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2016/11/14 20:28
第五回『声優魂』、ベテラン音響監督を唸らせた群馬県の高校2年生が最優秀賞に輝く
全国の高校生・中学生と、世界中の“声優”を目指す若者が集う“声の祭典”「第五回 国際声優コンテスト『声優魂』」が13日、ゲートシティ大崎ホールにて開催された。1200通のエントリーの中から、ファイナリスト23名(1名欠席)が最終審査に挑み、最優秀賞には、群馬県出身の高校2年生・久住琳(くすみ・りん)さんが選ばれた。
一般社団法人 国際声優育成協会が、声優プロダクション、アニメ製作会社、メディアなどの協力を得て、『声の祭典』として若い才能の応援を行うために開催している『声優魂』。今年は、書類選考を通過した全国の中高生と、東北大会、掛川大会、愛知大会、京都大会、鳥取大会、熊本大会の各地区大会代表、そして海外からのエントリー「インターナショナルカテゴリー」の代表を合わせた23名が最終審査のステージに上がった。
最終審査は、アニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』の映像を使用し、ステージ上で4人一組のアフレコレッスン形式で行なう『アフレコ審査』、そしてボイスドラマの台本を3人一組で演じる『掛け合い台詞審査』という2つの実技審査を実施。現役の声優や音響監督(声の演出の責任者)、アニメプロデューサーらが審査を行なった。
そんななかでも、審査員を務めた音響監督の長崎行男氏(『ラブライブ!サンシャイン!!』『舟を編む』他を担当)が思わず「むちゃくちゃ上手い!」と唸ったのが、最優秀賞の久住琳さんの演技。アフレコでも掛け合いでも、演じるキャラクターの立ち位置を即座に掴む勘の良さや、凛とした声質を活かした演技など、“即戦力”を感じさせた。
表彰式後のインタビューで久住さんは「優秀賞のときに呼ばれなかったので“ダメだったかな?”と思ってちょっとふてくされてて(笑)。受賞したときは一瞬気付かなくて“あれ、私でいいのかな?”って思ってました。でも、賞をいただけるぐらいのことが出来たのかなと思うと…素直にありがとうございます!」とコメント。
今回『声優魂』に参加して「同年代で、声の演技をやっている人がこんなに集まることなんてないので。すでに声優の学校に通っていたりする子とか、朗読の賞をたくさん獲っている子もいるなかで、家で一人でやっているだけの自分が賞をいただけたことが信じられないです。でも、今日すごく楽しかったから、これからも続けていきたいなって思いました」と気持ちを新たにした久住さん。
声優の勉強は全くの「独学」で「小説や漫画の台詞を音読したり、アニメの台詞を書き留めて、録画したものを消音で再生してそれを一人でアフレコしたり」という自主練習を重ねて演技を身につけた。ベテランの音響監督である長崎氏に絶賛されたことについて「褒めていただいたのはすごく嬉しいです」と喜んだ。
声優を目指したのは、ゲームやアニメが好きだったことと、母親の影響で洋画を良く観ていたことがきっかけ。「その両方に関連していて、心に入ってきたのが声優でした。ゲームのキャラの声や、洋画の吹き替えを担当している声優さんがいることを知って。そんなにたくさんのことを出来る人がいるんだってビックリしたことが最初です」。
目標にしている声優について聞くと「声の演技なら沢城みゆきさんが目標なんですけど。私、歌も歌いたいので、歌が素敵な声優さんのなかでは、やっぱり水樹奈々さんが好きで聴いてしまいますね」と語る。歌については「外に遊びに行くより、家で一人で歌っているほうが楽しかったりします」というほどで、「地元が山なので、隣に家があまりなくって、大声を出していられるので、一人でアニソンを歌ってます」という。
歌が好きなことから『ラブライブ!』などのアイドルアニメも好きで「一番夢が詰まっている気がするので、キラキラした目で見ています」と笑顔。これからの目標として「原作をアニメ化するときに“この子の役なら久住琳ちゃんがいいんじゃない?”って名前を挙げてもらえるような声優になりたいです。そしてアニメのオープニングやエンディングが歌えたらいいなって思っています」と語った。
確かな演技に歌への想い、そして涼しげなまなざしも含めて「即戦力」を感じさせる久住さん。「まずは事務所に置いていただける声優になって、20歳になるころには…『声優アワード新人賞』を獲りたい(笑)」と夢を語ったが、それも夢ではないと思わせてくれる逸材の誕生だ。
なお第五回 国際声優コンテスト『声優魂』では、優秀賞に成田知史(なりた・さとし)さんと福田純梨(ふくた・じゅんな)さん、インターナショナルカテゴリー入賞にイ ジミンさんとジョバト ジャソン アンヘレスさんが選ばれた。