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2023/11/26 18:01

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エンタメプロデューサー・つんく♂が語る『TOKYO青春音楽祭』への想い「目標を作って背中を押してあげたい」

「TOKYO青春音楽祭2023」の総指揮を務めるつんく♂(C)Deview
「TOKYO青春音楽祭2023」の総指揮を務めるつんく♂(C)Deview

 エンタメプロデューサー・つんく♂が総指揮を務める音楽祭「TOKYO青春音楽祭2023」が2023年12月26日に開催されることが決定。現在そのエントリーを受付中だが、“「未来の音楽家たち」の背中を押す”ために音楽祭を立ち上げたつんく♂に、その想い、そして今の音楽シーン、これからのアーティストに向けてのメッセージを伺った。

 つんく♂は2021年から毎年「青春」をテーマにした映画の祭典である「TOKYO青春映画祭」も開催しており今夏に第3回目を開催。今回開催される「TOKYO青春音楽祭」は、音楽にフォーカスした祭典となる。シンガー部門・パフォーマンス部門・楽曲部門の各部門から受賞者が選ばれ、受賞者は副賞として2024年に完成予定の「中2映画プロジェクト2024」の主題歌にも携わることが出来るという。

■「TOKYO青春音楽祭2023」総指揮・つんく♂インタビュー

――つんく♂さんが手掛ける、青春をテーマにした『TOKYO青春映画祭』の第3回が今年7月に行われましたが、その手ごたえはいかがですか

【つんく♂「『TOKYO青春映画祭』をここまで本当にサロンメンバーと一緒に手作りでやってきて、メジャーとインディーズの壁を感じながら、どうやってメジャー化していくか。アマチュア時代もそうだったけど、大体みんな3年目で力尽きていく…(苦笑)。手伝ってくれるスタッフも我々もコツを掴んできたし、役者たちも育ってきたし、本当にここからが勝負だと思いますね。『青春』『中2映画』というテーマだけじゃなくて、日本のカルチャーらしさも出てきたので、これが上手く育っていくといいなと思う。ここらでライバルというか、よく似た違う映画祭が出てきたりして、切磋琢磨できるといいなとは思うけど…。まあでも現状でも楽しいですけどね!」

――『TOKYO青春映画祭』が始まったばかりの時にお話を聞いたら、“5年やったら成果が出てくる”とおっしゃっていましたが、その手掛かりは掴めましたか?

【つんく♂】「そうですね。これから『TOKYO青春音楽祭』もやるから、力も分散されることになっちゃうけど、こちらがバテないように気を張っとかないといけない4年目、という感じですね」

――映画祭を継続してきたことによって、『青春』をテーマにした音楽祭という発想が新たに生まれて来ました。

【つんく♂】「自分がやるなら、本当は映画祭よりも音楽祭が先だったのかなとも思うけど、やっぱり映画祭があっての音楽祭だなって。先に音楽祭だったらちょっと的が絞りにくかったなと今は思う。『TOKYO青春映画祭』があるから、こういうジャンルでこういう幅だなってなんとなく見えるようになって、その意味では映画祭ありきで結果的に良かったなと思うんです。

――今回『TOKYO青春音楽祭』を企画された意図・想いを聞かせてください。

【つんく♂】「これまで映画祭で毎回主題歌や挿入歌を作ってきたので、今後『TOKYO青春音楽祭』というタイトルの中で、アーティストや作家が育っていけばいいなって思うんですね、一番は。何故かというと、今は昔みたいに『CD作りました』とか、『メジャーデビューできました』とか、『何万枚売れました』みたいなゴールが見えなすぎるんで、それは勿体ないなって。僕たちも探しにくいし、参加者たちも『YouTubeにアップしました』とか『サイトにアップしました』というものの域をこえた、手応えやリアクションが欲しいだろうなって思ったんです」

――今、目標が見えないところに登る山を作ってあげて、「背中を押す」という役割をこの音楽祭が持つということですね。

【つんく♂】「〈つんく♂さんがやってる『青春音楽祭』で受賞しました〉とか、肩書に書けるだけでも違うだろうなと思うので。今はヒットの指標が見えにくいし、だからと言ってアマチュアの投稿サイトでクリック数だけ上げてもしゃあないしね〜。そういう人に、一つ目的みたいなものを与えてあげられるっていうのがこの企画として面白いところかな」

――昔だったら「世界歌謡祭」とか「ポプコン」みたいな音楽祭があって。『TOKYO青春音楽祭』っていう響きに輝きや期待感を感じてしまいます。

【つんく♂】「昔はヤマハとかソニーがやるでっかいイベントがあったけど、今はもうそういう音楽祭はどこもやらないだろうし。逆に言えば、今は作った曲を“ピュッ!”て送信さえしてくれたらいいわけで。どんな授賞式が出来るかはこれからだけど、みんなが参加できて、同じ舞台や土俵に上がれたら、アマチュアとしてもセミプロとしても楽しいだろうなとは思いますけどね」

――今回『青春』と名付けることによって、エントリーをする上でも的が絞りやすくなりますね。

「『TOKYO青春映画祭』を始めた3、4年前には、“青春”を“アオハル”って読むとか読まないとかの最初の流行りがあったけど、逆にそういうふうにしなくてよかったなって今は思いますね。そういう便利な、流行ものになっちゃうところだったので、危なかったなぁ(笑)。今はそれこそ80年代の音楽がリバイバル、コピー、カバーされて、世界的にはJ-POPの良い部分も評価されてはいるので。まぁ何を持って“青春”かって非常に難しいんですが、なんとなく懐かしさも含めてその“匂い”って大事かなって思いますね。いつも“青春”を英語に訳す時にどうしようかなって思うんですけど、やっぱり日本独特の感覚なんかなぁと思います」

■「80年代のヒット曲も、短い秒数にどう落とし込むかすごく考えられていた」

――先ほどもおっしゃったように、今一周回って若い子たちが懐かしいメロディを新鮮に感じていたり、カバーしたり、インスパイアされて曲を作ったりということがよくある気がするんですが、つんく♂さんは、そういったシーンについてどのように感じられていますか?

【つんく♂】「僕らが中学生の頃のヒット曲と言えば、15秒か30秒のテレビのCMソングや1分から1分30秒のテレビのドラマの主題歌。そんな短い時間で評価をしていたわけじゃないですか? 今の子がTikTokで曲を何秒聴いているか分からないけど、そこで“これ面白い!”と気に入った曲を深堀りしているわけで。うちの子どもたちも2コーラスとかあんまり興味ないんかな〜って思うんですけど(笑)。1940年代のアメリカンソングから最近の曲まで、全く何のこだわりもなく聴いてますもんね」

――時代も場所も超えて、すべての曲が並列に聴かれている状況があると。

【つんく♂】「思えば80年代のあの頃も、15秒にどう落とし込むかっていうことを、当時の日本の音楽家もすごく考えたと思うんです。だからやっぱり今聴いてもよく出来ていて、まとまってるし、覚えやすく歌いやすかったり、インパクトもある。その頃の曲ってきっと優秀だったんじゃないかな」

――そうした曲が、今のTikTokのように短いフレーズで評価される時代にも通用するしマッチする。逆を言えば、今の作家たちも同じマインドを持っているのかもしれないですね。

【つんく♂】「今の子たちはさらに短く、7秒とか8秒とかに勝負をかけてるかもしれないし。あと曲のBPM自体は日本に関して言えばどんどん上がってる感じですよね。世界的にはそうでもないんですけど、日本はアニソンを含めてなんとなくせわしないのがウケています」

――ある意味そうした日本の独特の感性の音楽が、今また海外からも注目を浴びています。

【つんく♂】「今K-POPが韓国語で成立してるように、米津(玄師)くんの曲がアメリカでも日本語でちゃんと認められたり。ということは日本語でも世界で勝負できなくはないわけなので。とはいえアメリカで暮らしていて思うんですけど、やっぱり英語ってやっぱりシンプルなんですよね。やっぱり万国共通というか」

――日本の歌は、カタカナ、ひらがな、漢字、英語、外来語もみんな含みますから複雑ですよね。

【つんく♂】「アメリカって水準がピンからキリまで日本なんかよりも広いんで、英語が複雑になると理解できない国民もいっぱいいるんです。その中でヒット曲を出すってことは、語彙力がシンプルななかでやれているからなんです。日本語はいろんな言葉の表現が混じるからすごく複雑で、だからこそ作れる語感や言葉の裏があるんですが、それを外国人全員に全てわかってもらうのは難しい。『青春』の英訳の『youth』って年齢(の幅)を表現するだけであって、日本語の『青春』とは含む意味が違うんですよね」

