俳優・脚本家・演出家として活躍中の宅間孝行さんが主宰する「タクフェス」の新シリーズ「タクフェス 春のコメディ祭!」。シリーズ第1作目となる『わらいのまち』が3月30日(木)より開幕。作・演出・出演の宅間さんと、同舞台にオーディションを経て出演が決まった佐藤祐基さんの二人に、読者レポーターが突撃取材!
「芝居をやりたいけど何をすればいいか悩んでいるなら、何はともあれ、実際に舞台に出て経験していったほうがいい」
TeamDの森(左)、吉田(中央)、畑山(右)
――『わらいのまち』を再演するにあたって、今回キャストが一新されていますが、苦労している点はありますか?(畑山祐次)
宅間孝行「前回公演がそれなりに評判が良く、楽しんでもらえた作品だったので、今回も同じように楽しんでもらいたいという想いがありつつ、ただまったく同じことをやってもしかたないので、前回観た人たちに『一段と面白くなった』と思ってもらえるように、自分で自分たちのハードルを上げていっているところはあるので、そういう部分が難しいところかな」
作・演出・出演の宅間孝行
――佐藤さんは、オーディションを経て出演が決まったということですが、出演が決まった際の率直な想いを教えてください(吉田千夏)
佐藤祐基「僕が初めて宅間さんの舞台を観たのが、村川絵梨ちゃんがヒロインを演じていた『歌姫』(2007年)だったんです。まだ芸能界に入りたての頃で、当時の社長さんに連れていってもらったんですが、それを観たときに“こんなに笑って泣ける舞台があるのか”っていう衝撃を受けて。その後に、自分もいろんな経験を積んで、タイミングも合って、昨年の『歌姫』のオーディションを受けさせてもらったんです。そのオーディションは残念ながら落ちてしまいましたけど」
宅間「覚えてるよ。確かそのときは、ゲルマンくらいしか募集してなくて、キャラクターが限定されていたんだよね」
佐藤「なので、今回またオーディションを受けさせてもらって、出演できると聞いて、“やった! やっと宅間さんの作品に出られる!!”と。『歌姫』を観に行ったとき、そのときカーテンコールの空気感を覚えていて、“自分もこんな拍手を受けてみたい”と思ったので、やっとその前段階に入ることができたなって思いました」
佐藤祐基
――佐藤さんをはじめ、今回はオーディションでキャスティングされた方が多いという話を聞いたのですが、オーディションでの決め手みたいなものはありますか?(吉田)
宅間「うちのオーディションは、まず最初に書類審査があるんですが、基本的にはみなさんに会うようにしていて。一度会ってみなさんのお話を聞くという面接審査をします。そのときに、勢いがある人とか、すごく身体が大きいとか何か身体的な特徴がある人だったり、テンションがおかしい人、すごくキレイな人など、とにかくいろんな意味で個性的な人たちを残していって。そこから課題のテキストを事前に渡して、芝居をやってもらう演技審査をやります。今回、祐基は一度受けているから、演技審査からだった?」
佐藤「そうですね。演技審査からでした」
宅間「演技審査のときに、いくつか見ているポイントがあって。これは祐基とかみんなにも言っていることだけど、演技の上手い下手っていうのは正直大差ないんですよ。もちろん、なくはないけどね。でも、それよりも基本的にはモチベーションの高さを見ています。特に、本番のときとか、モチベーションの高さが、いろんなものを凌駕することがあるので。役にハマるかハマらないかも、もちろん大事だけど、“この役できそうだな”っていう人たちの中で、なるべくモチベーションが高いとか、芝居を見たときにこちら側がグッときたかどうかをポイントにしているかな」
――佐藤さんがオーディションを受けたとき、心がけたことはどんなことですか?(森絵里花)
佐藤「基本的なことですが、台本があったら絶対に覚えていきます。台詞もそうだけど、自分がそのときにやれることをとにかくやる。昔は“どこを見られているんだろう?”って気にしすぎてしまって、自分の中でゴチャゴチャになってしまったこともありましたけどね(笑)。いまでも緊張しますけど、芝居するとか何か表現するという場合、物怖じせずにやるということを心がけています」
TeamD 畑山祐次
――緊張ってされるんですか?(畑山)
佐藤「もちろんしますよ。舞台は特にお客さんの前でお芝居するし、毎回緊張してます」
宅間「緊張はみんなするよね。みなさんもオーディション、けっこう受けているんですか?」
