遠藤健慎、稲葉友主演映画『恋い焦れ歌え』の孤高のラッパー役で新境地を開拓「間違いなく自分のバイブルになる作品」 | ニュース | Deview-デビュー

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2022/05/25 19:01

デビュー

遠藤健慎、稲葉友主演映画『恋い焦れ歌え』の孤高のラッパー役で新境地を開拓「間違いなく自分のバイブルになる作品」

映画『恋い焦れ歌え』KAI役に1000人のオーディションから抜擢された遠藤健慎(C)Deview
映画『恋い焦れ歌え』KAI役に1000人のオーディションから抜擢された遠藤健慎(C)Deview

 俳優・稲葉友主演の映画『恋い焦れ歌え』がいよいよ5月27日(金)よりシネクイントほかにて全国順次上映される。本作は、Netflix映画部門1位を獲得した記録的BL実写映画『性の劇薬』のフューチャーコミックスと、『百円の恋』『アンダードッグ』のスタジオブルーがタッグを組み、葛藤と再生、絶望と希望、憎悪と愛、生き抜く男たちに向き合ったオリジナル作品。『Deview/デビュー』では、1000人のオーディションを勝ち抜き、稲葉演じる主人公・仁を追い詰める孤高のラッパーKAI役に抜擢された遠藤健慎にインタビュー。KAIという難しい役どころに体当たりで挑んだ遠藤に、本作にかける想いやオーディションでのエピソード、役作りでこだわったことなどを聞いた。

【『恋い焦れ歌え』KAI役/遠藤健慎インタビュー】

■「"この役は絶対に獲るぞ!"という気持ちでオーディションに臨んだので、受かったときはめちゃくちゃテンション上がりました」

――オーディションでKAI役に抜擢された遠藤さん。どのような想いでオーディションに臨まれたのでしょうか?

【遠藤健慎】「マネージャーさんからオーディションの話を聞いたのですが、その時に、いつもはそんなこと言われないけど、『この作品はいつもより覚悟がいるよ。オーディション、どうする?』と言われて。監督の熊坂(出)さんとは直前の作品でご一緒させていただきましたし、スタジオブルーさんとはいつかご一緒したいなとずっと思っていたので、『オーディション、行きます!』って即答しました。その後、オーディション台本が送られてきたのですが、その台本がラップのシーンを抜粋したのもので、これだったらきっとイケるなと。僕は学生時代からずっとラップが大好きだので、ラップだけは完璧にやって帰ろうと思って、このオーディションに臨みました」

――以前の取材で中学2年生のころからずっとラップにハマっているとおっしゃっていましたよね。やはり、“この役は絶対にやりたい”という思いはありました?

【遠藤健慎】「それはありました。学生時代は本当にラップばっかり観ていたし、"この役は絶対に獲るぞ!"という気持ちで行ったので、受かったときはめちゃくちゃテンション上がりました。ただ、オーディションに受かったあとにちゃんとした台本をいただいて、それを読んだとき、自分の想像とは違っていて、めちゃくちゃビビりました」

――それはどういう部分で?

【遠藤健慎】「オーディションを受けた時点では、ラップを題材としたものでBL系の作品っていう、なんとなくの情報しか知らなくて。台本を頂いた後に作品の全体の世界観を知ったんです。読んで感じたのは、自分の知らない世界だったっていうのもあるし、ディープな世界をすごくリアルに描いていて、衝撃を受けました。オーディション台本はほんの一部を抜粋したものだったし、ちょっと過激なワードがいっぱい並んではいたけど、ラップの映画のつもりで臨めば行けるかな?と。それに熊坂監督には別作品で僕の芝居は見てもらっているし、スタジオブルーさんが主催しているワークショップにも参加していたりしたので、あとは自分がこの作品をどれだけやりたいか伝わればいいなと思って臨んでいたので、受かったときはすごく嬉しかった。でも、台本を読んで、これを自分がちゃんとやれるかどうかって不安になったり、やるか!と気合を入れるけど、でもやっぱり怖いし不安だな…ってなったり、けっこう感情がジェットコースターみたいな感じになりました」

――台本を最初に読んだときの衝撃というのは?

