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2022/02/15 19:01
『ファイトソング』で”クズキャラ”烏丸薫役を好演中の東啓介、夢を叶えるために大切にしていることは「感謝を伝えること」
現在放送中のTBS系火曜ドラマ『ファイトソング』(毎週火曜 よる10時〜)にて、間宮祥太朗演じる芦田春樹のかつてのバンド仲間・烏丸薫を演じている東啓介。なにかと理由をつけて芦田の家にやってきては芦田にお金を無心する役どころながら、長い手脚を活かしたドラム演奏やエプロン姿での料理シーン、芦田に見せる愛嬌ある笑顔など、どこか憎めない愛らしさを感じさせ、注目を集めている。オーディションサイト『Deview/デビュー』では、そんな彼に、演じる上でこだわっているポイントや撮影現場の雰囲気についてなどをインタビュー。さらには、音楽に目覚めたきっかけや役者という仕事の魅力、夢を叶えるために大切にしていることなども聞いた。
【『ファイトソング』出演/東啓介 インタビュー】
■「初ドラムはめちゃめちゃ難しかったです。でもお仕事を通して新たな楽器に挑めるというのはありがたい」
――これまでも数多くのヒット作を世に送り出している火曜ドラマですが、『ファイトソング』への出演が決まった際、どのような思いがありましたか?
【東啓介】「正直、最初はびっくりしました。まさか自分がこの枠に呼んでいただけるとは思ってもみなかったので。驚きが最初にあって、そこから清原果耶さんや間宮祥太朗さん、菊池風磨さんといった方々と共演できるんだっていう喜びが徐々に湧いてきた感じです。物語自体もとても暖かくて面白いなと感じましたし、自分が演じる烏丸薫という役に対しても、今までやったことのない役だし、面白そうだなと。早く皆様とお会いして、関係性を作っていきたいなと気が急いてました」
――烏丸薫は、間宮さん演じる芦田春樹の元バンド仲間でドラマ―という役柄ですが、ドラムは今回が初挑戦だったんですよね?
【東啓介】「そうですね。めちゃめちゃ難しかったです。最初の頃は、ゆっくりやってもどうなっているのか仕組みがわからなくて。でも、ドラムの先生に『慣れだから絶対できるよ!』と言っていただいて、頑張って練習しました。実は今回のドラマ、キャストに音楽ができる人がけっこう多いんです。間宮くんも、もともとバンドをやっていたという話を聞きましたし、藤原さくらさんはシンガーソングライターとしても活躍中ですし、ただみんな、自分がやってきたことのないものを担当されているっていうのも面白いなと。僕もこういうお仕事を通して、新たな楽器に挑めるというのもありがたいことだなと思っています」
――薫の内面部分に関しては、どんなキャラクターだと捉えていますか?
【東啓介】「薫には春樹しかいないので、お金をたかったり茶々入れたりっていうのも、春樹がいないとできない。笑顔を振りまいて茶々入れているようにみえるけど、実は孤独で寂しい子なんじゃないかなって思っていて。物語が進むにつれて、薫のそういう一面も見えてきたりするんです。薫は春樹に依存している部分もあるんじゃないかなというか、この2人は、何も言わないけど分かり合えたり、傍から見たらけなし合っているようにみえるけど、本人達同士ではそんなことなくて…っていうような、そういう空気感が独特な2人なんですよね。薫は薫で不器用だし、春樹は誰が見てもわかるくらい不器用だし。そういう繊細なところでやり取りし合っている感じが好きです」
――役柄の説明だけ見ると、ちょっと嫌なヤツにも見えかねない感じではありますが、ちょっと抜けているところがあったり、ちゃっかりしてたり、“憎めない愛らしさ”があるキャラクターを見事に表現されているなと。演じる上でこだわっているのはどんなところですか?
【東啓介】「僕も最初、台本で文字だけで役を追うと、どうしても嫌なヤツの方向に走っちゃうな〜と思って。どんな風に演じれば、嫌なヤツに見えないかなと。あえて茶目っ気のある方に振り切ったほうが、“こいつ、憎めないな”って、ちょっとクスってなるかな?って思って芝居してみたら、監督も『そっちがいいね』って言ってくださって。ただボーっとしている、よくわからない不思議なキャラだと、視聴者の方をちょっと遠ざけてしまうかなと思ったので、“堂々とお金をたかりに行く”くらいのほうか、憎めないし面白いかなと思ってやりました」
■「薫がどう捉えられるか、オンエアされるまではちょっと怖かった」
――ドラマオンエア時には、“とんちゃん(東の愛称)”がトレンド入りしたり、反響も届いているのでは?
