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2017/08/24 23:29
安西慎太郎「いろんなものを届けたいし、伝えたい」迫力ある生演奏が舞台を彩る『四月は君の嘘』開幕
累計発行部数500万を突破する人気漫画を原作とした、舞台『四月は君の嘘』が24日、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて開幕。初日公演に先駆けて、前日の23日には同所にて公開ゲネプロが行われ、主人公・有馬公生を演じる安西慎太郎ら、キャスト陣が登壇し、本番への意気込みを語った。
同舞台の原作は、「月刊少年マガジン」(講談社)にて連載され、TVアニメ化や実写映画化もされた新川直司による人気漫画『四月は君の嘘』。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまった、元天才ピアニスト・有馬公生が、天真爛漫なヴァイオリニスト・宮園かをりに出会い、かをりの自由で豊かで楽しげな演奏をきっかけに、ピアノと母の思い出に再び向き合う姿が描かれる。
囲み取材には、有馬公生役の安西のほか、宮園かをり役の松永有紗、澤部椿役の河内美里、渡亮太役の和田雅成、井川絵見役の山下永夏、相座武士役の横井翔二郎が出席。座長を務める安西は「非常に緊張しております」と緊張した面持ちを見せつつ、「稽古でキャスト・スタッフ一丸となって死に物狂いでやってきました。お客様にしっかりと届けられるような作品ができたんじゃないかなと思います」と胸を張り、ヒロイン・かをりを演じる松永も「今まで練習してきた分を思いっきり出せるように、全力で楽しみながら頑張りたいと思います」と力強く語った。
自身が演じる公生について安西は、「音楽ですごく傷ついた公生が、音楽によって報われるというのが共感できる部分がすごくある」と話し、「いろんな人に出会って支えてもらって、変化していく役柄なんですが、僕個人としてもキャストやスタッフのみなさんや、いろんな人と出会って、この作品、この役ができているなとすごく感じています」とコメント。「日々、みなさんがくださるものが、僕が演じる公生を変化させてくれているなと感じるので、そういうのを大切にやっていきたいです」と役への想いを吐露。
公生の幼馴染・椿を演じる河内は「いよいよこの作品を皆様にお届けできると思うと本当にワクワクドキドキする」と目を輝かせ、「幕が開いた後も、どんどん椿を成長させていけるよう、真摯に向き合って頑張りたい」と元気に宣言。同じく公生の幼馴染・渡を演じる和田は「さきほど高校野球の決勝戦を観ていたのですが、本当に熱くて。それは、この時期だからこそのものであって、その熱さに負けないように僕達もこの作品づくりをやってきたつもりなので、それをしっかりとお届けしたい」と決意を新たにする。さらに自身の役柄について「原作を読んでもそうですが、渡は公生にすごく影響を与える人物だと思うので、この舞台でもしっかりと渡としても和田雅成自身としても、公生、そして安西慎太郎という役者に影響を与えられたらと思います」と意気込んだ。
本作が初舞台だという山下は「稽古に入る前、最初は緊張していましたが、何もできない自分を全部見せられたし、すごく自然にこの場に居れた」と振り返り、「私が演じる井川絵見はすごく芯がしっかりしていて熱い想いを持っているので、ピアノに対して、そして公生にたいして、自分の想いをしっかりぶつけようと思います」と身を引き締める。「稽古をしてきて、早い段階で“これはかなり面白い作品だ ”という確信を持った」と語った横井は、「題材がクラシックなので、落ち着いた静かな作品のイメージがあると思いますが、その中で生きるキャラクターたちは内に秘めている想いがすごく熱いので、それをお客様にお届けしたい」とコメント。
プロ奏者による迫力ある生演奏も見どころの一つの本作。生演奏に関して安西は「役者と奏者の呼吸を合わせるというのが難しかった」と明かすと、松永も「ヴァイオリンを触ったことがなかったので、動きまで奏者の方と息を合わせるというのがすごく難しかったです」と賛同。また、「でも、やっていけばやっていくほど、ヴァイオリンがどんどん好きになった」と告白。トップクラスの実力をもつピアニストを演じる横井も「ピアノはまったくやったことなかったけど、教えていただいて、自分と向き合っていくなかで、クラシックやピアノの楽しさに初めて出会えた」と笑顔を見せた。
稽古中のエピソードに関して、ソフトボール部で、強打者の椿を演じる河内は「バットを振ったことがなかったので、強打者になるために、稽古場で素振りの練習をしていました」と語り、「甲子園もちょうどやっていた時期だったので、バッターに目が行くようになって。休憩中ずっと素振りしていたら自分の中でも楽しくなっていきました。そこはぜひ注目してほしい」とアピール。さらに、和田は「早替えが本当に多い舞台なんですが」と切り出し、「稽古場で早替えの練習をしていたら、早替えして出てこなきゃいけないときに、椿(役の河内)が靴を逆に履いてきたという事件があって、それが個人的に面白かった」と暴露し、記者たちの笑いを誘っていた。
そして本作について、安西は「稽古を重ねるうちに、この作品の中の一人一人の人生観と自分の人生観を重ねるようになっていって。学生の物語ですが、これは世代問わず、共感したり思い出したり、深く作品に入り込めるなと思いました。いろんな人に楽しんでもらえる、そして感動してもらえる作品だと思います」と真摯にコメント。さらに、「とにかく来てくださるお客様に、いろんなものを届けたいし、伝えたい。その想いがお客さん届くように頑張っていきたいと思います。楽しみにしていてください」と呼びかけた。
ヒロイン・かをりが、ピアノの鍵盤を模した階段を上りながら公生について語るシーンで幕開け。幼少から数多くのコンクールで優勝するほどの実力を持ちながらも、母の死がきっかけでピアノの音が聞こえなくなってしまった元天才ピアニストの公生が、同い年の天真爛漫なヴァイオリニスト・かをりと出会ったことで、物語が大きく動き出していく。
ピアノが弾けなくなってしまった公生に対して、かをりはヴァイオリンコンクールのピアノ伴奏者に公生を指名。公生は戸惑いながらも、自由奔放で元気いっぱいのかをりに影響されて、再び鍵盤に向き合い、成長していく姿が丁寧に描かれる。トラウマを抱える公生を繊細に演じる安西に対して、天真爛漫なかをりを演じる松永は、動きも大きく表情豊かに表現。“静”と”動”のコントラストがより物語を豊かなものにしていた。
公生とかをりがコンクールで共演する、原作でも人気のシーンをはじめ、ピアノ奏者の松村湧太とヴァイオリン奏者の小林修子による生演奏の融合は必見。舞台ならではの演出で、美しくも切ない物語を紡ぎ出していた。
舞台『四月は君の嘘』は、8月24(木)〜9月3日(日)まで、東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて上演され、その後、大阪公演が9月7日(木)〜10日(日)まで、梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。
(c)新川直司・講談社/エイベックス・ピクチャーズ株式会社