【遠藤健慎】「撮影が始まる前と終わった後では印象が違うのですが、最初に読んだときは、けっこう刺激的な表現だったり、性的暴力・暴力的な描写があったりして、“これを自分がやるのか”って思いましたし、“ここまでやるんだ”っていう印象を受けました。3回くらい台本を読んで、ようやく落ち着いたというか、自分の中に落とし込めた感じでした。ラップはもちろん、過激なシーンがたくさんある中で、自分がKAIとして演じる上では、それらがKAIにとっては普通の世界だったことにしないといけないので、台本を読む段階で引っかかっているようではできないなと。なので、何回も読み込んで、台本を自然に読めるようになるっていうことが、今回の役作りのスタートでした」

■「KAIはメンヘラな部分があって、そこが僕とちょっと似ている」

――KAIというキャラクターについては、どのような人物だと捉えていますか?

【遠藤健慎】「KAIってメンヘラな部分があるんですけど、そこが僕とちょっと似ているなって思います。仁に対して、異常なまでの執着心を抱いていて、仁の心の傷を容赦なくえぐったり、それをラップで表現するよう挑発したり、家庭を崩壊させるようなことをしちゃったりっていうのは、KAI自身の物差しがバグっているというのを前提としないといけないなと思っていて。その時点で、KAIは常軌を逸している人間だと思うんですけど、それに加えて、仁への嫉妬心だったり、そういうものすごく出ているキャラクターだなって思います」

――そんなKAIを演じる上で、こだわった部分とは?

【遠藤健慎】「今回に関しては外堀から埋めていった感じになるかもしれないんですが、“KAIがストリートカルチャーの世界の中で生きている”、それが不自然じゃないようにしたかったんですよね。ラップしているシーンも違和感なく、普通に上手いよねっていう感じでありたかったし。KAIの周りにいる仲間たちとの関係性もそのストリートカルチャーの中でごく自然な関係性でありたかった。なので、KAIを演じる上でちょっと変な食生活にしたりして、ちょっと病的な体にもしました。スーパーであえて少し傷んでいる野菜を買って、それを雑に切ってサラダにしたりして、普段だったらありえない食生活を送っていました。そしたら、撮影初日の前日に、明日から頑張る願掛けでステーキを食べに行ったら、お腹を壊しました(笑)。久しぶりに贅沢なご飯食べたから」

――KAIとしてリアルにその世界に生きるために、役に寄せた生活をしていた?

【遠藤健慎】「そうですね。役に寄せたかったので、ちょっとありえない生活をしていました。これまで僕が演じてきた役は、わりと僕自身のキャラクターに近い役が多かったので、『自然体でいいよ』と言ってくださる作品も多かったんです。でも、今回は異質でした。本当に異世界にいるようなキャラクターだったので、私生活から役に寄せていかないと、自然と演じられないなと。KAIが劇中でタバコを吸うシーンがあるのですが、撮影が20歳になって半年経ってないくらいの時期だったので、もちろんタバコなんて吸い慣れてないし、でも吸い慣れてない仕草が出ちゃうとKAIのキャラクターが崩れてしまう。なので、タバコの吸い方とか持ち方とかめちゃくちゃ研究しました。それ以外にも、いかに自然にその世界でKAIとして生きるかっていうことを考えて、いろんなことをやりましたね」

――クランクイン前から撮影が始まるまで、けっこう試練の日々だったのでは?

【遠藤健慎】「そうですね。ガチで試練の日々でした。撮影が終わったときの達成感は、この作品が一番だったかもしれません」

■「1人で家にいる時間が、あの時は一番しんどかった」

――そこまで自分を追い込んで作品に向き合っていた撮影期間は、どういうものでしたか?

