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2023/03/13 18:02

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劇団鹿殺し、2023年7月本多劇場での新作本公演で男性キャスト&劇団員オーディション開催 菜月チョビ×丸尾丸一郎インタビュー「一番面白くて可愛くてカッコいい自分に出会える場所」

劇団鹿殺し/菜月チョビ(左)、丸尾丸一郎(右)(C)Deview
劇団鹿殺し/菜月チョビ(左)、丸尾丸一郎(右)(C)Deview

 結成22年目を迎える劇団鹿殺しが、2023年7月13日(木)〜18日(火) 下北沢本多劇場にて新作本公演を上演するにあたり、男性キャストおよび劇団員のオーディションを開催する。本作を共に作るカンパニーメンバーの募集にあたり、本作の作・出演の丸尾丸一郎と演出・出演の菜月チョビにインタビュー。コロナ禍を経ての本多劇場での新作本公演、そして2年ぶりのオーディションにかける想いを聞いた。

■菜月チョビ×丸尾丸一郎 インタビュー

――久しぶりに本多劇場での本公演で気合が入っているとお聞きしました。

【菜月チョビ】(以下:菜月)「本多劇場は思い入れのある劇場なので、気負い過ぎて楽しめなくなるより、久しぶりの本多劇場を思いっきり楽しみたいという気持ちです。コロナ禍の期間は演劇界全体が動員の面でドキドキして過ごしてきたんですが、そこで失敗しないような公演の作り方じゃなくて、とにかく自分たちの一番好きな部分で、思いっきりのびのびやれたらいいなって思います」

【丸尾丸一郎】(以下:丸尾)「鹿殺しがガツガツと関西から上京してきたときの気持ちを取り戻すような、攻めた企画をやりたいんだというのをチョビから聞いての公演なので、ギラギラとした野心を持った新しい人たちと出会いたいという気持ちが強いんです。今回キャストオーディションと劇団員オーディションをやろうというのはそういう意図があって。だからトガりたいですね!」

――劇団として2年振りのオーディションをこのタイミングで行う理由は?

【菜月】「YouTubeでもTikTokでも個人でいろんな表現ができる世の中で、カンパニーとして集まってものを作ることの良さを考えた時、出会った人とお互いに刺激し合って、そこでしか生まれないものがある、そういう演劇の創作の形って好きだなぁって改めて思ったんです。出会いには別れがつきもので、出会い続けることは傷つき続けることなので、やめたくなるけど期待してしまう。まだまだ同じように出会いに期待している人がどこかにいるのであれば、出会いの場を作って可能性に賭けたい。私たちも新たに引き出される部分があったらいいなという期待も込めて、今回募集しようと思ったんです。本多の新作本公演ともなれば、鹿殺しだけでという想い入れ方もあると思いますが、やはり出会い続ける劇団というスタンスも保ちたいので、広くオーディションを行いたいと思います」

――今回は男性キャストと劇団員の募集を同時に行います。

【菜月】「今はオーディションでも男性のほうが少なかったり元気なかったりするので、発破をかける意味でも、男性のみにして、男子のパワーを見たいと思ったんです。演劇経験が無くても応募は可能です。鹿殺しも最初は演劇経験者が誰もいない状態で、イマジネーションのみで独学で作ってきたので、今回も幅広い応募があるといいなと思っています」

【丸尾】「鹿殺しも今は男性劇団員が休んでいたり辞めていたりして、もう隙だらけだと思うんです(笑)。懐が空きまくっているので、じゃんじゃん食らいついて主役を狙っていただければと思います」

――特にこんな人に来てほしいという想いはありますか?

【丸尾】「僕個人的には、例えば大きな会社の中で出世できる人間と窓際にいる人間だったら、窓際にいる人間の要領の悪さのほうが好きなんです。こんなにハラスメントとか叫ばれている時代で、わざわざ人間関係のるつぼである劇団でやる意味なんて無いと思う(笑)。今劇団でやってみようなんていうのは変わってる人(笑)。要領が悪くて、生き方が下手で、不器用な人、燻っている人が炎を燃やす機会になったら一番嬉しいのかな。要領のいい人は新国立劇場とかパルコとかのオーディションを受けていただいて(笑)、そうなれない人に、うちの劇団で主役を目指していただけるといいのかなって思います」

――公演の出演キャスト募集だけではなく、同時に劇団員の募集も行われます

【菜月】「うちの劇団は、最初に配役を完全に決め切らずに、カンパニーみんなで誰がどこまでやれるのかをギリギリまで探りながら公演を作っていくので、手ぶらで身体しかないよという人にもチャンスがあります。これまで抜擢されて来なかったけど、長いスパンをかければ、他の人では見せられない感情を持ってるはずだって、自分を信じている人にもチャンスがあるのが劇団のいいところ。自分に最初からは似合っていない役にも挑戦が出来て、新しい面が開かれて、もしかしたら要領良い人には辿り着けない突き抜けるものになれる。一足飛びに行けるわけじゃないけど、たくさんの人にチャンスがある場所だよ、という楽しさは伝えたいですね」

――応募して来た人からの刺激によって、作品自体が変わっていくということもあるんですか?