――はい。いろいろと受けています(3人)
宅間「オーディションって落ちると人間否定されたような気がするじゃないですか? でも、その時々で役に“ハマる”“ハマらない”っていうのがあるし、求めているキャラクターとかでも大きく左右されたりすることがあるから。一回うちの舞台のオーディションに合格して出演した経験がある人でも、次受けに来たときには不合格っていう場合もあったりするしね」
――私は21歳で演技未経験なのですが、どんなことから始めたらいいのか悩んでいて(森)
宅間「僕は芝居を始めたのが24歳からで、そこから2年間養成所に通って、そこで一緒だった友達と劇団を旗揚げしたんです。そういう小劇場みたいなところで芝居をやっていると、周りがみんな同じような境遇だったりするし、横のつながりができて広がっていくんですよね。『今度こういうのがあるんだけど、出ない?』とか、芝居のオーディションを紹介してくれたり。舞台に関しては、大小様々だしいろんなパターンがあるから、それこそ演技未経験でオーディション受けても全然OK。『Deview』にもけっこうそういうオーディション載ってるでしょ?」
TeamD 森 絵里花
――そういうオーディションを見ても、自分は演技未経験だし…と思っていて(森)
宅間「ぜんぜん関係ないと思うよ。むしろ、何をすればいいか悩んでいるなら、やってしまったほうが早い。純粋に芝居をやりたい、演劇を学びたいということなら、何はともあれ、実際に舞台に出て経験していったほうがいいと僕は思います。役者に関していえば、始めるのに遅いってないと思う」
――私も23歳なので年齢のことで悩むことがありました(吉田)
佐藤「僕も遅い早いは本当に関係ないと思う」
TeamD 吉田千夏
――私たちを含め、デビューを目指している読者に向けて、応援メッセージをお願いします!(吉田)
宅間「今、エンターテインメントの世界で活躍している人たちは、たぶん若いときに9割くらいの人が『Deview』を読んでたんじゃないかな。僕も一時期買っていましたよ。今のみんなと同じように、『Deview』とかでオーディションを探して受けたり、事務所に入っている子でも作品のオーディションチェックしている人もいたし、みんなそこから始まっているからね」
佐藤「僕はこの世界に入るまで野球しかやってこなくて、芝居の“シ”の字も知らなかったんです。でも、テレビで(笑福亭)鶴瓶さんがこの世界に入ったきっかけの話をされているのをたまたま観ていて。“何も経験がないけど、噺家になりたいから、大学辞めてその日のうちに門を叩きに行った”という話をされていたんです。その話がすごく響いて、すぐにネットで『オーディション』って検索して、そのときに募集していたオーディションに応募したのが、この世界に入るきっかけでした。応募したからにはオーディションに行かないといけないし、訳も分からず受けた感じでしたが、考えるよりも行動することが大事なのかなと思います」
あたたかい笑いと切ない涙で感動を誘う作品に定評のある宅間孝行が主宰する「タクフェス」に、新シリーズ「タクフェス春のコメディ祭!」が新たに誕生。記念すべき第一作目は、2011年に上演されたコメディ作品『わらいのまち』の再演をお届け。
本作は、寂れた田舎町の寂れた温泉旅館「まつばら」を舞台に個性豊かなキャスト陣が、「暗転なし」「転換なし」「ノンストップ」のリアルタイムで突っ走る、息つく暇もない程の抱腹絶倒のシチュエーションコメディ。
作・演出・出演はもちろん宅間孝行。前回に引き続き、仲居くにゑ役には柴田理恵、宅間演じる主人公に翻弄される兄弟には、2008年に宅間作品「夕」で初舞台を踏んだ永井大と、宅間作品初参加となる柄本時生が決定。さらに鈴木杏樹が旅館の仲居役で関西弁を披露する。総勢15名がノンストップで2時間突っ走る。勘違いに次ぐ勘違い。行き違いに次ぐ行き違い…果たして収拾はつくのか!?
新シリーズ『タクフェス春のコメディ祭!』の第一作目『わらいのまち』に続く、第二作目として2018年春に『笑いの巨塔』の再演が決定。上演にあたり物語に出てくる様々なキャラクターを、18歳〜50歳くらいの男女から幅広く募集。演技経験の有無は関係なく、やる気、熱意、モチベーションの高い人、そして「タクフェス」が大好きな人からの応募もOKとのこと。
第一線で活躍している役者とともに、舞台で輝ける絶好のチャンス!!