【遠藤健慎】「現場に行くと、いろんなスタッフさんが自分の仕事以上の役割を果たしてくださるんですよ。監督やプロデューサー、スタイリストさんやメイクさんなど、自分の仕事をしながらも僕らの心配をしてくださったので、現場では全体重を預けて芝居することができて、楽しかったです。でも、撮影が終わって家に帰ってくると1人になるので、そうするといろいろと考えちゃって。1人で家にいる時間が、あの時は一番しんどかったですね。まず今日のシーンの反省から始まるのですが、もう撮ってしまったからどうしようもできないのに、“もっとこうすれば良かった”って考えてしまうんです。それを考えて1時間くらい経つと、“明日も撮影だし寝なきゃ!”って思うけど、今度は“明日の撮影どうしよう…”が始まって寝られなくなる。あまり寝ずに現場に行っていた日もあったので、まあまあキツかったですけど、今思えば楽しかったなと。こんな経験はなかなかできないと思うし、主人公の相手役として出演させていただくこともそうだし、KAI自身にもストーリーがあるし、こんなふうなキャラクターを演じる経験もなかったので、すごく貴重な経験でした」

――先ほど、撮影前と撮影後では作品の印象が違ったとおっしゃっていましたが、それはどう変化したのでしょうか?

【遠藤健慎】「撮影中は作品にけっこうのめり込んでいたので、いろいろと記憶が抜けている部分があるのですが、終わってみたら意外とあっさりしていたんだなっていう感覚になったんです。同性愛というものに対しても、異性愛・同性愛で区別するのではなくて、両方とも“愛”なんだっていう感覚になりました」

――今回初共演となる主演の稲葉友さんに対しては、どのような印象でしたか?

【遠藤健慎】「共演する前からすごく賢くて頭が良い人なんだろうなっていう印象があったんですが、実際もそうでした。気は遣ってくれているけど、主演だからって過剰に振舞うとかはなく現場に居てくださっていたし、撮影に本当に集中されているんだなっていう印象でした。撮影中は、仁とKAIの関係性上、あえてだと思うんですけど、友くんからちょっと距離を置かれていたというか、そこまで関わりはなくて。撮影が終わってからなんですよね、よく話すようになったのは」

――現場で細かく話し合ったりするというよりは、芝居でコミュニケーションとってやっていた感じ?

【遠藤健慎】「そうですね。本番でいきなり胸ぐらを掴み合うこととか、アクションっぽいことが起こることがあったり…。そこに対しても遠慮することなく思いっきりやらせてくれたというか、飛び込んでやらせてもらえたのは、友くんだったからだと思います。心が広くて良いお兄ちゃんです。本当に友くんが仁で良かったって思うし、感謝してもしきれません」

――ここまで撮影前から役にのめり込んでやっていたってなると、撮影が終わったら抜け殻になりそうです。

【遠藤健慎】「なりました。撮影が終わった後、達成感がすごかったので、もうこれ以上ないんじゃないかなって思っちゃって。一通り撮影の反省が終わってからですけど。しかも、この作品が終わった後、次に受けたオーディションに落ちて、“あ、やっぱり向いてないのかも”って思って、“辞めるんだったら、今かも…”って、マジでなりました。燃え尽き症候群じゃないですけど、一時期そんな感じになりましたね」

■「『恋い焦れ歌え』は、間違いなく自分のバイブルになる」

――『恋い焦れ歌え』は役者人生において、転機となる作品の1つになったのではないでしょうか。

【遠藤健慎】「そうですね。役者という道を進むことを決めたというか、そのきっかけをくれたのは『明日の約束』(2017年放送のカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ)なんですけど、それも転機の1つではありますが、でも、それで終わりたくない、もっと上に行きたいという思いもある。そう考えると、この作品がのちに僕にどういう影響を与えてくれるかは、現段階ではわからないけど、この『恋い焦れ歌え』は、間違いなく自分のバイブルになるなって思うし、僕の代表作の1つになると思います。この作品が自分のプロフィールに書いてあるのを見るのがすごく嬉しいんですよね」

――様々な作品を経て、いま思う役者という仕事の魅力とは?