【菜月】「そればっかりですね(笑)。たまたま楽器が出来る子がいたから楽隊の演出が生まれて、みんなで楽器練習してみようかって言ったら、意外と稽古の1ヵ月で楽器が弾けるようになったり。劇団の形って、いるメンバーで変わっていくものなので、新たな展開を呼び込んでくれるようなメンバーが来てくれると嬉しいですね」

【丸尾】「コロナ禍でどこの劇団もちょっと疲弊したり、役者も家に籠っていることでほかの幸せもあるんじゃないかって考えちゃったというか…。うちの劇団でも休んだり辞めたりしたメンバーが多かったなと思うんです。そんな僕らの背中を、もっと行けますよ!ってもう一回押してくれるような、馬力のあるキャストや劇団員と出会いたい。もう10年、劇団と走れるかもって勘違いさせてくれるような人がいるといいなって思います」

――お二人は劇団以外に外部の公演で作・演出をされています。2.5次元舞台で活躍する若い俳優や、演劇畑以外の方々とのお仕事も増えていると思うのですが、今の演劇界、そして俳優にどんな印象をお持ちですか?

【丸尾】「2.5次元の舞台と役者の数が増えて、この10年、15年で時代がかなり変わったと思います。僕らは昔、古田新太さんから『売れている役者と売れていない役者はどんどん差が開く。売れている役者はどんどん場数が踏めるから』ということを言われたんですが、今は若手でも場数を踏んで、しっかりとした俳優が多いと思います。一方で、アニメと演劇の境目が無くなって来ていて、外側が重要視されるので、自分でオリジナルのキャラクターを生み出す、内面を深く掘り下げて育てていく力が弱い役者が多いのかなっていう気がします。2.5次元舞台の多くは歌もダンスも全部入って来るから、ある程度スキルが揃っている役者が多いんですが、ストレートプレイを経験したことが無いという人は増えましたね。周りでも“マイクを付けないのが久しぶりで声が出ないな”って言う人もいて」

――舞台に立つ機会が増えているからこそ、さらなる成長に期待したいと。

【丸尾】「日本の演劇界にとって、2.5次元舞台が世界に向けての突破口になっていく勢いを感じますし、大手も漫画やアニメの原作モノを手掛けるようになっていて、それが時代の流れなんだと思うんです。でもそういう場が用意されているからこそ、俳優は今こそ地肩を必死に作ろうとしないといけない。20代のころは良かったけれど、40代になっても舞台の俳優として生きて行けるのか。2.5次元の俳優がどんどん輩出される世界で追いやられてしまうのか。でも、本当に地力のある役者が成功できる演劇界になっていると思うんですよね」

――地肩を作る場所に、自ら意識して飛び込まないといけないんですね。

【丸尾】「2.5次元に出ている若手俳優にも、たまに劇団鹿殺しのような珍味を食べたいと思ってくださる方もいるから(笑)。劇団は綺麗な世界だけでなくて、汚い世界も描いていたりするから。うちのカンパニーにとっては、外で活躍している若手俳優が入ることによって、自分には何が足りないんだろうって見つめる機会にもなるので、お互いにいい作用が起こるんじゃないかと思うんです」

【菜月】「以前Aぇ! groupの番組で短い舞台を作らせていただいたんですが、そこで試しに劇団と同じようなスタイルで稽古をしてみたんです。限られた時間の中でしたが、たくさん話してたくさん稽古して。やっぱり自分の身体でお客さんと向き合う意識のある人と一緒に作品を作ると、自然とカンパニーになれるんだなって感じました。この役には絶対に美味しいところがあって損させませんという保証があるような、ビジネスライクなお芝居じゃないんですが、意外とこういう現場でも一つになれることってあるんだなと。自分の身体の中に新しいものを見つけた時ってめちゃくちゃ楽しくなるんですよ。“最初は全く意味の分からないことを言われてると思っていたけど、この自分ちょっと好きだぞ!”みたいに。最初の時点で予想が付かないことを経験した時に輝き出すのって、誰でも一緒なんだと」

――今回のオーディションや作品作りでも新しい経験が出来そうです。

【菜月】「役者は昔より大切に扱われるようになりましたが、最短距離の答えが用意されて、事前に不安を取り除いてもらえるような作品作りの場が増えた気がします。でもカンパニーでギュッと集まって何かを作るとき、どうなるかわからない、自分はもしかしたらめちゃくちゃ失敗するかもしれない、そんな不安にみんなで落ちて、底から這いあがって見つけた答えって本当に強い。私たちのカンパニーの作品作りって、道筋も無くなるようなところから、最初は知らなかった自分に出会えるのがめちゃくちゃ面白い。もっと自分を掘り下げたい、知りたいと思っている人がまだまだ潜んでいると思うので、探しに行きたいんです」

――この記事を読んで応募を考えている人、迷っている人に向けて最後にメッセージをいただけますか?

