2015年度に最も印象に残る声優や作品を表彰する『第十回声優アワード』授賞式が12日、文化放送メディアプラスホールにて行われ、各賞が発表された。声優自らの名前、もしくは演じている役名でラジオ、ウェブラジオ、テレビ、そのほかの番組でパーソナリティとして活躍されている人から選出される「パーソナリティ賞」には鈴村健一が選ばれた。鈴村は、ともに番組を務めていたが、昨年惜しくも急逝した声優・松来未祐さんを想い「松来さんが僕の背中を押してくれたおかげていただけたもの」と語った。

　受賞した鈴村健一は生放送のラジオ番組『ユニゾン ！』で毎週木曜日のパーソナリティを担当。軽妙でユーモア溢れるトークや視聴者の悩みに真剣に答える誠実さが数多くのリスナーを虜にしている。これまで数多くのラジオ番組でパーソナリティを担当し、今回パーソナリティ賞は『第二回声優アワード』以来、２度目の受賞となる。

　トロフィーを受け取った鈴村はゆっくりとスピーチを始めた。「さきほどの映像を見ていただいた通り、僕がやっているラジオというのは、非常にくだらないことをただ一生懸命しゃべるということが多いです。果たしてこれが誰かの役に立っているのかなと、たまに不安に思うことがあります。こうやってラジオでしゃべること、非常にくだらないことをしゃべること、それが僕にとって何の意味があるのか悩んでいるときに、昨年、僕がとても大切にしていたラジオ番組がひとつ終わりました。それは『（有）チェリーベル』という番組です」。

　文化放送、超!A&G+で放送されていた『（有）チェリーベル』は、前身の番組『有限会社桜井工房』から数えて約13年続いた番組。番組が終わったのは、松来さんの急逝を受けてのこと。櫻井孝宏、鈴村健一、そして松来未祐さんの3人で番組を進めてきただけに、「3人じゃなきゃ『チェリーベル』じゃない」という結論にいたり、番組に終止符を打つこととなった。

「松来未祐さんが闘病中に僕に言ってくださいました。“鈴村さんはこれからもくだらないバカみたいなラジオをいろんな人に届けてください。それが私も励みになりますし、きっと誰かが笑ってくれてるはずです”と。“なんでも一生懸命。くだらないことでも、一生懸命しゃべればそれでいいんです”と彼女が背中を押してくれました。それ以来僕は、本当にしっかりラジオに向き合おうと、改めて心を正しました。今流れていた映像、今の生放送の番組でも、毎週毎週くだらないことを一生懸命誰かに届けとしゃべっています。少しでも笑ってくれる人がいる限り、僕はしゃべり続けたいと思いますし、一生懸命ラジオというものを、もっともっと盛り上げていけるような、そんなパーソナリティの一人として頑張っていきたいと思います。この賞は僕だけでなく、たくさんの人が支えてくれて、そして松来未祐さんが僕の背中を押してくれたおかげていただけたものと思っています。本当に本日はありがとうございました」

　なお、鈴村は今回助演男優賞も受賞し、2部門のＷ受賞となった。

　『第十回声優アワード』各賞と受賞者は以下の通り。

■主演男優賞／松岡禎丞
■主演女優賞／水瀬いのり
■助演男優賞／鈴村健一、細谷佳正
■助演女優賞／伊藤静、早見沙織
■新人男優賞／梅原裕一郎、武内駿輔、村瀬歩
■新人女優賞／上坂すみれ、高橋李依、田中あいみ
■歌唱賞／i☆Ris
■パーソナリティ賞／鈴村健一
■功労賞／千々松幸子、中村正、野村道子
■シナジー賞／ちびまる子ちゃん
代表登壇者：TARAKO
■富山敬賞／森久保祥太郎
■高橋和枝賞／井上喜久子
■キッズファミリー賞／ピエール・コフィン
■最多得票賞／神谷浩史
■特別賞／A応P
※今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰。