葵わかな、京都が舞台の映画『逆光の頃』で贅沢な撮影「一緒に作り上げている感覚がありました」 | ニュース | Deview-デビュー

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2017/07/07 18:01

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葵わかな、京都が舞台の映画『逆光の頃』で贅沢な撮影「一緒に作り上げている感覚がありました」

映画『逆光の頃』でヒロインを演じる葵わかな(C)Deview
映画『逆光の頃』でヒロインを演じる葵わかな(C)Deview

 「コップのフチ子」の原案者・タナカカツキの漫画を原作に、高杉真宙を主演に迎えて映画化した『逆光の頃』が、8日より新宿シネマカリテでロードショー公開される。同作で主人公の幼なじみ・みこと役を演じるのは、平成29年度後期 NHK連続テレビ小説『わろてんか』のヒロイン・藤岡てんを演じる葵わかな。注目度上昇中の女優・葵に、映画『逆光の頃』の独特の世界観、役へのこだわり、京都ロケの思い出などについて聞いた。

 映画『逆光の頃』は約30年前に『モーニング』(講談社)に連載された同名漫画が原作。京都で生まれ育った17歳、高校2年生の主人公・赤田孝豊(高杉)が経験する、思春期ならではの「同級生との別れや喧嘩」「幼なじみとの初恋」。古都の町並みを背景に、日常と非日常、夢と現実、双方を行き来する少年のゆらめきときらめきを、鮮やかな映像で描き出す異色の青春映画だ。

■葵わかなインタビュー

――映画を拝見して、様々な京都を切り取った映像のなかで、ゆっくりと時が流れて、とても贅沢な作りの作品だなという印象を受けました。

「京都で撮影するのは今回が初めてなのですが、和柄やお抹茶が好きで、以前から京都は私にすごく合っているなぁって思っていたんです。トータルで1ヵ月半ぐらいいたなかで、1日に1シーンという、ゆっくりとした撮り方をしていたので、空き時間がとても多くて。一人で祇園に歩いて行ったりしましたが、古い建物が残っている街並とか、京都弁とか、リズムが全体的にゆっくりしているのが京都らしさだなあって思って、ますます好きになりました。お茶屋さんやお寺に行ったり。八坂神社に行ったときは、去年本厄だったので、こういう機会もなかなか無いと思って、厄払いしてみたり。映画でも、こんなにのんびり撮影したことはなかったので、充実していましたね」

――「1日1シーン」と言うのは、今の撮影現場ではなかなかないですよね。

「監督(小林啓一)がカメラも照明も全部なさる方なので、“監督の力が持たないから1日1シーン”って聞きました。初めて見たときはびっくりしました。“え? 監督が全部やるんですか?”って(笑)。でもその分、ひとつの撮影に1日かけられるわけですから、細かい部分を何回も修正したり、当日に話し合いながら進めることが出来たり、自分にとっては贅沢だなと思いながら、非常にいい経験になりました」

――その監督のこだわりがあって、一眼レフで撮った写真のような、美しい映像ばかりだったんですね。

「監督は、映像にも光にもすごくこだわっていて、お芝居のリズムが少しでもズレるとそれでダメだったりして。カット割りがすごく少なく、ワンシーンずっとワンカットの長回しがほぼほぼで。お話に大きな起伏があるわけではなくて、穏やかで何気ない日常のシーンが多いので、画面の隅々まで見えてしまうんです。京都弁も含めて、キャラクター同士のテンポ感にもこだわっていたので、テイクは普通に二桁は行ってました。なんなら3月に撮ったシーンを9月に撮り直したり。私は去年の3月、9月、10月だったんですけど、高杉くんと清水(尋也)くんは、一昨年の3月から撮っていて。監督は“1ヵ月で撮るつもりが2年かかっちゃって”って言ってました(笑)」

――ヒロイン「みこと」の描き方にも監督の強い思い入れを感じます。

「原作がある場合、映画化にあたってアレンジが加えられると思うんですが、今回は監督が原作をそのまま映像にしたかったんだと思うんです。台本の最後にも原作漫画が入っていて、それを見ながら、“この角度でこのポーズでこの顔をしてほしい”っていうリクエストが、特に私には多かったです。原作のタナカ先生も男性ですし、主人公も男の子で、男の子から見た、ある意味すごく神聖なイメージの女の子っていう感じがして。逆に女子から見たら、“え? こんなことしないよなぁ…”っていう部分も多くて、なんて現実味の無い女の子なんだろうって思うんですよ(笑)」

――演じる上で、難しさはありましたか?

「生身の人間が演じるので、多少のリアル感が出ちゃうんですが、そこを極限まで無くしたかったんだろうなって思うんです。だから、監督のイメージする『みこと』というキャラの枠から、一歩でも、指、爪でも出たらアウトなんです。最初はその枠から出るのが怖くて、出ないように出ないようにってやっていたんですけど、だんだんと、監督の要求に応えて原作のみことを演じるだけなら、誰がやってもいいんじゃないか、ちょっと私のクセも混じった、そういう人物にしたいって思い始めて。“よし、ギリギリ出るか出ないかのラインを攻めて、私らしいみことを演じてみよう”って思いながら演じていました」

――そういう意味で、一番攻めたシーンは?