【丸尾】「旗揚げして関西から上京してきたときから、カッコいい劇団、カッコいい集団でありたいとずっと強く思っているんです。“カッコよさ”って何かっていうと、誰かに迎合するのではなく、自分たちのスタイルを貫くこと。一本筋が通った、自分たちのやりたいことを身を削って追求していくという、そういう作品を目指しているんです。朝起きたときやる気がしなかったり、人生長いなぁって感じている人、そういう人たちが扉を開いて集まって来てもらえたらいいなと思います。いっぱい喋って、いっぱい悔しい思いをして、いっぱい笑ってお芝居を作りたいという気持ちです」

【菜月】「男性キャストの募集ということで、元気がないと一括りにされている世の男性に、そんなことは無いぞ!と自分を信じている人に集まってほしいなぁと思います。他にはないカッコよさのかたち、人間の可愛らしさをずっと探している劇団なので、一人で悶々としつつ自分の事を信じている方も、自分が思っている以上に仲間が増えて、自分の事をどう見せたらカッコよく見えるんだろうということをたくさんの人で考えて。一番面白くて可愛くてカッコいい自分に出会える場所だと思うので、ぜひ、鬱屈したパワーをぶつけに来てほしいと思います」

■劇団鹿殺し 2023年7月 本多劇場・新作本公演男性キャストおよび劇団員オーディション

 結成22年目を迎える劇団鹿殺しが、2023年7月13日(木)〜18日(火)に本多劇場で新作本公演を上演するにあたり、男性キャストおよび劇団員のオーディションを開催する。
応募資格は劇団員は20歳以上の男女、男性キャストは20歳以上 42歳以下の健康な男子。応募締め切りは3月27日。

■劇団鹿殺し とは…
2000年に兵庫県西宮市にて旗揚げをし、2005年からは拠点を東京に移して活動する。上京後は劇場だけでなく野外ロックフェス、路上パフォーマンスなど様々なフィールドで作品を発表し、演劇の垣根を超えた活動で注目を集める。2010年に発表した「スーパースター」が、第55回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされる。2021年に活動20周年を迎え、記念公演「キルミーアゲイン’21」を紀伊國屋ホールにて、新作「ランボルギーニに乗って」をあうるすぽっとにて上演し好評を博す。旗揚げより「老若男女の心をガツンと殴ってギュッと抱きしめる」を合言葉に土臭さと激しさが同居する人間の愛おしさを表現する物語と、役者の身体、パフォーマンスに重点をおいた演出で観客を魅了している

■菜月チョビ プロフィール
俳優、演出家。福岡県出身。2000年、丸尾丸一郎と共に劇団鹿殺しを旗揚げ。感情の解放と音楽が融合する、ミュージカルとは異なる独自の音楽劇を確立。俳優が楽器を演奏するスタイルや、ロックバンドによる全編生演奏など、そのオリジナリティを近年さらに色濃くする。2013年10月から1年間、文化庁 新進芸術家海外派遣制度でカナダ留学をする。
外部では劇団☆新感線(歌唱参加)、G2プロデュース、キャラメルボックスなどに出演。舞台「曇天に笑う」、舞台「真NINJA ILLUSION LIVE -The REAL-」、歌劇「桜蘭高校ホスト部」、朝日放送「THE GREATEST SHOW-NEN 銀河鉄道の夜」では演出をつとめる。

■丸尾丸一郎 プロフィール
俳優、脚本家、演出家。大阪府出身。2010年に発表した劇団鹿殺し本公演「スーパースター」が、第55回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされる。
外部では乃木坂46主演舞台「墓場、女子高生」や朝井リョウ原作 舞台「何者」の演出、秋元康プロデュースの劇団4ドル50セント旗揚げ時の脚本・演出、また7ORDERプロジェクトやTVドラマ「下北沢ダイハード」「マジムリ学園」、映画「Gメン」(主演 岸優太(King&Prince)、監督 瑠東東一郎)の脚本と、話題作に次々と起用される。
5月には舞台「桜姫東文章」(脚本 加納幸和、出演 三浦涼介・鳥越裕貴・平野良 ほか)の演出を控えている。

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