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2021/10/29 21:01

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映画界注目の新進女優・芋生悠、映画『ひらいて』の美雪役を語る「原作のミステリアスな美雪の人間味を掘っていきました」

映画『ひらいて』(公開中)で新藤美雪役を演じる芋生悠(C)Deview
映画『ひらいて』(公開中)で新藤美雪役を演じる芋生悠(C)Deview

 芥川賞作家・綿矢りさが、高校生による禁断の三角関係を描く原作小説を、若手女性監督・首藤凜の脚本・監督で映画化した『ひらいて』が公開となった。《“たとえ”が好き。だけど彼には「秘密の恋人」がいた――。恐れを知らない女子高生の熱い恋心が、勢いあまり、意中の彼の恋人にまで向けられる、切実な純愛を描いた新感覚・乱反射する少女の愛憎エンターテイメント》。主人公の女子高生・木村愛を山田杏奈、彼女が熱い恋心を寄せる西村たとえを作間龍斗(HiHi Jets)を演じるなか、映画界のクリエイターがこぞって注目する新進女優・芋生悠が、たとえの“秘密の恋人”新藤美雪役として存在感を見せている。今回注目度が高まる女優・芋生悠にインタビュー。美雪という役、共演者・監督との関係性、撮影現場でのエピソードなどについて話を聞いた。

■映画『ひらいて』/美雪役・芋生悠インタビュー

――新藤美雪役はオーディションで獲得したそうですね。オーディションにはどのように臨まれたのですか?

「まず綿矢さんの原作小説を読んでイメージを膨らませたんですが、出来上がった美雪像が自分とはかけ離れていて、不安のほうが大きかったです。オーディションの時には監督が演出をして、私を美雪に近づけようとしてくださって。受かったという手ごたえは無かったんですが、今回ダメでも監督とは今後一緒になるかもしれないという感触がありました。同年代ですし、この映画にかける強い想いにシンパシーを感じて。そして美雪で決まりましたと連絡を受けたときは、嬉しい反面、やはり不安もありましたね」

――愛の感情や行動は暴走気味だけれど、むしろ共感できる部分があるんですが、美雪のほうが演じるうえで掴みにくいキャラクターである気がします。

「原作では美雪が、映画よりもっとミステリアスで実体の無い感じがあって掴みづらくて。ただ、透明感のある子だけどちゃんと肉付きがあって、逞しい子という印象もあったので、そちらを意識して、美雪の人間味を掘っていこうと思いました」

――監督とは美雪についてどのような話をしましたか?

「私が“おばあちゃんみたいな心の深さを感じました”と言ったら、“それはちょっと考えたことが無かった。いいと思います”とおっしゃっていて。監督は美雪のことが大好きで、ちょっと神格化しているところもあったので、美雪について話をしていくなかで、一緒に新たな美雪像を探っていきました」

――美雪は愛としっかり向き合い、大切な言葉をかけてくれる存在です。愛との二人でのシーンの撮影はいかがでしたか。

「重要な夕暮れの橋の上のシーンは完全に二人の世界で、対峙して目がずっと合っている状態だったので、どちらも逃げ場がない状態でした。そこでは愛のことを憐みの目で見るような感じにはしたくない、冷たい言葉にはしたくないなって思ったんです。ちゃんと目を見て愛情をもっているからこそ、美雪だけが言える言葉と言うか。厳しい言葉に聞こえるけど一番愛があるという」

――そのシーンでの山田さんの表情も強く印象に残ります。

「愛の役はすごくしんどいと思うんです。自分でもどうやってここを切り抜ければいいか分かっていないような役でただただ辛いという。しかもドンドン傷が増えて行くのに、それにも気付いていないような子で。杏奈ちゃんも愛とリンクしているんだろうなと。杏奈ちゃん自身がどんどんボロボロになっていく感じがしたので、寄り添いたいなって思っていました。ただ、美雪と愛ってそんなにたくさん会話をしているわけではなくて、本当に大事なことは劇中でも言っていないんです。だから現場でもあまり会話はせず、近くにいて“自分が一番杏奈ちゃんのことも愛のことも分かっているよ”と常に思っていました。何もしゃべらなくても伝わるものがあったと思います」

――本作は芋生さんの“受け”の芝居が重要だと感じました。

「愛は、ほかの子たちと対峙している時よりも素直な表情を見せてくれるので、美雪は“すごく迷っているんだろうな、きついんだろうな”ということも表情で見て取っている。そんななかでキャッチボールをするんですが、あっちはどんどん一方的にぶつけてくるので(笑)、それを必死に受け止めるという感じでした」

――山田さんとは過去にも何度か共演の経験がありますね。

「杏奈ちゃんとは三度目の共演です。最初に共演した映画『野球部員、演劇の舞台に立つ!』という映画の時は、16歳で本当に可愛くて。私は当時フィルムカメラにハマっていて、ずっと現場でオフショットを撮っていたんですが、杏奈ちゃんだけ枚数が凄くて(笑)。とても魅力的でずっと気になっていたんです。今回やっとガッツリの共演だったんですが、すごく大人っぽくなっていました。以前は小説の『ひらいて』を初めて読んだ時の美雪みたいに、ミステリアスで透明感がある印象だったんですが、逞しく育たれたんだなって(笑)。より魅力的で、また好きになりました」

――今回は二人でのベッドシーンもあります。

「杏奈ちゃんは“(私だから)安心している、緊張してない”と言ってくれたので、私もそれで安心できました。愛ちゃんは美雪といる時は身を委ねて、唯一安心しているという意味でも、いい関係性が作れたのかなと思います。役のように身体も心もお互いに開かれていく感じがありました」

