伊原六花、ミュージカル作品の魅力を吐露「開演のブザーが鳴った瞬間、非現実的な世界に没頭できる」 | ニュース | Deview-デビュー

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2022/09/05 20:01

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伊原六花、ミュージカル作品の魅力を吐露「開演のブザーが鳴った瞬間、非現実的な世界に没頭できる」

ミュージカル『夜の女たち』に出演する伊原六花(C)Deview/撮影:加藤千絵(CAPS)
ミュージカル『夜の女たち』に出演する伊原六花(C)Deview/撮影:加藤千絵(CAPS)

 KAAT神奈川芸術劇場芸術監督の長塚圭史が、映画「夜の女たち」(溝口健二監督)の舞台化&初オリジナルミュージカルに挑むミュージカル『夜の女たち』。戦後間もない大阪釜ヶ崎を舞台に、生活苦から夜の闇に堕ちていった女性たちが必死に生き抜こうとした姿を描く本作で、時代に翻弄される若者・久美子を演じる伊原六花にインタビュー。出演が決まった際の想いや原作の映画を初めて観たときの衝撃、演じる久美子というキャラクターについて、また、幼少の頃から触れていたミュージカル作品への想いなどを聞いた。

【ミュージカル『夜の女たち』/伊原六花インタビュー】

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■「原作である映画を初めて観たときの衝撃が忘れられなかった」

――ミュージカル『夜の女たち』に出演が決まったときの心境から教えてください。

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「長塚圭史さんが演出する舞台に出たいとずっと思っていたので、すごくうれしかったです。出演が決まって『夜の女たち』の原作である映画を観たんですが、初めて観たときの衝撃が忘れられなくて。“戦後を生き抜いた女性たちを描いた作品をミュージカルでやるんだ、どうなるんだろう”ってワクワクしたのを覚えています」

――映画を観てどんなことを感じましたか?

「戦後については学校の授業でも触れましたし、“出来事”として誰もが知っていることだと思います。この映画の中には、強くならなければいけなかった戦後の女性たちが生きている……それが衝撃的でした。そこには今を生きている私と全然違う環境で生きている同世代の人たちもいて、戦後という時代のリアルを見たなと思いました」

――脚本も戦後の厳しい状況を生きる女性たちの姿に衝撃を受ける内容でした。

「映画の内容を忠実に描いた脚本なので、文字になって改めて感じる衝撃もありました。強い言葉が出てきたり、脚本を読んで改めて“こういう意味だったんだ”と感じたり。歌唱部分については、長塚さんが『もっと自分ごとのように感じてもらえるように、セリフの一部を曲にした方がいいと思った』とおっしゃっていて、脚本からも歌になったことでプラスの効果を感じられるのがおもしろいなと思いました」

■「長塚さん演出作品の世界に自分も生きられるんだなって思うとすごく楽しみ」

――長塚さんの舞台に出演するにあたり楽しみにしているは?

「本読みが始まったときに、長塚さんが『この作品はミュージカルだけど演劇の人たちを集めた』とおっしゃったんです。歌をうまく歌うことを期待はしていないって(笑)。もちろん努力はしますが、『それ以上に心情やリアルを伝えることを大事にしていきたい』ということで。私はまるで自分のことのように感じられるリアルな長塚さんの舞台が好きなので、その世界に自分も生きられるんだなって思うとすごく楽しみです」

――伊原さんは江口のりこさん演じる大和田房子の義理の妹、久美子役です。脚本からは戦後の現代っ子なのかなという印象を受けました。

「久美子は青春時代のほとんどが戦争でした。学校には行っていたかもしれないけど、工場で働いたり、恋をすることもない、そんな青春時代だったんです。だから久美子にとっては戦時中が日常。当時は実際に、『私は大きくなったらパンパン(街娼)のお姉さんみたいに華やかに自由に生きたい』と思う女の子がいたらしいんです。久美子ならそんな憧れを持つこともありえるなって思いました。新しく流れ込んできた、女性が解放された世界に憧れを抱くだろうなって。戦時中も戦後も久美子が暮らしてきた環境や目にしてきたものは悲惨だったかも知れないけど、それが久美子の強さのベースになっている気がします。大人たちは元々あった世界がなくなって、目の前に現れた新しいものが受け入れられないけれど、久美子は崩れた世界が当たり前だったから、戦争が終わってワクワクする新しい世界に憧れていく。それが久美子の行動の動機になっているのかなって思います」

――すごく危なっかしい女の子にも感じますが、久美子に共感できる部分はありましたか?

