の役で登場するんですけど、非常に面白いんです」（葵）という藤井の登場も楽しみだ。

　元々人見知りという葵が「意外と皆さん普通に話してくれる」と現場に溶け込んできたなかで、共演者について発見したのは「松坂さんが意外と意地悪ってことですかね（笑）」。「バックショットといって、背中だけが映って表情が映らない時に、ちょいちょい笑わそうといたずらを仕掛けてくるんです。役の上では基本すぐ笑うんですが、そうやって仕掛けられたときは“絶対笑わないっ！”ってガマンして。そうすると松坂さんが自滅して、自業自得だって思ったりするんですけど（笑）」と、夫となる北村藤吉役の松坂との微笑ましいエピソードを明かす。松坂も「負けず嫌いなんだなって思いました。“絶対に笑ってやるもんか”って…『わろてんか』って作品撮ってるのに」と、取材陣を笑わせた。

　藤岡てんは、笑いをビジネスにした、日本で初めての女性。葵は「『笑いが好き』っていうのが高じて、笑いに人生を懸けてもいいと思うようになる。そうした二人の決心が、いろんな人に伝わって広がっていくというお話の展開なので、『笑いの力』がどう広がっていくかというのを、寄席の発展とともに観て欲しいなって思います」と視聴者に呼びかける。

　葵自身、今は笑いに救われている状況だそうで「撮影スケジュールも大変で…（プロデューサーのほうを見て）いや、べつに責めてるわけじゃないんですけど（笑）、ちょっと疲れる日々もあるんですけど、そういうとき、みんながガックリとなってるんじゃなくて、小さなところに大きな笑いがあるというか、ちょっとしたことでも笑える環境なので、ちょっとしんどいって思う日も、笑いに助けられています」と、笑いの力について実感していた。