――一方で、たとえはもっと心情を掴みにくいキャラクターですよね。

「たとえくんと美雪は、それこそおじいちゃんとおばあちゃんみたいに、全てわかって達観し切っていて、周りが踏み込めない関係性なんだろうなと思いました。でも美雪自身はたとえくんに固執してはいなくて。たとえのことはすごく好きだけど、これからずっと一緒にいようという感じではなく、自由に生きている子で。たとえのことはいい距離感で観ていたんじゃないかと思います」

――年頃の少年少女の不安定な心情を描く作品は、ちょっとファンタジーな描写に向かいがちだと思うんですが、本作はリアルに痛いところを突く感じが印象的です。

「小説を読んでいた時は、もっとファンタジー寄りというか、こんな子たちが存在するんだろうか? と感じる部分があったんですけど、演じてみたほうがよりリアルで、映画になって『ひらいて』の世界が立体的になった感じがしました」

――監督・脚本・編集を手掛けた首藤凜監督についての印象はいかがですか。

「監督はずっと何年もこの作品を撮りたいと思って温めていたと聞いていたので、思い入れが強くて、演出についても必要最低限しか言わなくても熱意が伝わるというか。熱意はMAXにあるのに現場では超クールみたいなところが格好良くて。そんな監督の想いに対しては、全力でぶつかって返したいなと思いました。長編デビュー作から公開規模の大きな作品を撮られて、そういうプレッシャーも感じていると思うんですが、淡々とされていてすごいなって。首藤さんが次の作品を撮られるときは、端の役でもいいから出たいです(笑)」

――オーディションの時から監督とは波長が合ったようなんですが。

「撮影前にカラオケに一緒に行ったりして、監督とは最初から友だちみたいになっていて、撮影の合間にもご飯に行ったりして、たくさん話しました。監督って素直に全部言うんですよ。“オーディションの時は疲れてましたよね? あれ、美雪だと思ったのに大丈夫かなって思いました”とか。“撮影が始まったら、ちゃんと美雪で嬉しいです”とか全部素直に(笑)。監督は嘘が無い人だから、美雪像を作りこむより、その場で出て来たものを、杏奈ちゃんと作間くんと素直にぶつけ合おうって思いました」

――芋生さんにとっても、これまでのキャリアのなかでも多くの方に注目される作品になるかと思います。

「これまでインディーズであっても1年間に何本かの映画に出演させていただくという機会もいただけましたので、どんな作品に出ても気負いせず、いままで通りにいられるのは有難いなと思います。経験値があったからこそ、初対面でも、映画が好きということがブレなければ誰とでも打ち解けられるし、みんなと映画を一緒に作ることができる…。いい経験をしてきたなぁと思います」

――ジャニーズ事務所の超人気者が出演する作品という側面がありながらも、映画に流れるマインドはインディペンデントな雰囲気がありますね。

「不思議ですよね…。でも、映画が好きな人たちが集まっているなって感じがします。コロナ禍がちょっとだけ明けた時期に一気に撮った作品だったので、ストレスが溜まっていた分、映画をやれることが純粋に幸せという気持ちがみんなから伝わってきて。それを受けて私も幸せになりました」

――最後に映画『ひらいて』をどんな人に見てもらいたいですか?

「苦しいときは周りが見えなくなって、誰に何と言われても自分のことしか入ってこなくなるんですが、“自分を愛することを諦めないでほしい”ということが、この作品から伝わるのかなと思います。この映画では、愛ちゃんがやっと自分を肯定できるようになるのが好きなんですが、その間には、美雪みたいに何も言わずに、自分を諦めずにそばにいてくれる人がいる。今、どうしようもなく苦しい人にこの映画を観てほしいなって思います」

映画『ひらいて』(配給:ショウゲート)は全国ロードショー公開中。

■芋生悠プロフィール

いもう・はるか●1997年12月18日生まれ、熊本県出身。2014年『JUNON Girls CONTEST』ファイナリストをきっかけに芸能界入り。近年の公開作は「左様なら」(2019年・主演)「37Seconds」(2020年)「#ハンド全力」(2020年)「ソワレ」(2020年・主演)「ある用務員」(2021年)「HOKUSAI」(2021年)。2021ボートレースCM「Splash ボートレーサーになりたい!」出演中。

■映画『ひらいて』あらすじ

高校3年生の愛(山田杏奈)は、成績優秀、明るくて校内では人気者。
そんな彼女は、同じクラスの“たとえ”にずっと片思いをしている。
彼はクラスでも目立たず、教室でもひっそりと過ごす地味なタイプの男子。だが寡黙さの中にある聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえに、愛はずっと惹かれていた。
自分だけが彼の魅力を知っていると思っていた。
しかし、彼が学校で誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然見てしまった事で事態は一変する。
「たとえに、恋人がいるのではないか―」その疑惑がぬぐいきれず、愛はある夜、悪友たちと学校に忍び込み、その手紙を盗んでしまう。
手紙の差出人は、糖尿病の持病を抱える地味な少女・美雪。その時、愛は、初めてふたりが密かに付き合っていることを知るのだった。それが病気がちで目立たない美雪(芋生悠)だとわかった時、いいようのない悔しさと心が張り裂けそうな想いが彼女を動かした―。「もう、爆発しそう―」
愛は美雪に近づいていく。誰も、想像しなかったカタチで…。

(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

関連写真

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  • 映画『ひらいて』(全国ロードショー公開中)(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

  • 映画『ひらいて』(全国ロードショー公開中)(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

  • 映画『ひらいて』(全国ロードショー公開中)(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

  • 映画『ひらいて』(全国ロードショー公開中)(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

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  • 映画『ひらいて』公開記念舞台あいさつより。(左から)首藤凜監督、山田杏奈、作間龍斗(HiHi Jets)、芋生悠。(C)Deview

  

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