【東啓介】「こんなにも反響をいただけるとは思ってなかったです。去年の1月期に出演させていただいた“『ウチカレ(ウチの娘は、彼氏が出来ない!!)』やってたときとは別人みたい”とか、“お金たかってる系男子でも憎めない“とか、そんなふうに言ってくださるのはすごく嬉しいです。ただ、オンエアされるまではちょっと怖かったんですよね。薫は見た目からしてもレザーとかを着てたりして威圧感ある感じもするし、平気で『お金ちょうだい』とか言うし、どう捉えられるのかなって不安な部分もあって。でも、いい感じに受け取ってもらえて安心しました。それは、脚本の岡田さんの構成力や監督の撮り方、相手役の間宮くんの芝居にとても助けられているなって思います」
――撮影現場の雰囲気はいかがですか?
【東啓介】「スタッフさんもとても温かいですし、監督は3人いらっしゃるんですが、みなさんそれぞれ明るい方々で、撮影もすごく新鮮です。“この監督はこういうアプローチなんだ”とか、“この監督はこうやって撮影するんだ”とか、いろいろと勉強になりますし、間宮くんとも日に日に仲良くさせていただいていて、本当に楽しいです」
――芦田とは親友という間柄の薫。間宮さんとはどんな風に関係性を築かれているんですか?
【東啓介】「薫は春樹に対して、けっこうアクションを起こしていく役柄でもあるので、あえて本番中にアドリブを入れてみたり、イタズラしたりしてみたりしていて。間宮くんはずっと長いことやられている方なので、それに対して臨機応変に返してくださるのですが、そういうことで距離感が縮まっていっているのかなと。撮影の合間には、『休日何してます?』とか『コロナが落ち着いたらごはん行きたいですね』とか、世間話をしたりしてます」
――今回はドラマ―の役ですが、もともと小さい頃にピアノをやられていたんですよね? ミュージカル俳優としても活躍中の東さんですが、そもそも音楽に目覚めたきっかけって何だったんですか?
【東啓介】「本当に小さいときに、SMAPさんの『世界に一つだけの花』を弾きたいって親に言ったらピアノを教えてくれて。それを弾けるようになったときに、“自分でもあの曲を弾けるんだ”っていう喜びがあって。小学2年生のときに“ピアニストになりたい”という夢を抱いて、そこが最初の第一の音楽の目覚めかなと。でも、歌うことに対してはとても恥ずかしくて、カラオケとかにもなかなか行けなかったんです」
――そうなんですか!?
【東啓介】「その後、音楽はぜんぜんやってなくて、兄の背中を追っていたので部活に夢中になったり運動ばかりしていて。ただ、高校生になると、テスト期間は早く授業が終わったり、時間の使い方が変わってくるじゃないですか。学校の近くにカラオケがあったので、みんなでよく行くようになって、恥ずかしいなと思いながら歌ったら、みんなが上手いって誉めてくれたんです。それが自信になって、“いろんな曲を歌ってみたいな”、“もっとみんなとカラオケ行きたいな”という欲が出てきて、歌うことの喜びはそこで覚えました。でも、まさか歌うことが自分の職業になるとは思ってもいなかったです」
――オーディションの最終審査で、ピアノ弾き語りを披露された際、歌上手い子だなと思った記憶がありましたが…。
【東啓介】「本当ですか? あのときはめちゃくちゃ緊張していてガチガチでした。特別なレッスンも受けてませんでしたし、ただただカラオケを楽しんでいた一般市民だったので、まさかこうして周りの方々に評価していただけるようになるとは思ってもなかったです」
■「昔からずっと聞いている大好きな曲は、RADWIMPSさんの『ふたりごと』」
――ちなみに、東さんにとっての『ファイトソング』って何ですか? これを聞くとテンションあがるとか、昔からずっと聞いている大好きな曲は?
【東啓介】「時代によって“この曲ハマったな”というのはいろいろとありますが、昔からずっと聞いている大好きな曲は、RADWIMPSさんの『ふたりごと』です。“ファイトソング”とはちょっと違うかもしれないですけど、当時からずっと聞いている曲です。昔の曲を聴くと、その当時のことを思い出したり、その当時の気持ちに戻れたりするじゃないですか。そういうものがこの曲にはあって。楽曲としては恋愛ものではあるけど、歌詞やメロディを聞くだけで、元気になるというか、頑張ろう!って思える曲です」
――昨年、同時期に取材させていただいたとき、『2021年は再スタートの年にしたい、もっと活躍の場を広げたい』とおっしゃっていました。その言葉通り、ドラマに舞台と様々な作品で活躍されましたが、振り返ってみてどんな1年でしたか?
