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2019/04/22 11:51
アイドル卒業の4人が結成した『卒業☆星』初ステージ 4つの個性が輝いた一夜
「大声ダイヤモンド」「RIVER」など、“神曲”と呼ばれるAKB48の多くの楽曲を手掛けてきた作曲家の井上ヨシマサがプロデュースし、鈴木まりや(AKB48卒業)、山本栞里(Ring-Trip卒業)、阿部サラ(amorecarina卒業)、高橋菜々美(Rev.from DVL卒業)らアイドルを卒業した4人からなるダンス&ヴォーカルユニット『卒業☆星(そつぎょうせい)』。そのファーストシングル「STYLE OF LOVE / Frontier」が18日に配信リリースされるとともに、お披露目となる1stライヴ「望遠鏡はいらねーぜ!卒業☆星 誕生の瞬間を見逃すな」が六本木・morph-tokyoで行われた。
「アイドルを卒業した“卒メン”の、アーティストとしてのReSTART(再出発)を応援したい」という願いを込めて結成された『卒業☆星』。オーディションによって選び抜かれ、巡り合った4人のメンバー、鈴木まりや、山本栞里、阿部サラ、高橋菜々美は、ついに再びステージに立つこととなった。会場となったmorph-tokyoには、平日の夜にも関わらず多数のファンが駆け付け、チケットはソールドアウト。卒業☆星誕生の瞬間を見守った。
オープニングアクトにはプロデューサーの井上ヨシマサが登場。元々井上のツイッターでの発言が卒業☆星プロジェクトの発端ということもあり、彼の熱心なフォロワーも多数参戦。井上との気さくなやり取りで、アットホームな空気が醸成されていった。お披露目にあたって、最初は大々的な記者発表も考えたというが、結果的に最初から背伸びして見せることはせず、「望遠鏡はいらない」ほどの近さで、リスタートの第一歩を見届けてもらうことを選んだというわけだ。
オリジナルのSE「What's Your Planets」に乗って4人が登場し、18日リリースの配信シングル表題曲「STYLE OF LOVE」を初披露。恋愛の様々な形、貫く想いを歌った切なくも強いラブソング。しっとりとボーカルを聴かせる序盤から、パワフルなダンスパートへと変貌する複雑な構成を、4人の個性で表情豊かに表現してみせた。ファンを前にしての初披露を終え、ホッとした表情の4人は満場のフロアに「こんなに満員になるなんて思わなかった!」と感激しきり。息を弾ませ汗を光らせながら満面の笑顔を見せた。続けて披露した「Frontier」では、ラップも交えたミドルテンポのR&Bナンバーで“カッコいい”卒業☆星を見せつけた。
4人でのパフォーマンスのあとは、個性を活かしたソロコーナーに突入。トップバッターはグループ最年少16歳のダンス担当・阿部サラ。少し幼さの残るルックスからは想像できないほどのバキバキのダンスを見せつける。ダンスのトラックは、阿部自身が好きな洋楽に合わせて考えた振り付けに井上が曲を付けたもの。しかし「カバーだと作曲家としての立場が無いし、著作権の問題もあるから新しく作ったんです。でも喜ばれると思ったら、“私が送った曲とだいぶ違いますね”だって(笑)。細かい音ハメがあったみたい」と井上が暴露したように、阿部はダンスへの強いこだわりを見せたようだ。結果、新しい曲に合わせて全部振り付けを作り替えたといい、若いながらも卒業☆星のパフォーマンスの柱として、頼もしい存在となっていくことを感じさせた
続いて登場したのは高橋菜々美。タップダンスが得意ということで、自らタップの板を持参し『ジングルベル』を披露するという。「季節感もめちゃくちゃで自由奔放(笑)」と井上もお手上げの様子だが、「私、冬が一番好きだからいいと思うんです。タップダンスが大好きなんですけど、ジングルベルしか踊れなくて」と意に介さない。そんなフリーダムな空気感が、卒業☆星に柔らかいムードを呼び込んでいるのも事実。高橋は「卒業☆星のなかで、一番アイドルっぽさが抜けてないと言われてすごく悩んだこともありました。日本武道館を目指す2年間で、成長する姿を見てほしい」と宣言し、井上の生ピアノをバックに、笑顔で軽快なタップを踏んで見せた。
3番手には、プロデューサーも抜群の歌唱力に太鼓判を押す山本栞里が登場。韓国語を勉強していることもあり、あいさつ代わりにアカペラでハングルのバラードを歌唱。その歌声でフロアの空気を一変させた。そして2曲目に歌唱したのは森川美穂の「ブルーウォーター」。この曲は井上が90年に森川に提供した、アニメ『ふしぎの海のナディア』の主題歌。井上は4月から大阪芸術大学演奏学科客員教授を務めているが、森川も同大学演奏学科でポピュラー音楽コースの教授を務めている。そんな縁のある実力派ボーカリストの大先輩のヒット曲を、パワフルに歌い上げた。最後には“即興ラップ”のムチャ振りにも対応、そのポテンシャルの高さを見せつけた。
プロデューサーの井上が「オレ、才能あふれる人を集めたよね!」と冗談交じりに自画自賛するなか、照明を落としたステージに着物姿の鈴木まりやが登場。セットリストに「ちょっとエロい朗読劇」とあるそのパフォーマンスは、昔話の『桃太郎』を吐息交じりに色っぽく朗読するというもの。ステージの椅子を使った艶やかな舞いを見せ、羽織った着物を脱ごうとしたその時、阿部と高橋が「脱いじゃダメ!!」と飛び込んできて終了。明転して素に戻った鈴木は「今日は父が来てるんです。父の前でこれをやった私の勇気!」と笑う。AKB48を卒業してから『卒業☆星』加入までの間、舞台を中心に女優として活動してきた鈴木の見せた大人の表現力。この豊かな表現力もまた、ユニットの武器になるに違いない。
本編の最後は再び4人が合流し、60年代ゴーゴーのようなレトロ風味で弾けるノリの「今夜は眠れない」で締めくくった。アンコールの歓声が鳴り響く中、4人の卒業にまつわる写真(アイドル時代の写真など)がスクリーンに映し出され、アイドル時代を共にし、現在は別の道を行く仲間からの祝福のビデオメッセージも投影される。再び登場した4人は、アイドルとしての自分と決別し、アーティストとしてリスタートするという強い想いを胸に、もう一度シングル曲「STYLE OF LOVE」をパフォーマンスし、ファンの心に刻み付けた。
最後は「心の底から皆さんの前で歌うことが出来て幸せを感じています」(山本)、「アーティストになるまでの成長を見届けてくれたら嬉しいです」(高橋)、「こんなに大勢の方の前で阿部サラという名前と、卒業☆星のメンバーの一員という事を発表出来てとても嬉しいです」(阿部)、「活動を始めてすぐに様々なメディアに出演させていただける環境に感謝しながらも、今日を迎えるまで、実際ライブをやってもお客さんが来てくれないんじゃないかなって、不安に思っていたんですが、まさかのチケット完売で!次回も絶対に来ていただけるようにもっと活躍していきたいです。応援よろしくお願いします」とそれぞれに挨拶。そして4人が口をそろえたのは「2年後の日本武道館まで突っ走ります」という大きな目標。卒業☆星は、その第一歩を確実に踏み出した。