――ちなみに、米津さんの曲『KICK BACK』に引用された、モーニング娘。の『そうだ!We're ALIVE』の歌詞の言葉のチョイスは今聴いても斬新です。

【つんく♂】「自分で今見ても、なんでこの言葉を並べたのかなって(笑)。だってそれだってもう20年前なわけでしょ? 僕らで言ったら何だろう? 森高千里さんの『17才』にしても、斉藤由貴さんの『夢の中へ』にしても、オリジナル曲は後から知りましたからね。だからそうやって自分が昔作った曲が、今もCMとかいろんな形で使ってもらえるのはありがたいなって思うし」

――そんなふうに、並列にいろんな楽曲を聴いて吸収している現代の子の感性で『青春』を咀嚼して作られた曲はつんく♂さんとしても興味深いのでは?

【つんく♂】「そうですね!」

■「今後は『青春アニメ』といった方面も手掛けてみたい」

――現在『TOKYO青春映画祭』はシンガー部門・パフォーマンス部門・楽曲部門でエントリーを受付中で、12月26日に本番のステージを迎えます。そこでライブをして、パフォーマンス賞や楽曲大賞を決めるわけですね。

【つんく♂】「そこに至るまでの絞り込みが大変ですね。特に歌手たちの絞り込み。テレ東の『歌うま』番組を観ていても、ちゃんと僕らが見て“うわーっ!”て思う子たちはいるわけですから」

――様々な角度で審査・選考して賞を授与するんですね。

【つんく♂】「音楽祭の1年目は、あんまり分散しないように、アイドルらしいものとか、ポップなものとか、分かりやすくしないと。1年目からひねくると迷うと思うんで、“こういう大会ね”って分かりやすくできればいいなと思います。迷うようなときは『青春』というキーワードで立ち返ってみたり」

――『TOKYO青春音楽祭』はこれからですが、『青春』というキーワードからまだまだつんく♂さんのワールドが広がる可能性はありますか?

【つんく♂】「『青春アニメ』『青春4コマ漫画』でもいいんですけど、そういう方面もやってみたい。今回の音楽祭でも、ビジュアルが一枚あって、“この絵にタイトルをつけて曲を作りなさい”っていう大喜利みたいなことがやれたらいいなと思ったんですけどね。何でもいいから作ってって言われたほうが難しい。絵があったら、それが音楽になり、映画になりと広がって行くと思うので」

――今回『TOKYO青春映画祭』には、どんな人に応募してほしいと思いますか?

【つんく♂】「日本のいろんなところで、ローカル含めて、部活も含めてチャレンジできる企画だと思います。今はネットがあってクリエイターたちもいるし、自分たちで音楽作ってる連中と、歌うのが好きな連中が一緒に参加できる場所になればいいなと思います」

――ではデビューを目指している今の「デビュー」のユーザーに向けて、普段から心がけてほしいことについて、メッセージをいただけますか?

【つんく♂】「僕らの頃は、芸能界に入れたら全てが勝ちみたいなイメージはあったけど、今はそういうことじゃないと思うんです。だから好きな音楽をやればいいけど、バランスとして自分で自分をちゃんと持っておかないといけない。何かだけに頼ろうとすると、そこがダメになったら全部ダメになっちゃうんで。自分の好きなものをキープするためにも、安定した学校生活か、アルバイトなのか分からないけど、何か自分をちゃんと持っていないと。昔はデビューがゴールという感覚があったけど、今はそうじゃないんで。夢見がちの夢だけにならないようにしてほしいなと思います」

■つんく♂総指揮「TOKYO青春音楽祭2023」シンガー部門・パフォーマンス部門・楽曲部門 募集

TOKYO青春音楽祭は、エンタメプロデューサーつんく♂総指揮の音楽祭で「未来の音楽家たち」の背中を押す。という思いから開催される音楽に特化した祭典。
シンガー部門・パフォーマンス部門・楽曲部門があり、年齢、性別不問で募集。各部門から受賞者が選ばれ、受賞者は副賞として2024年に完成予定の「中2映画プロジェクト2024」の主題歌にも携わることが出来る。
https://deview.co.jp/Audition/Overview?am_audition_id=34642

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  • 著書『凡人が天才に勝つ方法〜自分の中の「眠れる才能」を見つけ、劇的に伸ばす45の黄金ルール〜』(東洋経済新報社刊)が発売中(C)Deview

  

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