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2022/03/01 17:31
創立22周年の劇団『電動夏子安置システム』、SDGsがテーマの新作コメディに挑む
『ロジカル・コメディ』と称される唯一無二のコメディで観客を魅了し、数多くの受賞歴を持つ創立22年周年の劇団『電動夏子安置システム』が、第45回本公演『クリキンディの教室』を、3月2日(水)〜3月6日(日)、下北沢・駅前劇場にて上演する。
2000年6月、明治大学演劇研究部出身の有志を中心に結成。娯楽性を重視した喜劇を追求し、時に物語性や情感を排除してまで、一つの笑いを生み出すために論理を積み重ねて導き出す手法「ロジカル・コメディ」と呼ばれる作風が高い支持を受ける。2019年には第31回池袋演劇祭で大賞を受賞。同公演では、身近でありながら深く考えることを敬遠しがちな【税金】という題材を見事にコメディに昇華させ、群を抜く高評価を得た。
そんな電動夏子安置システムが、この春の新作で挑むテーマは【SDGs】。「最近よく耳にするものの、その正体はどうもふわっとしている。」と、多くの人に本当の意味が浸透しているとは言い難い【SDGs】。そんな題材を『観客は気が付けば勝手に大笑いし、気が付けばふと考えている。』という体感型の舞台を得意とする同劇団が見事に料理。大笑いしながら観終わった後は、【SDGs】をグッと身近に感じ、現代社会を考えさえられているはずだ。
出演は銚子電鉄の映画『電車を止めるな!』でもメインで出演中の道井良樹、新野アコヤ、片桐俊次、なしお成、坂本ともこ、吉岡優希といった、映画やドラマでも活躍する劇団員に加え、ゲストに小林知未/熊坂貢児(smokers)/高橋里帆(ぼすびっち)/杉浦直(Team かわのじ)の4名を迎えた10名で贈る。
■第45回本公演『クリキンディの教室』作品概要
「クリキンディ」とはアンデス地方で語り継がれている逸話に出てくるハチドリの名前です。
ある時、森が燃え生き物たちが我先にと逃げていく中、クリキンディという名のハチドリだけは、何度も何度もくちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。動物たちはそれに何の意味があると笑いますが、クリキンディは答えました。
「私は、私にできることをしているだけ」
環境問題の議論の際によく引き合いに出される言葉です。
くだらない題材を大人たちが真剣に議論する模擬裁判をとおして、
SDGs とは何なのか、それに対する過度な期待や絶対視がもたらす混乱。
一方で環境問題を声高に叫びながらも、 どこか他人事にしてしまっている風潮に対する揶揄を込めます。
■ あらすじ
とある小学校では、環境問題に熱心な教育委員会の要請で SDGs に取り組む事となった。
その目標の一つである「質の高い教育をみんなに」に基づいて体系的な思考力や批判力を養う為に、身近な昔話「桃太郎」を題材にして刑事裁判の流れや考え方を学ぶ特別授業を計画していた。
鬼を退治した桃太郎は傷害罪か、正当防衛で無罪か―。
児童が裁判官と検察官、弁護人役に分かれて行う模擬裁判を行うのだ。
ところが驚いた事に、今の子どもたちの大半は「桃太郎」がどんな話か知らないという。
そこで教師たちは物語を理解してもらうため、寸劇を披露し、それを観てもらった上で子どもたちに考えてもらおうと考えた。
どうせなら面白おかしく、現代的なセンスもとりいれた子どもたちが楽しめるものを。
放課後に練習を重ね、いよいよ完成と言うところ誰かがつぶやいた。
「この物語にもSDGsを取り入れなければならないのでは。」
教師たちは呆れた。
またすぐそうやってサステナぶる。
放課後の職員室で延々と続く、
持続可能(サステナブル)な会話劇。