【東啓介】「コロナ禍というこのご時世の中でも、幸いにも本当にたくさんのお仕事をさせていただいて、充実した1年だったなと思います。それと同時に、まだまだ頑張らないとダメだなと悔しい想いもしましたし、世間の皆様や関係者の皆様に僕のことをもっと知ってもらいたい、もっと関係性を作っていきたいというのを強く思った1年でした。なので、また改めて今回のドラマを通して、視聴者のみなさんや関係者の方々に、もっと僕のことを知っていただけるように頑張りたいなと思っています。たくさんの作品に出演して、いろんな方と出会って、たくさんのことを吸収して、より良いものをお客様に届けたい。そして、舞台に立ち返ったときに、映像作品で僕のことを知ってくれた方々が、ミュージカルや舞台などに足を運んでくれるような、そんな橋渡しのような存在になれるよう、もっともっと階段を上っていきたいなと思います」
――今改めて思う、この仕事の魅力とは?
【東啓介】「自分が頑張れば頑張るほど、その努力が返ってくるし、愛した分だけ愛し返されるというか、大事にすればするほどその想いが伝わって、それが返ってくるのは、この業界ならではかなって思います。やらなければ落ちる一方ですし、行動すれば行動した分だけ自分に返ってくるというのは、とてもわかりやすくて面白い世界だなと思います」
――時には壁にぶつかることもあるかと思いますが、そういうときにどのようにして乗り越えてきましたか?
【東啓介】「落ち込んでいるときって、絶対に立ち直れないって思うんですよね(笑)。諦めなければ、落ちるところまで落ちてもいいと思う。始まりがあれば必ず終わりは来ますし、壁にぶち当たった期間も一生続くわけではないから、しんどいながらも何か模索しながら頑張れば、光が差し込む瞬間が必ず来ると思っていて。僕も以前は、“いち早く打破したい”とか、できないことに対して“早くできるようにしたい、上達したい”って焦っていたときがありましたが、そんな一瞬や短期間ではすぐには上達しないんですよね。でも、やり続ければその1年後、数年後に自分が変わっていたり、成長したりしている。なので、壁にぶつかったときは、新しい自分に出会えるチャンスだと思って、そのことに感謝しつつやるしかないのかなと。諦めずにやっていれば、いつか誰かが手を差し伸べてくれる。その手を差し伸べてくれる人、味方を作るもの自分次第なのかなって思います」
――頑張っている姿を見ると、応援したくなりますし、そういう味方を作るというのも大事ですね。ちなみに、落ち込んだときに気持ちを切り替える方法は?
【東啓介】「親しい友達とカラオケに行ったり、飲みながら話し合ったりして、そのツライことを1回忘れる。超どうでもいいことを話したりしていると、悩んでいたことがどうでもよくなるというか、いったん離れると解決策が浮かんだりすることがあるんですよね。1つのことだけを見ていると、深い沼に入ってしまうので、嵌めをはずすじゃないけど、そういう時間も大事なのかなと思います」
――では最後に、芸能界デビューを夢見る読者に向けて、夢を叶えるために大切だと思うこと、大切にしていることを教えてください。
【東啓介】「感謝を伝えることです。出会えたことに感謝ですし、お仕事を与えてくださったことにも感謝、オーディションを受けるチャンスを頂いたことにも感謝とか、すべてのことに感謝する。そういうことが繋がって将来の仕事に繋がることもあるかもしれない。すべてはギブアンドテイクだと思うので。『ありがとう』と『ごめんなさい』という言葉を大切にして生きていけば、味方になってくれる人がどんどん増えていくと思うし、気づいたら幸せになっていると思うので、感謝の気持ちを伝えることは大切にしています」
【プロフィール】
東啓介(ひがし・けいすけ)●1995年7月14日生まれ、東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。
2013年俳優デビュー。その後、舞台を中心に活躍。近年の主な出演作は、【舞台】『命売ります』主演、New Musical『Color of Life』主演、ミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』、ミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド 〜汚れなき瞳〜』、ブロードウェイミュージカル『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』、ミュージカル『マタ・ハリ』、【ドラマ】NTV『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』、ドラマParavi『つまり好きって言いたいんだけど、』、ABEMAオリジナルドラマ『私が獣になった夜〜名前のない関係〜』#5:アプリで出会った夜、信じられない私 など。
2022年秋には、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』への出演が控える。