「赤田くんが夏休みに一人で自習している教室にバドミントンの羽根が入って、みことが取りに行くシーンがあるんですが、そこは3月に1回撮って、9月に再撮になっていて。『(英単語)何個覚えたん?』『まだ一個』って短い会話のあとに笑う間もすごく厳しくて、“笑う間?”って、わけわからなくなってたんです。でも、受け身じゃなくて攻めて行こうって考えを変えたときからは上手く行って。ほかにも、青もみじが茂っている下で、孝豊が歩いているところに駆け寄って会話しながら歩くという、長回しの一連のシーンがあるんですけど、そこでもテンポが合ってきて、すごく気持ちよくできたなあって思います」

――一つひとつのシーンを、丁寧に作り上げているのが伝わります。

「リハーサルも長い期間、すごい数やりましたし、京都弁の言葉の稽古もクランクアップの前日までやりました。それだけ、“本当に本当の京都の子になってほしい”と監督が思っていて、そうならないとどこかでバレてしまうということがだんだんとわかってきて。今言葉が走っちゃったなとか、自分でもわかるようになりました。演者と監督という関係じゃなくて、自主映画のように一緒に作っている感じが味わえて、すごく新鮮な体験で楽しかったです」

――京都弁は特に難しそうですよね。

「標準語って、京都の人からしたらすごく早口みたいなんです。イントネーションは合っていても“もうちょっとここを伸ばすように”とか“この言葉と言葉の間にコンマ何秒の間を入れて”みたいに、京都の方言指導の先生から指導が入って。それって京都の人じゃないとわからない感覚なので、本当に回数を重ねるしかなくて。最初のうちはこの言葉の枷でやりたいことも出来なかったんですが、1ヵ月以上京都にいて、撮影自体もスローだったので、その時間の流れにだんだん自分が沿ってきた感じがしました。最近、撮影で京都に行くと“これこれ!っ”て感じがするんです。京都の時間の流れが心地よくて、帰って来た感じさえして。あの時みっちりやらせていただいて良かったなって今、思います」

――長期間のロケで、監督や、高杉さんをはじめとする役者さんと一緒にいる時間も長かったと思うんですが、現場はどんな雰囲気だったんですか?

「今まで、お芝居について人と話したことが無かったんです。でも、監督がすごくチーム感を大事にされていて、人数もコンパクトな部隊だったので、撮影後みんなでご飯に行くこともありました。そこでは、高杉さんも私もオタクだったので、漫画やアニメの話を熱烈に語り(笑)。オタク同士でも、読んでいるジャンルはちょっとずつ違うじゃないですか? “あれ、絶対読んだほうがいい”って薦めたり薦められたり。みんなで本屋に行って“監督、これ面白いですよ!”って買わせたりして(笑)」

――撮影以外の部分でもチームの一体感があったんですね。

「学校の友達とも、そういう趣味の話で盛り上がれたことがあんまりなかったので、すっごい楽しかったです。それ以外にも、お芝居についての話が聞けたことも楽しかった。自分がお芝居について考えていたものと、別の見方があるというのを教えてもらいました。今回の撮影は、特に新しい発見がたくさんあって、自分のお芝居の概念を破らなければ『みこと』役はできませんでした。そのきっかけを、すごくしつこい監督がくださって。気付かざるを得なかったんですよ、しつこいから(笑)。映画自体は、大きな起伏も無くてとりとめも無いお話だなぁって思うんですけど、自分にとっては、衝撃の大きいものになったと思っています」

――連続テレビ小説『わろてんか』の撮影が始まって、今大阪に住んでるんですよね?

「ドラマで演じる藤岡てんは京都弁なので、『逆光の頃』でみっちりやらせていただいた分、そんなに方言で苦戦をしていないんです。撮影中も、この前散歩で通ったなぁとか安心感があって。そういう意味ではラッキーだなって。こんなに京都が好きなんだから、本当に嬉しいです」

――異文化のなかに飛び込んでいくのは得意なほうなんですか?

「これまでも地方ロケの作品が多くて、広島に行ったり(『舞え!KAGURA姫』)、長崎に行ったり(『くちびるに歌を』)、初めてじゃないという感じはあります。毎回大変だなぁと思いますけど、せっかく機会があるんだから、やれることはやりたいって思うんです。そんなことを考えている余裕がなくなるときはいつか来ると思うんですけど、ポッキリ一回心が折れたほうが、今回のように一皮むけて、良くなっていくかもしれないし、何も考えずにやってみようかって。こんな機会を無駄にはしたくないって思っています」

――簡単には折れない、強くてしなやかな女優に成長していますね。

「強くてしなやか…って、猫みたいですね! 私、猫大好きなんです(笑)」

『逆光の頃』は8日より新宿シネマカリテほか、全国順次公開。

■葵わかな(あおい・わかな)
生年月日:1998年6月30日生まれ、神奈川県出身。血液型:A型 趣味:歌うこと、宝塚観劇。小学5年生のときに原宿でスカウトされて、芸能界入り。2009年に「霧島の天然水」CMによりデビュー。2017年10月2日スタートの、平成29年度後期、NHK連続テレビ小説『わろてんか』のヒロイン・藤岡てんを演じる。スターダストプロモーション所属。

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