アイドルとプロレスに全力で打ち込む、ミウ、ヒカリ、ヒナノ、ラクの4人組グループ、アップアップガールズ（プロレス）【以降アプガ（プロレス）】が、2018年12月31日に、東京・渋谷GARRETにて初の単独ライブ『アップアップガールズ（プロレス）　プロレス女祭り』を開催した。記念すべき初単独ライブでは熱いライブステージと、ホームリングである東京女子プロレスおよびDDTのレスラーを交えたプロレスのバトルの両方が繰り広げられた。ライブ中には、メンバーの新リングネームが発表され、2曲の新曲「アッパーチョップ！」「負けたくない」が初披露された。

　ステージに登場したミウが「初の単独ライブ、今日は頭がおかしくなるくらいアッパーキック！していくぞ！」と雄叫びをあげ、オリジナル曲「アッパーキック！」でライブはスタート。メンバー4人の溢れる気迫に、観客も強烈なパワーで応戦、ライブは冒頭から異様な盛り上がりを見せた。

　自己紹介の時点でラクは早くも落涙。「人生を振り返って、2018年12月31日が、一番楽しかったと思えるライブをしていきたいです」と意気込んだ。これまでアプガ（プロレス）は、昨年8月のステージデビュー以来、唯一の持ち歌「アッパーキック！」だけで様々なライブを戦ってきたが、今回のライブでは「アッパーキック！」の新バージョンが続々登場。よりハードなテイストの「アッパーキック！（Rock ver.）」、さらに“YO！YO！”と観客を煽る「アッパーキック！(HipHop ver.)」を続けざまにパフォーマンスしていく。

　ここからが（プロレス）の真骨頂。ステージ上にマットを敷き、プロレスの時間に突入。スペシャルリングアナとして登場したのは、姉妹グループ、アップアップガールズ（２）の鍛治島彩。鍛治島によってアプガ（プロレス）の新リングネームがコールされると、メンバーは新衣装を身にまとって自身の入場曲を歌いながらステージに登場する。

　ヒナノのリングネームは“ぴぴぴぴ ぴなの”。入場曲は「上々独擅上」を歌唱。ラクはひらがなの“らく”となり、「マシュマロカカオステーション」を歌いながら入場。するとアップアップガールズ（偽）を名乗る大石真翔とハイパーミサヲが入場し、いきなり第一試合、『ぴぴぴぴ ぴなの&らく vs 大石真翔&ハイパーミサヲ』のタッグマッチのゴングが鳴った。こざかしい大石の攻撃に手を焼きつつ、ぴなのはエルボースマッシュ、らくは必殺技『おやすみエクスプレス』を繰り出す。だが最後は、大石の“つば攻撃”から、らくが丸め込まれてぴなの＆らくは惜しくも敗戦。

　第二試合は、ヒカリが“乃蒼ヒカリ”となって「ROCK BOTTOM」、ミウが“渡辺未詩”となって「チョコッとラブ ME ドゥー」を歌唱しつつ入場。東京女子プロレスの“TOKYOプリンセス・オブ・プリンセス王座”を持つの山下実優と、中島翔子が登場し、第二試合の『渡辺未詩&乃蒼ヒカリ vs 山下実優&中島翔子』の一戦が始まる。冒頭から両軍入り乱れ、客席フロアまで戦場が広がる。ヒカリがダメージを追って戦線離脱中に、渡辺は一人での戦いを強いられる。しかし渡辺は、ボディスラムからバッティング式ダブル・スレッジ・ハンマーを二人にお見舞い。再び渡辺が劣勢になったところで、復活したヒカリがダブルで締め技を決め、椅子の上からミサイルキックを放つ。しかし山下は、ヒカリにハイキックとバックスピンキックを連続でヒットさせ、チャンピオンらしく悠然と勝利をものにした。

　激戦を終えたあとはライブ後半戦に突入。アプガ（プロレス）のライブは、これまでは「アッパーキック！」一曲だけを繰り返すのが基本。これまでは５回連続が最高記録だったが、初ワンマンで新衣装となった彼女たちは、自己記録を更新する６回連続の「アッパーキック！」に挑んだ。同じ曲を何度も聴き続けることで謎の高揚感が会場に満ちていく。最後には初お披露目となる「アッパーキック！(Bossa ver.)」をゆったり歌唱し、心地いいムードを作り上げながらライブ本編は終了となった。

　会場の熱烈なアンコールに応えてステージに戻ったアプガ（プロレス）は、遂に1年3ヵ月ぶりの新曲「アッパーチョップ！」を初披露。PandaBoYが作詞・作曲、アップアップガールズ（仮）の古川小夏が振り付けを手掛けたこの曲は、アプガ（仮）の「アッパーカット！」、アプガ（プロレス）の「アッパーキック！」の系譜を継承しながら、さらにアゲアゲとなったナンバー。サビの“チョップ！チョップ！”の連呼に観客はヒートアップした。

　汗だくになりながら、メンバー4人がそれぞれワンマンライブに懸けた想いを語る。ぴぴぴぴ ぴなのは「みんなに新しいコスチュームを見てもらえて、新しい名前も公開できて、「アッパーチョップ！」も聴いてもらえて、ほんとに幸せな平成最後の大晦日でした！」、乃蒼ヒカリは「私は、正直アイドルをやるのが苦手で、新曲もダンスができるか不安だったんですけどなんとか踊れました。自分のわがまま聞いてもらってマットでプロレスまでできて、しかも私たちのためにこんなにたくさんの人が集まってくれてすごくうれしいです。これからもがんばります！」。

　らくは「まず、初披露の衣装いかがでしたか？　私は、最初に単独ライブをやると聞いたときは、こんなにたくさんの人が集まってくれると思わなかったので、最初の「アッパーキック！」のイントロの段階で泣いてしまいました。あと、念願のアプガ（プロレス）の『Overture』も作っていただけてうれしく。ほんとに、改めてアイドル目指してよかったなと思いました。何より、みなさんがいなかったら、今、私はアイドルとしてここにいることができてないので、ほんとに感謝しています！」。

　そして最後の渡辺未詩「私たちはアイドルとプロレスをやっていて、いろいろやってみたい夢はあったんですが、正直単独ライブができるとは思っていませんでした。10月に発表されてから不安もあったんです。私たちひとりひとりの個性が強くて、それぞれが夢も近い目標も持っています。そんな私たちが、ひとつになってこうしてライブを作ることができて、そしてみなさんと一緒に狂ったように盛り上がれてほんとにうれしいなと思います。2018年は、プロレスラーデビューに始まり初の単独ライブで終わりますが、2019年もよろしくお願いします！」と語った。

　観客から大きな拍手を浴びながら4人は「私たちにとって、ほんとに大切な新しい１曲です。心を込めて歌います」（らく）と、michitomoが手がけたもうひとつの新曲「負けたくない」を初披露。悔しさをバネに戦い続ける気持ちを歌ったキャッチーなロックチューンを、笑顔と元気でファンに届けた。

　新リングネーム、新曲2曲の武器を手に、アイドルとプロレスの二足の草鞋を全力で履く4人。2019年のアプガ（プロレス）の飛躍に期待したい。