「音楽を聴いてワクワクしたり、新しいことを自分で経験したいと思うのは、若さ故の情熱だったりするのかなって思いました。私も新しいもの、ダンスや音楽、華やかなものが好きなので、久美子がそういうものに憧れるのは若い世代の人たちに共感できる部分じゃないかなと思います」

――久美子について長塚さんとお話しはされましたか?

「歌稽古のときから『久美子は想像力豊かでぶっ飛んでいて良い』と言われました。ダンサーをしている夏子に憧れて、ダンサーになりたいと思って夏子の歌い方をマネしたり、テンションが上がり過ぎて夏子に話しかけられなかったりするんですよね。『化粧の仕方教えてください』、『その服どこで買ったの?』って夏子に聞きたいのに、ワクワクし過ぎて伝えられないのがおもしろいからって長塚さんがおっしゃっていて、そんなにぶっ飛んでいていいんだって思いました(笑)」

――江口のりこさん、夏子役の前田敦子さんと、豪華キャスト陣が集結しました。共演者のみなさんの印象はいかがですか?

「私が今まで出演したミュージカルや音楽劇は、歌稽古があって、芝居は芝居で作っていくイメージでした。でも今回、稽古で江口さんが『こういう感情だと歌いづらいです』とおっしゃっているのを見て素敵だなって思いました。“こう歌おう”ではなく、芝居の心情をそのまま歌に乗せようとされているんだなと感じて、私もそうしようと思いました。戦後について歴史として知っていることはあるけれど、その時、登場人物たちがどういう感情だったかは話し合わないとわからないものが多いと思うんです。そういうことも江口さんは長塚さんに細かく質問なさったり、みんなでディスカッションするときも先陣切って、噛み砕いてくださるので、ついて行こうと思っています」

■「前田敦子さんの姿を見て、すぐに“これは憧れるわ!”って思いました(笑)」

――久美子が憧れる夏子を演じる前田敦子さんの印象は?

「初めて本読みで一緒になったときに、夏子をどういう感じで演じられるんだろうと楽しみにしていたのですが、前田さんの姿を見て、すぐに“これは憧れるわ!”って思いました(笑)。夏子も外地(第二次大戦中に日本以外の領土だった場所)から帰ってきて闇を抱えているというか、つらい思いをしてきた方だからこそ久美子から見たら大人の女性に見えて、憧れるんだろうなって感じられました。声色や話し方だけで感じられるものがあったので、房子、夏子、久美子3人のシーンを早くやってみたいって思いました」

――脚本を読むと、久美子を騙す学生・川北役の前田旺志郎さんとの絡みが多くなりそうですね。

「前田さんは稽古場で隣の席なんですね。私はお兄さん(前田航基)とご一緒したことがあって、その話をしたりしました。前田さんご自身は気さくな爽やかな青年という印象で、久美子はそういうところに騙されたのかなって思いました(笑)。清さんの素敵なところが十分伝わるお人柄なので、豹変した後をどう演じられるのか、私もワクワクします」

――歌練習は順調ですか?

「楽しいです。関西弁のイントネーションが歌になっている感じなんです。陽気に関西弁を喋るとこうなるよなって楽曲ばかりなので(笑)、ここ歌いづらいという部分はまったくないんです。ただメロディーも歌うのもすごく難しいんですけど、長塚さんがおっしゃっていた心情をリアルに伝えるという意味では、すごく心情に沿ったメロディーだなと感じています」

――昨年の『ロミオ&ジュリエット」以来のミュージカルとなりますが、伊原さんが思うミュージカルの楽しさとは?