【遠藤健慎】「これまでを振り返ると、ちょっと地味な役からKAIみたいにクールでカッコイイ役とか、いろんな役をやらせていただいているなと。そういういろんなキャラクターだったり、いろんな人生を経験できるのは、この仕事ならではですよね。現場でいろんな方々がケアをしてくださるのも嬉しいし、気にしてくださっているんだっていう承認欲求みたいなものある。いろんな人に認めてもらいたいし、賞もいっぱい欲しいし、もっとたくさんの人に知ってほしいしって思う。それに、もっと上の景色がみたいというか、どこが芝居の頂上なのか見てみたい。ゴールがないからこそ、上を目指せると思うし、僕はメリットしかない職業だと思います」

――大変だなと感じることはあまりない?

【遠藤健慎】「そうですね。たとえばオーディションにしても、落ちることもたくさんあるけど、それって求めている役のイメージがあって、それにハマるピースを探していることが多いから、それに合わないと受からないんだと思うんです。そこだけはもどかしいなとは思いますが、オーディション自体も楽しいし、落ちたとしても印象に残ってくれてればいいかなって。その時がダメだったとしても、そのあと違う作品に呼んでくださったりすることもあるし、ご縁をつなげていく仕事だと思うので。僕は人としゃべるのが大好きなので、オーディションもぜんぜん苦じゃないんです」

――では最後に、改めて本作の見どころのアピールをお願いします。

【遠藤健慎】「なぜKAIがこんなにも仁に執着して、彼のことをとことん追い込むのか。KAI自身のストーリー、バックボーンとなる部分もしっかりと描かれているので、僕としてはそこにぜひ注目して観てもらえたらと思います」

ヘアメイク/岡本典子 スタイリング/吉田ナオキ 衣装協力/コーチジャケット(DEGENDER)、レザーパンツ(remer)

【プロフィール】
遠藤健慎(えんどう・けんしん)●2000年11月24日生まれ、静岡県出身。ヒラタオフィス所属。
2010年に俳優デビューを果たし、その後、映画やドラマなど数々の作品に出演。主な出演作は、【映画】『ホットロード』、『ミスミソウ』、『望み』。【ドラマ】KTV・CX『明日の約束』、THK・CX『さくらの親子丼』、YTV・NTV『カラフラブル〜ジェンダーレス男子に愛されています。〜』、NHK 大河ドラマ『青天を衝け』など。7月から地上波で放送されるテレビ東京×Paravi『復讐の未亡人』、映画『大事なことほど小声でささやく』(2022年秋公開)などが控えている。

【作品概要】
映画『恋い焦れ歌え』
5月27日(金)よりシネクイントほか全国順次上映

出演:
稲葉友  
遠藤健慎 さとうほなみ 橋里恩 
松永拓野 水澤紳吾 瓜生和成 中村まこと 黒沢あすか 小久保寿人

原作・監督・脚本:熊坂出

≪story≫
清廉潔白な小学校臨時教員・桐谷仁(稲葉友)。正規教員の道も開かれ順調な彼の人生は、帰宅中のある夜、覆面の暴漢に襲われて身も心も凌辱され、深い闇へと突き落とされる。3ヶ月後、激しいトラウマを抱えながらも、結婚生活と仕事のため必死で “変わらぬ日常” を送る仁の前に、謎の青年KAI(遠藤健慎)が現れる。「覚えてる? 俺のこと」――仁の心の傷を容赦なくえぐり、それをラップで表現するよう挑発するKAI。仁もまた、川崎の工業地帯で暮らす人々と触れ合いながら自らの再生をかけて立ち上がる。
社会の片隅で生きる者たちの葛藤と戦い、その先にある “真実の愛” とは…

関連写真

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  • 映画『恋い焦れ歌え』は5月27日(金)よりシネクイントほか全国順次上映(C)2021「恋い焦れ歌え」製作委員会

  • 映画『恋い焦れ歌え』は5月27日(金)よりシネクイントほか全国順次上映

  • 映画『恋い焦れ歌え』ポスタービジュアル(C)2021「恋い焦れ歌え」製作委員会

  

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