「私は“ザ・ミュージカル”という感じの作品を観るのが好きなんです。開演のブザーが鳴った瞬間、嫌なことがあっても非現実的な世界に没頭できる……そこがミュージカル作品の好きなところで。作り込んで本当にあるような世界を表現してくれるので、そこに飛び込んでいくのが大好きです。でも今回の作品はミュージカルとはいえ、自分ごとのように感じてもらえるようにお芝居をする。長塚さんもずっとそれをおっしゃっているので、非現実的とはまた違う新しいミュージカルの世界に触れられるんじゃないかなと思っています。それが今すごく楽しみです」

――今までとは歌い方も変わりそうですね。

「『歌う声色じゃなくていい』と言われています。『キレイな声を出さなくていい』と。そう最初に言われたので、“歌うって思わなくていいんだ”というのが新しいチャレンジでもあり、楽しみなところでもあります」

■「1年間舞台の仕事だけをやってみて、改めてお芝居が好きなんだと」

――デビューして5年経ちますが、これまでを振り返って、特に転機になった出来事を教えてください。

「昨年舞台を3本やらせていただいたのですが、1年間舞台の仕事だけをやってみて、改めてお芝居が好きなんだって思いました。この仕事をやっていきたいって、より強く思うようになったんです。舞台をやるといろんな人とお話しできて、みんなでどうやって一つの作品を作り上げていくかを間近で見ることができるんですね。全員違うけど全員プロフェッショナル。本当にいろんなやり方があるんだなって感じて、ちょっとラクになりました。そしてもっといろんな作品でいろんな役に出会いたいと思えたので、それが転機かも知れないです」

――では最後になりますが、伊原さんは困難や壁にぶち当たったとき、どうやって乗り越えますか?

「よじ登る(笑)」

――すごい。初めて聞いたかも知れないです(笑)。

「どうやったっていつも壁はあるので(笑)。だから壁はあるものなんだって受け止めます。すんなり出来たことなんて一度もないので、とりあえずスタート地点に戻らないようにへばりついて、いろんな人にアドバイスをいただきながら、ゆっくり壁を登っていくしかないなと思っています。今の自分が持っている引き出しはまだまだ少ないと思うので、いろんな方からお話しを聞いて、“この人はこう読んだ”、“この人はこう読んだのか”と、一つひとつかき集めて、自分の中で一つ答えを出すのが自分の中での最善かなと思っています」


【info】
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
ミュージカル『夜の女たち』
2022年9月3日(土)〜19日(月・祝)KAAT神奈川芸術劇場(ホール)

原作:久板栄二郎
映画脚本:依田義賢

上演台本・演出:長塚圭史
音楽:荻野清子
振付:康本雅子

出演:江口のりこ 前田敦子/伊原六花 前田旺志郎 北村岳子 福田転球/大東駿介 北村有起哉 ほか

≪あらすじ≫
戦後すぐの大阪、釜ヶ崎。「日没後、この付近で停立または徘徊する女性は闇の女と認め、検挙する場合があります」と札が立っている。大和田房子は焼け出された後、病気の子を抱えて困窮していた。夫は戦地からまだ帰っておらず、両親や妹・夏子は終戦を迎えたものの消息不明になっている。姑や義理の妹・久美子と同居しながら、着物を売り払ってなんとか暮らしている。そこに届いたある知らせに絶望する房子。その後、ダンサーとなった夏子と偶然再会する。房子、夏子、久美子、3人の女たちの壮絶な人生と、凄まじい生命力を描いた人間ドラマ。


【プロフィール】
伊原六花(いはら・りっか)●1999年6月2日生まれ、大阪府出身。フォスター所属。
幼少期よりバレエやミュージカルを習い、2017年に登美丘高校ダンス部キャプテンとして「日本高校ダンス部選手権」で披露した“バブリーダンス”が注目を集め、高校卒業後に芸能活動をスタート。
主な出演作は、【ドラマ】『チア☆ダン』(TBS)、連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)、『明治東京恋伽』主演(tvkほか)、『どんぶり委員長』主演(TX)、『エアガール』(EX)、『神様のカルテ』(TX)、【映画】『地獄の花園』、『星空のむこうの国』、【舞台】ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、『友達』、音楽劇『海王星』など。W主演を務めるDisney+『シコふんじゃった!』が今秋配信予定。

<撮影/加藤千絵(CAPS) 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/谷口ユリエ スタイリスト/津野真吾(impiger) 衣装協力/Wild Lily>

関連写真

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  • ミュージカル『夜の女たち』チラシビジュアル(伊原六花ver.)

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